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女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第2章 新米冒険者、異世界で奮闘する。

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38話 もう一つの戦い開始






 紫音とクリスの戦いの横で、リズとソフィーの戦いも始まろうとしていた……


「誰が【まな板の遠吠え】よ!? アンタは初めて会った時から気に入らなかったのよ! そもそも何よ、普通アンタみたいな眠そうなジト目は、無口か冷静なキャラのはずじゃない! それなのにアンタはべらべら喋って、しかも割と毒舌でさらに語尾に”ッス”までつけて、キャラ付けしすぎなんじゃないの?! キャラが渋滞してるんじゃないの!?」


「ツンデレお姉さんだって、赤髪、ツインテール、ツリ目、貧乳とツンデレのテンプレみたいなキャラじゃないッスか! あとお姉さんはデレが速すぎるッス! スピード自慢だからって、そこは速くなくてもいいッス!」


「そもそも、私はツンデレじゃないわよ! あと貧乳でも、ましてや”まな板”でもないわ!」


 ソフィーはリズと言い争っている内にヒートアップしてしまい、思わずサーベルを抜いてしまう。


「もう、許さないんだから! 勝負よ、ジト目!」


 そして、大人気なく年下に勝負を挑んでしまった。

 リズもそれに反応して、右手に弓、左手は腰のダガーに手を掛ける。


「…とは言え、ハンデにサーベル一本だけにしてあげるわ!」


 そう言うとソフィーはサーベルの刃を返してリズめがけて突進すると、弓で防御するリズのその弓にサーベルの峰の部分で数回打ち込む。


「うっ!?」


 リズは何とか防ぐが、体格差と攻撃力の差で後ろによろめいてしまう。

 その様子を見たソフィーは、リズに降参を促す。


「どう!? さっさと降参しなさい!」


「大人げないッス、ツンデレお姉さん! 遠距離ジョブでしかも年下相手に、近距離攻撃をしかけてくるなんて!」


 それに対してリズは、こうソフィーを非難する。


「戦場では、そんな甘いこと言っていられないわよ! だから、早く降参しなさいよ!」


 だが、ソフィーはそんなリズの非難をこう受け流すと、彼女に降参を促す。


「ソフィーさん、落ち着いてください。リズちゃんも! 二人共武器を降ろしてください!」


 そんな二人をエレナが宥めて、戦いを止めさせようと説得をするが、ソフィーはこう答える。


「駄目よ! この子が降参して謝らないと許さないわ!」


 ソフィーがそう言うとリズも反論して、退く気がないことを示す。


「ツンデレお姉さんは、器が小さいッス! 小さいのは胸だけにして欲しいッス!」


 そのリズの言葉を聞いたソフィーは、高速で再度突進して攻撃を繰り出すためにリズに接近すると、彼女は魔力の込められた魔法のスクロールをソフィーに向ける。


 魔法のスクロールは、突然激しい光を放ってソフィーの眼を眩ます。


「ま、眩しい!!」


 ソフィーの眼が元に戻った時、リズは彼女から距離を取り、弓を構えて矢をつがえると弓を引き絞りソフィーに狙いを定めていた。


「やってくれるじゃない、フラッシュの魔法スクロールなんて……」


 ソフィーは、リズと対峙したまま様子を見ている。


「傷が少し酷いわね、回復薬を飲んだらどうかしら? 私達は殺し合いをしている訳ではないのだから」


 クリスはそう言うと、その間は攻撃しないとばかりに戦闘態勢を解く。


「いえ、大丈夫です。この状態でないとアナタには勝てないので……」


 そう言った紫音の瞳は金色になっている。


「その瞳……、秘眼!? しかもSランクの!?」


 金色に光る紫音の<女神の秘眼>を目にしたクリスは構え直す。

 そして、油断できないと気を引き締める。


「もう戦いは始まってしまっているのか……」


 ガッシリとした体格のスキンヘッドの男、クラン”月影”所属のマーシー・カシードが

 そう言いながら突然エレナ達の横に現れた。


「 …で、どうして二箇所で戦闘が起きているんですか? エレナさん?」


 カシードは以前スギハラと一緒に、教会で出会って面識のあるエレナに質問をする。


「シオンさんとクリスさんは、クランの面子を掛けての勝負で、こちらの二人は痴話喧嘩みたいなものでしょうか……」


 その説明を聞いたカシードが大声で、クリスに戦闘中止を呼びかけた。

 それが彼がここに来た目的であるからだ。


「副団長、団長が彼女とは戦うなって言っていたじゃないですか!? 戦いを止めてください! あとそこの君達も止めなさい」


「今更決着を付けずに、止めることは出来ないわ! アナタもそうでしょう、シオン・アマカワ?!」


「はい!」


 二人は対峙しながら戦闘続行を選択する。


「ハゲ先輩、それはそこのジト目に言ってくださいよ! その子が降参して謝れば、私は許してあげますよ!」


「何度も言っているだろう、俺はハゲじゃなくてスキンヘッドなの!」


 ソフィーからそう答えが返ってきたので、続けて彼はリズに尋ねる。


「それで、お嬢ちゃんの方は引く気はないのか?」


「私は悪いことは言ってないッス! そもそもツンデレお姉さんがシオンさんの悪口を言ったのが悪いッス! 謝るならお姉さんが先ッス!」


 すると、リズからも止める気がないとの旨が返ってくる。


(リズちゃん、シオンさんのことで怒っていたのね。自分もその悪口に賛同していたけど……)


 エレナはそう思いながら、意外と仲間思いのリズに嬉しさを覚えた。


「アンタだって、その悪口に賛同したじゃない!」


 ソフィーがエレナと同じ感想を問い質してきたので、エレナは痛い所を突かれたと思ったが、当のリズは平然な態度でこう答える。


「私はシオンさんの仲間だからいいッス!!」


 そう言い切ったリズの表情は一点の曇りもなかった。


「まいったな、これは……。俺ではあの二人を力ずくで止めるスキルはないしな……」


 カシードは困った表情でそう呟く。



「オーラウェーブ!」


 紫音はオーラを木刀に適量宿らせると、木刀を勢いよく振り光波を飛ばす!

 魔法の遠距離攻撃には、こちらも遠距離攻撃という単純な発想だった。


 だが、紫音のオーラウェーブは速度があまり速くないため、クリスに簡単に回避されてしまう。


「オーラウェーブ! オーラウェーブ! オーラウェーブ!」


 連続でオーラウェーブを放てば、そのうち技に慣れて光波が速くなるかと紫音は思ったが、事はそう上手くいかず中々速くならない。


(どうしよう? このままオーラウェーブを使い続けても、オーラの無駄使いになるだけ…。でも、今の私のスピードでは、クリスさんのフェンシングと魔法で迎撃されて、有効な打撃を与えられない……)


 紫音が考えている間にも、クリスの魔法攻撃は遠慮なく仕掛けられる。

 困った紫音はソレを回避しながら、もう一度オーラウェーブを放つ。


「オーラウェーブ!」


 光波を放ったと同時に木刀の刀身が砕け散ってしまい、更にクリスにはオーラウェーブを回避されてしまう。


「木刀が!?」


 適量のオーラでも複数回纏わせての使用に、木刀では耐えられなかったようだ。

 仕方がないので、紫音は刀に手をかけてクリスに尋ねる。


「峰で打つので、これをつかっても構わないですか?」

「ええ、構わないわよ」

「では!」


 紫音は刀を鞘から抜こうとすると、あることを思いついて刀を鞘に戻す。


(居合いでオーラウェーブを放てば、光波が速く飛んでいくのでは?!)


 そう考えた紫音は居合の構えのまま、オーラを刀身に宿す。




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