298話 〇の字斬り!
<シェフ ソフィー 畑から開墾して、料理する春野菜スペシャル その3>
㋞「だから、ジト目やミリアでなくて、この体育会系3人なのね…」
鍬で畑を耕しながら、ソフィーは今回の人選の意味をようやく察することになる。
㋐「ソフィーちゃん。料理を作れと言われて、流石に畑から作るとは思わなかった?」
㋞「思う訳ないじゃない! 誰が料理を作れと言われて、開墾からって予想するのよ!? 今だって、おかしいと思いながら耕しているわよ! 馬鹿じゃないのって思って、鍬を振るっているわよ!!」
ソフィーは怒りを鍬に込めて、大地に振り下ろす。
㋞「でも、ソフィーちゃん。私だって鬼ではないないよ? ちゃんと農作業に慣れている紫音ちゃんと、元気いっぱいアフラちゃんをパートナーに選んでいるんだからね」
紫音は慣れた感じで鍬を振るい、アフラは元気一杯に鍬を振るっている。
㋛「私の家は田舎で畑を持っていて、よく修行の一環で手伝っていたからね」
㋐㋫㋶「うりゃりゃりゃりゃー!」
二人のお陰で開墾は予想以上に順調に進む。
午前12時になり、エレナの用意した昼食を食べて、休憩する3人。
㋞「お姉さまの<パイ生地>、どうすればいいのよ?」
㋐「大丈夫だよ。作業は4時には終わるから、そこから屋敷に帰ればまだ夕食に使えるよ」
㋞「それだったら、いいんだけど…」
ソフィーは納得していない表情ではあるが、渋々その意見を受け入れることにする。
そうしなければ、今にもアキにグーパンを叩き込んでしまいそうだからである。
㋐「では、最後に紫音ちゃん! 野菜を使ったダジャレをどうぞ!」
㋛「えっ!? 野菜を使ったダジャレ!? えーと… えーと… ネギを値切る!」
㋐「さあ、アフラちゃん! 野菜を使ったダジャレをどうぞ!!」
紫音のギャグを無かった事にして、アキはアフラに締めを振りなおす。
㋐㋫㋶「私はブドウ(葡萄)が好きなぶどうか(武道家)―!」
㋞「葡萄は果物よ! この能天気娘!!」
ソフィーがアフラのダジャレに、指摘ツッコミを間髪入れずに決める。
㋐「さあ、今ソフィーちゃんのツッコミが綺麗に決まったところで、次回へ続く!」
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紫音、リズ、スギハラ、クリスは連携してオリノコに攻撃を加えていく。
「コウナッテハ コレデイク!」
オリノコは尻尾を地面に叩きつけると、その反動とオーラステップを併せた”テールステップ”で高速移動を行う。
「速いッス! 命中が付けられないッス!」
その高速移動の前に、リズを含めた遠距離職は狙いを定められず、援護ができなくなってしまう。
「くっ!? 速いな!」
スギハラは縮地法で、オリノコの高速移動攻撃を何とか回避する。
だが、このオリノコのテールステップは諸刃の剣であった。
【無念無想】状態の紫音は開放した【チャクラ】によって、周囲のオーラを吸収すると同時にオーラの流れを感じることも出来る。
紫音はオーラの大太刀を中段で構えると目を瞑り、オリノコがオーラステップの為に脚に溜めたオーラを感じ取り続けた。
そして、オリノコが後方から迫った時、それを察知した紫音は、すぐさまオーラの大太刀を地面と水平にして、振り返りながら横薙ぎを繰り出す。
「モラッタ!!」
だが、オリノコの加速は速く紫音の背後に素早く迫ると、彼女が振り向くよりも一瞬早くその頭部に振り下ろされる。
「ナニ!?」
しかし、その斬撃を紫音に感応して動いていたGMファミリア6つが、彼女の頭上に円形状に滞空するとオーラのバリアを張ってその斬撃を防ぐが、その衝撃で四方に散開してしまう。
だが、それで十分であった。
何故なら、その僅かな時間の間に紫音は既に後ろに振り向いており、オーラの大太刀をオリノコの胴の左から右に掛けて一文字に打ち込んでいた。
「グオオオオ……」
紫音の一撃を受けたオリノコは、鎧は真っ二つになったが胴体はくっついており、何とか戦闘継続できるがかなりのダメージを受けている。
無念無想状態で冷静な紫音は、仕留めきれなかったと判断すると即座に刃を返して、そのままオリノコの左足目掛けて振り下ろしオリノコの太い左太腿を切断して、その厄介な機動力を削ることにした。
「逆『フ』の字斬り!」
紫音の斬撃は『フ』の字を逆にした軌道を描いたため、そう名付けるとすぐさま後方にジャンプしてオリノコとの間合い取る。
オリノコは残った右足と尻尾を使って、紫音を追撃しようとしたが、胴に受けたダメージとこれまで受けたダメージの蓄積で先程までの高速移動はできず、リズの偏差射撃でも命中するようになり、GRファミリアを受けて蹌踉めいた所をエドガーのフリーズを受けてしまう。
「風旋!!」
そこに縮地法で加速力したスギハラは、オリノコの右側を切り抜ける時にオーラを溜めた刀で斬りつけ、切断はできなかったが残った右足にダメージを与え、回避力を大きく削る。
「一気に畳み込むぞ!」
スギハラの号令を元に、動きの鈍ったオリノコに遠距離攻撃が一斉におこなわれ、回避力を失ったオリノコはダメージを一気に蓄積させていく。
「『く』の字斬り!」
「『ハ』」の字斬りー!」
文字の軌跡を描く斬撃が気に入ったのか、紫音は次々とオーラの大太刀で連続斬りを叩き込む。
「『/』の字斬り~!」
「『|』の斬りィーーー!!」
「『/』は袈裟斬り、『|』は唐竹斬りじゃないの! というか、『/』『|』は文字じゃなくて、記号じゃない!!」
ソフィーはそう突っ込んだが、遠くからのため紫音には聞こえない。
何故その遠くいるソフィーに紫音の技名が聞こえたのかは、後世の歴史家達によって色々な説が唱えられているが決着はついていない…
「グオオオオオオオオオオ!!」
紫音の脳天からの唐竹斬りを受けたオリノコは、断末魔を上げると魔石へと姿を変える。
「よし、四天王は残り一体だ! 最後まで、気を抜くなよ!」
「オーーーー!!」
スギハラがそう言うと、オリノコと戦っていた者達から大きな声が上がった。
こうして、リザード軍は王と四天王イリエだけとなる。




