表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第9章 少女激闘する(予定)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

358/383

特別編 腐るゥ販売員




 私の名は<喪女野腐女子もじょのふじょこ>人呼んで腐る販売員

 只の販売員ではございません


 私が取り扱うのはBL本と人間の心でございます


「うふふふ腐腐腐」


 この世は心の寂しい人ばかり、そんなみなさんの心の隙間をお埋めいたします

 いいえ、お金は一切いりません


 お客様が満足して見せてくれる笑顔が、私の何よりの報酬でございます


「アキちゃん、アキちゃんだよね!?」

「いいえ、違います。私の名は喪女野腐女子です。今回の犠牲― お客様はオマエな」

「今、犠牲者って言いかけたよね!?」



 さて、今日のお客様は―


 <天河紫音(18)冒険者>



    サブタイトル『大は小を兼ねるらしい』



(ああ、ミレーヌ様のように大きければ…)


 紫音が自分の慎ましさに、憂いた表情で街を歩いていると


「うふふふ腐腐腐、何かお困りのようですね?」


 後ろから突如声を掛けられ、振り返るとそこには全身黒いスーツと帽子、あと眼鏡を着用した女の子が立っていた。


「アナタは誰ですか?」

「私はこういう者です」


 突然声を掛けてきた自分を怪訝な目で見ているのに気付いたのか、黒い女の子は名刺を差し出してくる。


 <BL本販売と心の隙間お埋めいたします 喪女野腐女子もじょのふじょこ


 名刺にはこのような事が書かれていた。


「BL本販売と<心の隙間お埋めいたします>…?」


「何か悩んでおられたご様子。私に話してみませんか? お力になれるかもしれませんよ?」


「別に悩みなんて…」

「うふふふ腐腐腐、顔に胸がコンプレックスだと書いてありますよ?」


「はぅ!? どうして、わかったんですか!?」


「私なら、その悩みを解決できますよ? もちろん、お金入りません。ボランティアでやっているので。BL本販売はお金を頂きますが… うふふふ腐腐腐」


「本当ですか!? いや、そんなうまい話があるわけないよ!」


「まあ、そう言わずに、この薬を1錠試しに飲んでみてください。この薬は1錠で1カップ大きくしてくれる薬です」


 喪女野は手に持っていた鞄の中から、薬瓶を取り出して紫音に勧めてくる。


「何かの怪しい薬では無いですか?」


「疑い深い人ですね。ですが、女の子はそれぐらいが疑い深いほうが丁度いいでしょう。では、私がまずは目の前で1錠飲んであげましょう」


 彼女は薬瓶から、1錠取り出すとソレを目の前で飲み込む。

 すると、信じられない事に、喪女野の胸がワンサイズ大きくなる。


「ほっ 本当に大きく… 触ってみていいですか?」

「どうぞ。ただし、ここではなんですので、あちらの人気のない所で」


 二人は建物と建物の隙間に来る。


「優しくお願いしますね」


 だが、紫音は両手で鷲掴みにすると揉みしだく。


「はぁ はぁ そんなに激しくされては…」

「ほっ 本物だ… 本当にあの薬で、大きくなったんだ…」


「信じて貰えましたか?」

「はい!」


「では、これを…」


 喪女野は先程の薬瓶を手渡す。


「こちらもいかがですか?」

「いえ、そっちは結構です!」


 続けて差し出したBL本は、拒否されてしまった。


「効果は約半年。あとこの薬のことは、内緒にしておいてください。中々手に入らない貴重なモノなので、余計なトラブルが起きますから」


「わかりました」


「大は小を兼ねると言うし、ミレーヌ様と同じEカップにしよう!」


 その日の夜、紫音は自室で徐々にではなく、いきなりEカップを選択する。


 次の日、紫音は薬によって大きくなったEカップの胸を、大きく揺らしながら街を闊歩する。

 通り過ぎていく男達の視線は、自然と胸に集まっている。


(ああっ! 大きいだけで、こんなに注目されるんだ!)


 紫音は人生で初めての巨乳に喜びを満喫していた。


「ちょっと、先輩! どうしたのよ、その胸!? パッドね!? パッド何でしょう!?」


 そう言って、ソフィーは紫音の胸を揉みしだいてくる。


「はぁ はぁ そんなに激しくされたら… お姉さん、お嫁にいけなくなっちゃうよ…」

「本物だ… どういうことよ!?」


「成長期だからね!」

「成長期って、限度があるでしょうが!!」


 ソフィーの嫉妬と羨望の眼差しが心地よい。


 数日後、<カフェ 腐の巣>


「喪女野さんに頂いた薬のおかげで、快適な巨乳ライフを送っています」

「それは、よかったですね」


「男の人にも声を掛けられるようになって、もう最高ですよ!」

「うふふふ腐腐腐、それはよかったですね。私も嬉しいです」


 だが、次の瞬間―

 喪女野は顔を近づけて、このような忠告をしてくる。


「約束してください。バストの大きさに貴賤はありません。決して、慎ましやかな人にマウントを取ろうとしないと。特に傷つき易いツンデレツインテール相手には…」


「わかっています。私もそっち側だった人間です、そんな事をされた時の気持ちは解りますから!」


「もし、約束を破ればとんでもないことになりますからね?」


 だが、数日後には、紫音は大きな胸にうんざりするようになっていた。

 大きな胸は重いため肩が凝り、動く度に邪魔になる。


 声を掛けてくる男も大きな胸が目的のヤリ目なため、彼女の望むような恋愛につながらない。


(これなら、様子を見つつ1カップずつ大きくすればよかったよ…)


 紫音は思い胸を机に置きながら、大きくため息をつく。


「これみよがしに、胸を机の上に置いて!」

「しょうがないよ、ソフィーちゃん。思いからこうしたほうが、楽になるんだもん」


「それに、最近動きも鈍いわよ! その大きな胸が邪魔をしているんじゃない!? まったく無駄に大きくなって! ホントいい迷惑だわ!!」


 大きな胸が邪魔になってイライラが募っていた所に、ソフィーから文句を言われた紫音はついカッとなってしまう。


「まあ、ソフィーちゃんには、大きい胸の悩みなんて、一生解らないよね!」

「なっ!? 自分が大きくなったからって、よくそんな事が言えたわね!?」


「だって、本当のことじゃない。その軽くて動きやすいフラットボディには、解らない悩みだよ!」


「うぅ~!! ダメ先輩の馬鹿~~~!!!」


 ソフィーは半泣きで、その場から走り去ってしまった。


「ソフィーちゃんが、悪いんだから…」


 紫音が言い過ぎてしまったことに、後悔していると初めてあの女の子に会った時と同じように、背後から声を掛けられる。


「紫音さん。アナタ、私との約束を破りましたね?」

「ちっ 違うんです、喪女野さん! これは、ソフィーちゃんが… 」



 喪女野は言い訳を無視して、紫音に右手の人差指を刺しながらこう言い放つ。


「言ったはずです、大きさに貴賤はないと! 約束は約束です! アナタのような人間として、心の小さい女の子には小さな胸がお似合いなのです!」


「無茶苦茶な理屈を言っていますよ!?」

「問答無用!」


 喪女野の人差し指が、紫音の文字通り目の前に突き出される!


「ドーーーーーーーン!!!」

「あぅーーーー!!!」


 その掛け声と共に、激しい光が紫音の視覚と脳を襲い紫音は気を失ってしまう。


 紫音が目を覚ました時、その視界には心配そうな表情で自分を見るソフィーが映る。


「大丈夫、先輩!?」

「ソフィーちゃん… 私はいったい…」


 地面に倒れていた紫音が起き上がると、胸がおおきくなってからいつも感じていた胸の重みが消えており、胸が元のAAサイズからAAAサイズになっていた。


「むっ 胸が1カップ小さく!?」

「元に戻っただけじゃない!」


「元にじゃないよ! AAサイズから、AAAサイズに落ちているんだから!」

「豊胸のリバウンドでしょう?」


「どんなリバウンド!?」

「他が無事で良かったじゃない」


「いや、無事だけどある意味無事じゃないよ!?」


「あれほど忠告したのに、残念でしたね。ですが、彼女は大きな胸は失いましたが、大事な後輩は失わずに済んだようです」


 二人が仲良く言いあっている姿を遠くから見ている喪女野は、一人そう呟くと踵を返して鞄を片手にその場から歩き出す。


「隣の芝は青く見えるとはよく言ったものです。大きいモノにも小さいモノにも、それぞれデメリットとメリットがあります。それは持っている本人しか解らないものであり、どちらがいいとは言えないものです。うふふふ腐腐腐腐腐腐」


                                つづく?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ