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女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第9章 少女激闘する(予定)

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321話 報告書

 321話  報告書





 <激闘! うさ追い祭り₍ᐢ。 ˬ 。ᐢ₎ その5>


 <翌日午後3時10分 ふれあいの森どうぶつ王国宿屋>


 昨晩深夜まで夜ふかしした一同は、この時間まで爆睡していた。


 ㋐「ようやく初日が終わり、二日目となりましたね」

 ㋛「ノエミンソンちゃんは、諦めない責任感の強い良い子だったね」


 ㋞「ああいうのは、<責任感が強い>じゃなくて<諦めが悪い>っていうのよ!」

 ㋛「でも、最後の方は悲しそうな顔で『ネコいない…』って、残念がっていたよ?」


 ㋞「気づくのが、2時間遅いのよ!」


 ㋓「そんな言い方は駄目ですよ、ソフィーちゃん。ノエミンソンちゃんは、私達にネコを見せるって言った事を守ろうとしてくれたのですから」


 ㋛「そうだね。<もういいです>って、こちらから言ってあげるべきだったね。そうすれば、責任感の強いノエミンソンちゃんも、もっと早く帰る決断をしたかもね」


 ㋞「そもそも、この眼鏡先輩が悪いのよ。この人が後半すっかり、あの状況を楽しんでいるんだもん。アナタが言いなさいよ、責任者として! <もう帰りましょう>って!」


 ㋐「あはははははっ」


 次回へ続く


 #####


「クリス君。すまないが、これを読んでくれないか?」

「はい」


 クリスはミレーヌから何かの報告書を受け取ると、まずその表題を声に出して読みあげる。


「<クナーベン・リーベ及び3義姉妹についての調査報告書>?」


「そうだ。彼女達が人間だと解った時に、王都のルーチス殿に依頼して、彼女達の正体に関わる手掛かり、もしくは何か痕跡が無いか調査をして貰っていたのだ。その第一報が、昨日届いた」


「クナーベン・リーベ、推定年齢20歳前半、身長推定158cm、体重不明、血液型不明、出身地不明、在学歴不明、家族関係不明… 全部不明ですね…」


(この世界に彼女の過去が、存在しないということは、彼女が私達と同じ転生者というのは、確定かもしれないわね…)


 報告書を読み上げたクリスは、頭の中でそう考えながら、ミレーヌ達の反応を伺う。


「素顔の想像図と扱う武器と魔法を手掛かりに、リーベだということは伏せて、聞き込みをしたが、手掛かりは一切得られなかったそうだ」


「確かに、彼女達ほどの使い手なら、少しは知る者がいてもおかしくなそうですね…」

「だが、まるでこの世界に居なかったように、痕跡は一切無いらしい」


「他の三人も同じ結果なのですか?」


 ルークがミレーヌに質問すると、彼女はクリスに他の者達の報告書も読むように促すが、ケルベロス、サタナエルは同じく不明の内容であったが…


「ヘル 推定年齢10歳前半、身長推定140cm、体重不明、血液型不明、出身地不明、在学歴不明、家族関係不明… ただし、彼女とは確定できないが、彼女と思われる少女についての情報を追記する。アンヤ・ヨンセン 11歳 北のコルテ村出身」


「!!」


 その内容に読んでいたクリス、ミレーヌ以外の2人も驚きを隠せない。


「北のコルテ村と言えば、4年前に魔王軍が南下を始めた時に、真っ先に襲撃にあった村だったな」


「そうです、続きにこう書いてあります。<4年前の魔王軍襲撃の際に行方不明、その理由は… 」


 報告書の続きにはこう記されていた。


 アンヤ・ヨンセンは、村のフェミニース教会に女神の啓示と共に現れた少女で、啓示には“彼女を大切に育ててくれる夫婦に預けなさい”と記されており、主教はその掲示通り村で子供の居なかった夫婦に預けて、彼女を大事に育てるように伝える。


 しかし、彼女は不思議な力を持っており、それは<ヌイグルミを操る能力>であった。


 だが、そんな力は歴史上誰も所持していた者はおらず、複数のヌイグルミを楽しそうに操るアンヤを見た夫婦は、彼女を気味悪く感じてしまう。


 そして、魔王軍が襲撃してきた時に、これ幸いとアンヤを家に置き去りにしてしまい、それ依頼彼女を見た者はいないとのことであった。


「” ―夫婦は、今は反省しており、生きているなら会って、謝罪したいと最後に告げた”とのことです」


 報告書を聞いたユーウェインは、何とも言えない表情で黙っており、ミレーヌは目を閉じて同じく沈黙している。


 読んだクリスも、言葉が出ないという感じでいる。


「なんと… 幼子を置き去りにするとは… 」


 そして、ルークは怒りを顕にしてから、落ち着くと自分の推察を一同に話し始めた。


「ヌイグルミを操る能力といい、そのアンヤという少女が、置き去りにされた恨みから、魔王軍でヘルとなったということか…」


「リーベやケルベロスも、人間が嫌いと発言していたと報告が入っています。恐らく残りの三人も何かしら人間に恨みを持って、魔王軍に参加していると思われます」


「確証はないが、恐らくそうだろう…」


 ミレーヌも報告書を読んだ時から、そのように考察しており、ルークとユーウェインの推察を肯定するが、その彼女が続けてこのような質問をしてくる。


「そこでだが、問題はここからだ。この事を知って、君達は<彼女を討伐する事ができるのか?>ということだ」


「それは……」


 ユーウェインは言葉を濁すが、結論から言えば答えはノーである。


 そもそも、いくら人間に被害を齎す少女とはいえ、ユーウェインに少女を斬るという事は彼の性格ではできない。


 しかも、その理由を聞かされた今となっては尚更で、自分でも甘いとは解っているがこれが彼の性分であるため仕方がなかった。


 それは、女神武器を持つ者全般に言えることであり、彼ら彼女らに少女を斬るという事は、戦う者としては困った事ではあるができる者はいない。


 ミレーヌは二人に知らせるかどうか迷ったが、真実を伝えた彼らの決断に委ねることにした。


「シオンは、『彼女達が、悪い事しませんと言うまで懲らしめ続けて、反省させる』と言っていましたけどね」


「シオン君らしいセリフだな。だが、その作戦で行くしかないな」


 ミレーヌとユーウェインは、思わず笑みを浮かべてしまうが、彼女ならできそうな気がすると思ってしまう。


 そして、この血を見ずに済む結論こそミレーヌが、望んでいた答えであった。


「<罪を憎んで人を憎まず>か… 確かに、罪を認め反省して、償いをするならそれが一番だな」


 ルークも紫音の考えに賛成すると同時に、彼女に会ってみたいと強く思うようになる。


「ところで、ユーウェイン。オーガ達のその後はどうなったのだ?」


 ミレーヌは次の懸念事案の話題に移す。


「そうでした。ついでにその事を報告して、打ち合わせようと思って来たのです。今朝、オーガを追跡させている者から、連絡が入ったのですが、どうやら奴らは魔王城近くにあるデビルロード砦跡に到着した後、修復作業にはいったようです」


「デビルロード砦跡に!?」


 デビルロード砦跡とは、200年前の初代魔王が建てた要塞であり、その規模はフラム要塞ほどではないが堅牢で、そのため天音・セシリアが率いる魔王討伐部隊は、攻略するのに半年を要することになってしまった。


 その要塞を再建されてしまうと、攻略に同じような時間を浪費してしまうかもしれない。


 そこで要塞が再建される前に、ユーウェインは被害を覚悟で攻撃を仕掛けようと考えている。


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