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女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第2章 新米冒険者、異世界で奮闘する。

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30.5話  新たな環境






「今日から、二人を私の屋敷で面倒を見ることになってな。そこで君達も一緒にこの屋敷で暮らさないか? PTとしてはそのほうが、色々都合がいいだろう。部屋は余っているから心配しなくていいぞ。まあ、食費は多少入れて貰うことになるが……」


 ミレーヌの話によると、ミリアと共にリズも預かることになったらしく


「それならPTメンバーである紫音たちも一緒のほうが何かと便利だろう。部屋も余っているし」


 となったらしい。


「いいんですか? 私達としてはありがたいお話ですけど」

「では、決まりだな。馬車で宿まで送らせるから、荷物をとってくるといい」


 紫音が馬車に乗ろうとすると、エルフィさんが馬車から降りてきた。


「目を覚ましたのですね、エルフィさん」


「シオンさん、何を言っているの? 私はまだ夢を見ているに違いないの。でないと、今日重要な会議があったのに、こんなところにミレーヌ様と私がいるわけがないの……」


「そうですね……」


 紫音は現実逃避をしているエルフィに、そう答えることしかできない。


「悲しいけど、現実ッスよ……」


 リズがジト目でそう呟いた。


「うわーーーーー! 会議に穴開けてどうしたらいいのよ! もう嫌だーー!! 仕事やめて田舎に帰るーー!」


 エルフィが壊れて泣きだしてしまう。


「どうしたんだ、エルフィ。急に泣き出して困ったやつだ。会議のメンバーには、私も一緒に謝ってやるから落ち着け」


(貴女のせいじゃないですか……)


 他人事のようにエルフィを慰め、他人事のように一緒に謝ると言うミレーヌの姿を見て、紫音はそう思ったが、大人の世界はわからないので黙っておくことにする。


「すまないな、シオン君。エルフィがやばいので、これから先に馬車を使って行政府に戻るから。馬車だけその後戻すから、少し待っていてくれ」


 ミレーヌはエルフィと馬車に乗り込んで、行政府に急いで向かった。

 しばらく待っていると馬車が帰ってきたので、紫音達はそれに乗り込み宿に向かう。


 紫音とエレナは、宿の主人と女将さんにミレーヌの屋敷で世話になることを話し、今までお世話になったことのお礼をした。


「今まで、ありがとうございました」

「おう、立派な冒険者になるんだぞ!」


「二人共、元気でね」

「はい、御二人もお元気で。今日までお世話になりました」


 そう言って、紫音とエレナは最後に頭を下げて挨拶する。

 紫音達は別れの挨拶を済ませると、乗ってきた馬車に乗り込み屋敷に戻ってきた。


 その夜みんなで雑談をしながら、晩御飯を食べているとミレーヌから質問される。


「シオン君、君はスギハラと同じ東方国出身らしいが、どの辺りの出身なんだい?」

「すごい山の中の隔離されたようなところでして、それで世間の事に疎いんです」

「へえー、そうなんですか」


 エレナがそう相打ちを打つと、リズが紫音にこう話しかけてきた。


「私は、弓使いなのでその関係の知り合いが多いッス。その中には同じように山で、自然と共に住んでいた狩人の人もいたッスが、シオンさんはその人と比べてやけに都会的な感じがするッス」


 やっぱりリズちゃんは鋭い。


「でも、その割には魔石電気魔道具の扱いには、いまいち慣れていないって感じッス」

「そんなことないと思うけどな~」


 紫音はリズの目から目を逸らして、そう答えてしまった。

 あのジト目の寝ぼけ眼を見ていると、全てを見透かされてしまう気がしたからだ。


 紫音はリズが訝しげな目でこちらを見ている気がした。

 他の者達には眠そうな目で見ているだけに見えたが、紫音にはそう見えたので話題を変えることにする。


「話に聞いたんだけどミリアちゃん。最近二時間ぐらい外をお散歩して体力をつけようとしているんだってね。私のアドバイスをちゃんと聞いて、さっそく実行していて偉ね!」

 ミリアはその話を聞くと照れてしまった、照れている姿も可愛い……


「ミリアちゃんは、真面目で努力家で本当に良い子だね」

「そ、そんなことないです……」


 紫音がミリアを褒めると、彼女は照れながら首を横に振って否定した。


「君もそう思うかい! シオン君、君とは良い酒が飲めそうだ!」

「私はまだ、未成年なので……」


 紫音がミレーヌにそう答えると、彼女は不思議そうな顔でこう答える。


「何を言っているのだ、君はもう18歳なのだろう? だったら飲酒可能ではないか?」


 どうやらこの世界では、18歳で飲酒可能なようだ。


「私の住んでいたところでは20歳からだったので……。では、せっかくなので、少し頂きます」


 紫音はお酒に少し興味があったので、少し飲んでみることにした。

 そして、ミレーヌが注いでくれた白ワインを飲んでみる。


「これが、お酒か……。結構飲めちゃうな」


 ミレーヌが注いでくれた甘口ワインは、まろやかでフルーティーな味わいで、ジュースのような感覚で飲める初心者用のワインだった。


「ミリアちゃんはがんばり屋さんの良い子ッス! 自信持つッス!」


 リズは横でまだ照れているミリアに、肯定の言葉をかけた。


 一時間後……


「あははははは、お酒って美味しいですね、ミレーヌ様!」

「そうだろう、可愛いミリアちゃんを肴に飲む酒は特にな!」


 酔っ払いが二人完成していた。

 リズとミリアは既に自分の部屋に戻っている。


「シオンさん、そろそろお部屋に戻りましょう」


「そうだな、そろそろお開きにしようか。片付けのメイドも待っているしな。エレナ君、悪いがシオン君を部屋まで連れて行ってくれないか?」


 エレナが紫音にそう促すと、ミレーヌも自室に戻るように促す。


「はい、わかりました」


 そのため紫音はエレナの肩を借りて、千鳥足で部屋まで帰った。


「まさか最初の一杯飲んだだけであんなに酔うとは… 彼女にはこれからあまり酒は勧めないほうがいいかも知れない」


 ミレーヌはそう反省し自室に戻ることにする。


 勿論、紫音には明日の朝、地獄の二日酔いが待っていた……


 ※この作品はフィクションです。

 良い子の皆さんは、飲酒は二十歳からを守りましょう。


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