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女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第9章 少女激闘する(予定)

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325話 王妹様と爽やか好青年




 <激闘! うさ釣り祭り₍ᐢ。 ˬ 。ᐢ₎ その9>


 <午前12時30分 ふれあいの森どうぶつ王国 イリノモテ野うさぎ飼育所>


 ㋛「じゃあ、うさぎちゃん。バイバイ」


 紫音は捕まえたソフィー曰くリズ似のうさぎをリリースする。

 すると、うさぎは巣穴に戻るために暗闇に跳ねていく。


 そこに、ノエミンソンがうさ釣りの指導にやってくる。


 ㋨「うさぎは、警戒心が強いから… 明かりは消して…」


 こうして、照明を消すことになった現場は、暗闇に支配される。


 ㋞「真っ暗で、何も見えないじゃない!」


 ㋐「ソフィーちゃん、しょうがないよ。 明かりを付けたら、ウサギちゃんが警戒するんだから。そうしたら、釣れないんだから。もふもふできないんだから」


 ㋛「暗くて、何も見えない……」

 ㋞「ダメ先輩! 真っ暗なのをいいことに、変な事したら許さないからね!」


 ソフィーは、ダメ先輩がよからぬことを考えたのを察知して、それを実行しないように牽制も込めてすぐさま突っ込む。


 ㋛「はい……」


 紫音はがっかりしたような声で返事をする。


 ㋞「来たわ! うさぎが餌を食べているわよ!」

 ㋐「ソフィーちゃんに当たりが来ました! ライトオン!!」


 アキが照明のスイッチを入れると、その明かりによって暗闇からソフィーの姿が浮かび上がる。


 明かりに照らされながら、ソフィーはゆっくりと糸を巻くとその先にうさぎが付いて、地面を引き摺られながら近づいてきた。


 そして、ソフィーは近くまで来た餌に夢中のうさぎを抱っこする。


 ㋐「やったね、ソフィーちゃん。紫音ちゃんの時も30ポイントだったから、ソフィーちゃんも30ポイント!」


 ㋞「この子、捕まっているのに一心不乱に餌を食べているわね。まるで、バナナを食べている時のアフラみたいだわ…。よくみると毛の色もあの娘と同じ薄いオレンジ色をしているわね…」


 ソフィーの両腕の中で能天気な感じで、餌を夢中になって食べているアフラ似のうさぎ。

 因みに当のアフラは、既に釣りを放棄して睡眠状態に入っている。


 ㋞「まあ、こんな釣りで釣れるうさぎなんて、こんな能天気なうさぎか、さっきのジト目似のふてぶてしいのしかいないか… 」


 彼女の推測通り、普通のうさぎなら地面を引き摺られている時点で、警戒心を働かせ餌を放棄するであろう。


 ㋞「巣穴に帰りなさい」


 ソフィーは逃がすためにしゃがみ込んで、うさぎを解放する。

 ―が、アフラうさぎは逃げるどころか、彼女の近くに留まり「プゥプゥ」と鳴き声をあげ始めた。


 ㋨「その子、もっと餌が欲しいって言っている…」

 ㋞「どこまで食いしん坊なのよ!」


 そううさぎにも突っ込むソフィーであったが、側で自分の事を見上げながら「プゥプゥ」と鳴いておねだりしてくる姿を見て、


 ㋞「もう、しょうがないわね」


 次の餌にするつもりだった餌団子を、アフラうさぎに与える。




 #####




 紫音達が門の近くで待っていると、玄関の扉が開きエレナが出て来て、こちらに向かって少し駆け足で近づいてくる。


「ソフィーちゃんから、私に御用があると聞いたのですが?」

「君の父上、ゴートン殿から手紙を預かってきたんだ。これだよ」


 ルークは女神の鞄から、手紙を取り出すとエレナに手渡す。


「ゴードン殿は、悪党どもの妨害にも屈せず、冒険者の― いや、世界のために薬品を製造し続けた信念のある立派な人物だ。だから、エレナ君も胸を張るといい」


「お父さんが…… 」 


 エレナはルークに父親を褒められ、受け取った手紙を見ながら嬉しそうに笑みを浮かべる。


「おかえりなさい~! シオン様~! なっ!!!?」


 玄関の扉を勢いよく開けて、紫音に向けて駆け出そうとした時、アリシアの百合百合ヤンデレ観察眼が彼女の異変に気がつく。


「しっ シオン様が… おっ 男の人と一緒にいます!!」


 アリシアは、紫音がルークと一緒に居るのを目撃するとワナワナと体を震わせ、紫音がその男に心奪われるのではないかと不安に支配される。


「あの殿方は一体…」


 その相手を百合百合眼で観察するアリシアは、よく見るとその男がよく見知った人物であることに気付く、そう自分の兄であると。


「お兄様… お兄様が、どうしてこんな所に… 」


 そして―


「まあ、そんな事は一先ずどうでもいいです。シオン様から一刻も早くあの悪い虫― いえ、お兄様を引き剥がさなくては!!」


 兄を悪い虫呼ばわりして一応言い直してから、その排除のために近づいていく。


「シオン様~ おかえりなさいませ~」


 アリシアは、取り敢えず紫音が居るので、好感度を下げないように、笑顔で接近することにした。


「アリシア!? どうしてここに!?」


 紫音とルークは声を揃えて、彼女の登場に驚きの声を上げてしまい、その息の合っている事もアルシアにとっては気に入らないことであるが、あくまで笑顔を崩さない。


 二人が驚いた理由は、ソフィーにアリシアに気付かれないようにと頼んでいたのに、その彼女が現れたからであった。


(ソフィーちゃんは、しくじったのか)


 アキがそう思っていながら、ふと玄関の方を見るとアリシアが開けた扉の元に、そのソフィーが立っておりジェスチャーを送ってくる。


 その内容は<アリシア様のガチ百合レーダーが凄すぎて、先輩に気付いて勝手に出ていった>というものであった。


(流石だな、アリシア様)


 アキは心の中で、王妹様に感嘆の念を覚えていると、その彼女は続いて実兄に話しかける。


「お兄様、どうしてこの様な所に?」

「お兄様!!?」


 紫音とアキ、エレナはその王妹様の言葉を聞いて、今度は三人で声を揃えて驚く事になった。

 それはそうである、アリシアの兄ということは、目の前にいる青年が現国王ということになるからだ。


「アリシア様、人違いですよ。よく似ていると言われますが、私は貧乏貴族の三男坊ルーカス・アシュフィールドと申します」


「ルーカス・アシュフィールド? お兄様ったら、何をおっしゃっているのですか? ルークお兄様ではないですか! おかしなお兄様ですね」


 必死に誤魔化そうとする兄の気持ちなどお構いなしに、空気を敢えて読んでいないのか天然なのかは解らないが、妹はそのように答える。


「アリシアの― アリシア様のお兄さんということは、現国王のルーク陛下ですか!? はわわわわわ」


 紫音はそう尋ねると途端に顔色が悪くなって震えだす。

 あと一緒にエレナも…


 豆腐メンタルの紫音が国王などという偉い人が目の前に居ると判れば、緊張で心がパニックを起こしてしまうのは仕方がない。その紫音ほどでなくとも緊張するのが普通であり、冷静で居られるのはアキのような強心臓の持ち主ぐらいである。




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