表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第2章 新米冒険者、異世界で奮闘する。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/383

39.5話  副団長戦決着







「オーラウェイブか、頭上からの攻撃か?」


 火の壁は、天井の部分が開いているためそこから攻撃が可能であり、そのためクリスがそう思って頭上と周囲を警戒していると頭上に影がよぎる!


 それに反応したクリスは、頭上に突きを放ち迎撃に成功する。

 だが、突きの当たったそれは紫音が着けていた鉄の軽装鎧だった。


「まさか!?」


 クリスが気付いた時、紫音は火傷を負いながら火の壁を突破して、クリスの背後から斬撃を繰り出す瞬間であり、彼女は完全に虚を突かれる。


 紫音は敢えてオーラブレードで火の壁を斬らなかった。

 火の壁を斬ればこのように火傷はしなかったがその分タイムロスになり、クリスにも反応されて斬撃が防がれると判断しての行動であった。


(私は彼女を見くびっていた……。私自身が火傷を覚悟で火の壁に突っ込む考えがあったのだから、相手にもその選択をするということを考えるべきだった……、私は……!)


 クリスは紫音の斬撃が自分に当たる刹那そう考えていたが、紫音の斬撃はクリスに当たらず寸止めされる。


「私の勝ちでいいですね?」


 紫音が寸止めの状態でクリスにそう尋ねると、彼女は目を瞑りフーと息を吐くと負けを認めて、更にこのように勧めてきた。


「ええ、私の負けよ。だから、早く回復しなさい」

「はい!」


 その言葉を受けて、紫音はすぐさま回復薬を飲み干す。彼女も火傷などでダメージが限界だったからだ。


「しかし、アナタも無茶するわね。火の壁に突っ込んでくるなんて、下手したら致命的なダメージを追っていたかも知れないわよ!」


 クリスは自分も回復薬を飲みながら、紫音の無鉄砲な行動を諌めると紫音は彼女にこう答える。


「私の(スキルプレートに書かれている)属性耐性の項目が全属性強化されていて、全部A判定になっていたので… それで多分大丈夫かなと思いました」


「そう、それでヘビィの効果が足だけで、しかも早く切れたのね……。私としたことが、そんな事も見落としてしまうなんて……」


 クリスは何かを考えながらそう答えた。


「さてと、向こうは一体どうなっていたのかしら?」


 クリスと紫音がリズ達の方を見ると、クレーターの真ん中から少し離れた所でアフラがオーラを使い切って倒れていて、さらにその少し離れた所にソフィーが怒りながら服の砂埃を払っている。


 さらに、その向こうにカシードとリズ、ミリア、エレナが立っていた。

 紫音がみんなの所に行こうとすると、クリスに呼び止められ彼女が着ていたコートを掛けられる。


「あのこれって?」


 紫音が驚いているとクリスが紫音の服を指差して、コートの説明を始めた。


「貴女気付いていなかったの? 服が火の壁を突破した時にあちこち燃えてしまって、大変なことになっているわよ。アナタの体は火の耐性があったけど服にはなかった…… そういうことね」


「あぅぅぅ……」


 紫音は顔を真っ赤にしてミリアのような声を出しながら、R(年齢区分)が上がってしまいそうな格好をコートで素早く隠す。


「すみません、洗って返します」


「いえ、そのまま返して欲しいの。そのコートには魔法スクロールとか色々仕込んでいるから、下手に洗濯されると色々駄目になってしまうから。それに、元はと言えば私がこんな馬鹿げた戦いを仕掛けたのが行けないのだから……」


 紫音が申し訳無さそうに、そう口にするとクリスは彼女に気にしないようにとこう答えた。


「すみません、失礼なことを聞きますけど… そう思っているなら、どうして戦ったのですか? だって、その戦いも本気じゃなかったみたいですし……、魔法だって初級魔法ばっかりだったし……」


 クランの副団長が初級魔法しか使えないなんてありえない、紫音がそう思うのも当然であったし、勿論クリスは高位魔法まで使えた。


 彼女が中級魔法すら使わなかったのは、殺傷能力の高い魔法で大ダメージを与えてまで、クランの面子を守る必要がないと解っていたためである。


 さらに、迷いながら本気を出さず急所も狙わずに戦っていたら、その相手の紫音も同じく急所を狙わず危険な攻撃もしてこない、こちらの戦い方に合わせてくるお人好しだったために、彼女を敵視することも出来ずに結局勝利に固執する戦い方が出来なかった。


 紫音とスギハラの勝敗が紫音の不正ではないなら、それは真剣勝負の結果でありそれ故に彼女への意趣返しは逆恨みでしか無い。


 スギハラが紫音と戦うなと言う理由はそこであり、クリスもそこは解っていた。


 それでも彼とクランの名誉のためにと戦う選択をしたが、結局悩みながらの戦いとなり、その悩みが判断と相手の分析を鈍らせ敗北へと繋がってしまう結果となった。


「そうね……、頭では解っているの。でも、大切なものを守りたいって思ったら、馬鹿な選択でも選んでしまったの……。結局、馬鹿なことをしていると自覚しているから、中途半端なことしか出来なかった。アナタにもいつか解る時が来ると思うわ……。いや、アナタは解っては駄目ね、フェミニース様に使命を与えられてこの世界に来たのなら……」


 クリスからフェミニースの名とその使命、この世界に来たという言葉が出てきたので、紫音はとても驚く。


「え!? クリスさんは……」


 紫音がその真相をクリスに聞こうとした所で、他のメンバー達が決着のついた事に気付いて近寄ってきた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ