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女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第9章 少女激闘する(予定)

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EX話  本日はチョコを渡す日





##########


 今回のお話は、2月15日に「あれ? そういえば昨日バレンタインだったな」と思い出したのをきっかけに書いたお話です。


##########



 本日はチョコを渡す日―


「シオン先輩、私からのチョコを受け取ってくれるわよね?」

「ほんとに!? わーい、ソフィーちゃんが茶番とはいえ遂に私にデレてくれたよ~~」


 ソフィーからのチョコを受け取った紫音は、茶番とはいえチョコを渡す日に彼女からチョコを貰い、遂にソフィーが自分にデレたと歓喜する。


 そうなると、欲が出るのが人間の性―


「ミリアちゃんやリズちゃんは、お姉さんにチョコをくれないのかな~?」


 紫音は調子に乗って、ミリアとリズにもチョコをおねだりするが、


「あげないッス」

「私は… シオンさんにはあげません… 」


「がーん!! リズちゃんはともかくミリアちゃんにまで断られるなんて!!」


 リズは兎も角、自分を慕うミリアからも断られてショックを受けてしまう。

 だが、その理由はすぐにソフィーの行動で、彼女の知るところとなった。


「さあ、先輩! 私と勝負よ!」


 ソフィーはそう言いながら、紫音に木刀を渡してくる。


「えっ!? どういうこと?」


 木刀を受け取りながら困惑する紫音の態度に、むしろソフィーの方がキョトンとした表情で、このような事を言ってくる。


「何言っているのよ、ダメ先輩? チョコを受け取ったじゃない! チョコを受け取ったということは、私からの戦いの挑戦を受けたということでしょうが?!」


「いや、どういうこと!!?」


 ますます困惑する紫音に


「説明するッス!」


 リズが紫音にも読者にも解るように説明してくれる。


 今日は<バトルタインデー>! 

 フェミニース様が定めた決闘してもいい記念日ッス! 


 その条件は、挑戦者が渡したチョコを相手が受け取ったら成立するッス!

 

 チョコを渡す理由は、『このチョコをあげるから、ボコっても許してね!』で

 受け取った方は『うん、いいよ!』と了承した事にんるッス! 


 戦う事でお互いの力を磨きあう日ッス! 


 決して、好きな人にチョコを渡して、好意を伝えると言った甘い日では無いッス!

『チョコ』なだけに!! 甘い『チョコ』なだけに!!!


 リズは最後ドヤ顔でキメる。


 年下二人がチョコを紫音に渡さなかったのは、戦う気が無いからであった。

 まあ、異世界なので、風習が違っても無理はない。


(フェミニース様、バレンタインに何か嫌な思い出でもあるのかな?)


 紫音がそのような事を考えていると、ソフィーが木剣を左右に構えてやる気満々で話しかけてくる。


「さあ、先輩! 勝負よ! 初めて戦った時の借りを返すんだから! 今度はマラソン大会じゃなくて、きっちり剣で勝負よ!」


 そして―


「それで、私に勝てたら… 少しは先輩のこと… 見直してあげるわ…」


 最後は少し恥ずかしそうに小声で喋る。


 だが、紫音はこう言い放つ―


「なら、仕方がないね。でも、今回もお姉さんは全力で走って、ソフィーちゃんをバテさせるよ!!」


 ビシッと逃げ宣言をする。


「私の話、聞いていた!?」


「だって、私はソフィーちゃんと戦いたくないもん。それに、ソフィーちゃんには、魔物との戦いで、私のことを見直させるから、戦う必要なんて無い! というわけで、全力で逃げるよ!」


「この… バカ先輩… 」


 紫音の言葉を聞いたソフィーは呆れた感じであったが、その表情は笑みがこぼれていた。

 こうして、紫音はソフィーと30分持久走をして、ソフィーに勝利する。


「もう… ぜぇぜぇ…  何なのよ… ぜぇぜぇ… 相変わらずのこの体力馬鹿は… 」


 地面に倒れ込むソフィーは、息を切らせながら相変わらずの紫音のスタミナに、驚嘆の声をあげる。


「シオン様!」


 背後からアリシアの声がしたので、振り向くと自分の顔を目掛けて何かが飛んできたので、それを咄嗟に右手でキャッチする。


「シオン様、わたくしのチョコを受け取りましたね?」

「え!?」


 右手を見るとそこにはチョコが握られている。


「それを受け取ったからには、わたくしと真剣なる勝負を… このアリシア・アースライトはシオン様との勝負を望みます! わたくしとシオン様の関係は、もはや愛を超え憎しみを超越し宿命となったのです!」


「宿命…? で、勝負方法は何? 真剣勝負だから、真剣を用いた斬り合いでいい?」

「どうして、そんな物騒な方法を提示するんですか!?」


 紫音から、おっかない勝負方法を提示され、アリシアはショックで涙目になる。


「勝負方法は、スギハラ様から聞いた東方国に伝わる国技<スモウ>で勝負です!!」


 この世界でも相撲は大方同じルールであるので、がっぷり四つと組み合うため、紫音と合法的に密着できる。


 しかも、純粋な力(筋力)ならアリシアの方が上であり、彼女がその気になれば長期戦にすることができ、勝負が長引けばそれだけ密着できるという王妹様の秘策である。


「これがわたくしの望む道… 修羅の道です!! さあ、シオン様! わたくしといざ尋常に勝負ですわ~♡♡♡」


「えい! 天河天狗流柔術<天狗返し>!」

「あ~れ~」


 組みつこうとしたアリシアは、一瞬にして紫音にその力を利用され、回転して地面に転がされる。


 天河天狗流には、他の流派と同じく武器を失った時、若しくは抜かない時のために組討から進化した柔術が伝授されている。


 特に天河天狗流は、力の弱い女性でも戦える事を念頭に置いているため、必然的に柔術も自分の力ではなく相手の力を巧みに利用する技が多い。


 そのためアリシアは、紫音に組み付こうとする度に、その力を利用され地面を転がされる。


「シオン様のバカ~~~!! でも、素敵~~~!!!」


 何度も転がされたアリシアは、とうとう心が折れて地面に女の子座りで座り込むと涙目で紫音を不当に批難した後、その強さに憧れなおす。


「屋敷に今日みんなに食べて貰おうと私が作ったチョコケーキがあるの。エレナさんがお茶を用意してくれているから屋敷に食べに行こう。もちろん、戦うって意味じゃないよ? 私やアキちゃんの故郷では、この日にチョコを相手に送るのは、<これからも仲良くしようね>って、意味だから心配せずに食べてね」


「わーい、チョコケーキッス!」

「チョコケーキ…」


「まあ、そういう理由なら、有り難くいただくわ」


 リズ、ミリア、ソフィーはそう言って、チョコケーキに思いを馳せながら屋敷の中に入っていく。


「さあ、アリシアも早く立って、ケーキを食べに行こう」


 紫音は地面に座るアリシアに手を差し伸べる。


「はい、シオン様」


 彼女はその手に捕まると地面から立ち上がり、スカートの砂を払うと紫音と共に屋敷に向かう。


 こうして、バトルタインは平和に終わった。




「お姉様~!」

「フェミニース流柔術<女神地獄車>!」


「いや~~!」


 その頃、天界ではミトゥースがフェミニースに転がされていた。


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