251.5話 続・天使と悪魔(BL?)
これは、前回の裏話である。
「リズちゃん、ミリアちゃん。明日にはそれを忘れて、無かった事のように対応してあげるのが、大人の世界での優しさだよ。そういう、思いやりで世界の平和は保たれているんだよ」
紫音の年下ちゃん二人を諭すのを見ていたアキが”それフォローになってないよ”と、突っ込もうとした時、彼女の頭の中にいる悪魔がこう囁く。
俺様悪魔♂(俺様攻め)
ヘタレ天使♂(ヘタレ受け)
悪魔♂「オマエも、あのポンコツ聖女様を冷やかしてやれよ」
天使♂「……」
天使は黙って悪魔の側に立っている。
俺様悪魔♂「どうした天使、なにか言わないのか? 言えないよな、オマエはもう俺に絶対服従だからな」
ヘタレ天使♂「うぅ…(僕は駄目な天使だ……)」
「だから、リズちゃん、ミリアちゃん。明日は何も無かったかのような態度で、あのダメダメな総主教様を見送ってあげてね。そうしないと、あのポンコツ聖女様は凹んじゃうからね」
アキは悪魔の囁き通りに、フィオナを冷やかす言葉を発する。
「アキ、聞こえていますよ!」
フィオナは少しムッとした表情で、アキにそう言ってくる。
「では、私はこれで失礼しますね。帰り支度をしないといけないので」
フィオナのその言葉を聞いた時、アキの頭の中にいる俺様悪魔がまたもや囁きかけてくる。
俺様悪魔♂「更に追い打ちで、冷やかしてやれよ。世話になっていた一年間、家事やら朝起こすのやらで、余計な時間を使わされて漫画を描くのに迷惑掛けられただろう? その時のお礼をしてやれよ!」
ヘタレ天使♂「…」
先程まで黙っていた彼女の中のヘタレ天使が、意を決しアキに話し掛ける。
ヘタレ天使♂「そんな事を言ってはだめだよ! フィオナ様は、君を見守ってくれた大事な人じゃないか! 家事や朝の弱いフィオナ様を起こしていたのも、その彼女に少しでも恩返ししたかったからじゃないか!」
俺様悪魔♂「おい、天使! 誰が勝手に喋っていいと言った!? オマエが口を開いていいのは、俺のこの悪魔の尻尾を咥えるときだけだろうが!? どうやら、またお仕置きされたいみたいだな!」
ヘタレ天使♂「嫌だ…ん…っ ふっ…ん…や…め…っん…ああぁあっー!!!!」
(※内容は自主規制します)
俺様悪魔♂「わったかよ! オマエはもう俺に体も心も支配されているんだよ!」
ヘタレ天使♂「うぅ…」
フィオナが一同に会釈して、その場を立ち去ろうとすると、アキがフィオナに少しぶっきらぼうな感じでこのような事を言い出す。
「フィオナ様一人に女神武器の運搬を任せたら、帰り道に何もないところで躓いて、女神武器を溝に落としてしまう―」
アキが俺様悪魔の誘惑に負けてそこまで口にしたその時!
?「やれやれ…。最近の(ヘタレ)天使♂の様子がおかしいと思って来て見れば、やはりこのようなことになっていたのですね…」
俺様悪魔♂「誰だ…テメェ…」
ヘタレ天使♂「てっ、天使課長!!」
ヘタレ天使♂がそう呼んだ人物は、彼の上司である天使課長であった。
天使課長の年齢は20代後半から30代前半であり、その年令で課長に昇進できるほどの優秀な人物(天使)である。
天使課長はオールバックで眼鏡とスーツが似合うイケメンで、声は「BLの帝王」の異名を持つ人にそっくりなアキの大好物キャラであり、この人が来たら『これで勝つる!』である。
天使課長(cv.森○智○)「そこの(俺様)悪魔君。大人しく(ヘタレ)天使♂を返してもらおうか?」
俺様悪魔♂「おっさん! 急に現れて、何勝手なこと言ってんだ! 返して欲しかったら、俺様を倒してみろよ!」
俺様悪魔はそう言って天使課長に殴りかかるが、天使課長はそのパンチを軽やかに避けて、その腕を掴むとその力を利用して、悪魔を合気道の要領で投げ飛ばす。
俺様悪魔♂「ぐはっ!」
投げ飛ばされて地面に叩きつけられた悪魔が、立ち上がって体勢を立て直した頃には、天使課長はヘタレ天使♂の側に近寄って、悪魔に服を破かれ半裸になっていた彼にスーツの上着を掛けていた。
ヘタレ天使♂「すみません、天使課長…。僕が弱いばかりに…」
天使課長(cv.森○智○)「自分の弱さを認められる者は、成長することができる。これから、頑張って成長して立派な天使になりなさい」
ヘタレ天使♂「天使課長…」
ヘタレ天使♂は、すっかり天使課長の虜になっていた。
俺様悪魔♂「テメェ! 良くもやってくれたな!」
天使課長(cv.森○智○)「やれやれ、まだ懲りないのか。なら仕方がない…、口で言って解らない者には、体に教えるしか無いようだ…」
天使課長は、首元のネクタイを緩め、シャツの袖ボタンを外し腕まくりする。
俺様悪魔は天使課長に再び殴りかかるが、天使課長は再び軽やかにそのパンチを躱すと、殴ってきた俺様悪魔の腕を掴む。
そして、俺様悪魔の背後に素早く移動しながら、その掴んだ腕を俺様悪魔の背中側に引っ張り、捻り上げて俺様悪魔の腕と肩関節を極める所謂ハンマーロックにより、俺様悪魔を制圧し抵抗できないようにする。
俺様悪魔♂「ぐっ…! テメー、放しやがれ! うがぁ!」
俺様悪魔は何とか抵抗しようとするが、腕と肩関節を極められた状態では天使課長が彼の腕を少し上に上げるだけで、強烈な痛みが彼の腕と肩関節を襲い抵抗を許さない状況に追い込まれる。
天使課長(クール攻め・眼鏡攻め)
俺様悪魔♂(俺様受け)
天使課長(cv.森○智○)「やれやれ、困ったものだ。では、その強気な態度がどこまで持つか、試してみようか」
天使課長はそう言うと、俺様悪魔の背後から右手で腕を極めながら、空いている左手で彼の上着のボタンを慣れた手付きで外し、次に彼のベルトを外してズボンを下ろさせる。
天使課長(cv.森○智○)「ほぅ…。中々太くて立派な尻尾を持っているじゃないか…」
俺様悪魔♂「な…!? 何する気だ!!? 離せよぉ!! あぐっ!」
俺様悪魔は抵抗しようとするが、ハンマーロックは完全に極まっているために、抵抗する度に肩と腕に激痛が走る。
天使課長(cv.森○智○)「言ったはずだ…。口で言って解らない者には、体に教えるしか無いと…」
天使課長の左手が俺様悪魔の尻尾を攻め始める。
俺様悪魔♂「テメェェェ!!! やめろ! はなせぇ!!! あぁう!! んんっ…っっっ!!!あぁあん!! あっあっ!」
天使課長のテクニックの前に、俺様悪魔は直ぐに完堕ち寸前になる。
天使課長(cv.森○智○)「その喘ぎは、ハンマーロックを極められている痛みによるものかい? それとも…。さあ…最後にいい声で啼いてくれ!」
俺様悪魔♂「っ、あ! あ! んン、っ!!! ああぁあっ―!!!!!!」
こうして、天使課長によって完堕ちした俺様悪魔は、すっかり大人しくなってしまい、アキへの囁きをやめてしまう。
天使課長(cv.森○智○)「アキ君。好きな人に素直に感情を表すことは、恥ずかしいことではない。それが、世話になった相手なら尚更だ。さあ、素直になってフィオナ女史に感謝の言葉を伝え、彼女に甘えて別れを惜しみ一緒に過ごしなさい」
アキ「はい、そうします。ありがとうございます、○川課長!」
なお、この一連のやり取りが、アキの頭で行われたのは何と僅か0.05秒の間で、某変身時間と同じである!
「―かもしれないから、私も一緒に行きます!」
「アキ、私はそこまでドジではありませんよ!」
フィオナがまた少しムッとした表情でアキに反論するが、彼女は敬愛する姉のような存在の手から、少し強引に女神武器を奪うとこう言って教会に向かって歩き出す。
そして、アキは追いついてきたフィオナに、少し照れた感じでこう尋ねる。
「フィオナ様…。明日この街を去るまで…、一緒に居ていいですか?」
フィオアナはアキの急な態度の変化に少し戸惑ったが、直ぐに優しい笑顔でこう言ってくれる。
「もちろんです。私にアキと一緒にいることを拒む理由は、アナタと初めてあったあの日からありませんよ」
「フィオナ様……」
その言葉を聞いたアキは、この親友のヒンヌーポニーから、預かった女神武器を持っていなければ、この敬愛する女性に人目も憚らずに抱きついていたであろう。
二人は他愛のない話を楽しく話しながら、教会までの道を二人仲良く歩いて帰った。
その夜教会の食堂でアキは、フィオナに昼間の事について謝罪する。
「フィオナ様、昼間はあんな失礼なことを言って、すみませんでした!」
「別に気にしていませんよ。アナタが本心であんな事を言う悪い子だとは思っていませんから」
「私の中の悪魔が囁いてきたのです…。でも、もう大丈夫です! ○川課長が俺様悪魔♂を完堕ちさせてくれたので!」
「○川課長? 俺様悪魔♂? 完堕ち? 何のことですか、アキ!?」
フィオナが『?』という顔で、彼女を見ている。
「アキ、○川課長と俺様悪魔♂と完堕ちの話…後で詳しく聞かせてちょうだい」
ナタリーが腐女子レーダーを働かせて喰い付いてくる。
「はい。更にヘタレ天使♂の話もいかがですか…?」
「もちろん…。今夜は熱くなりそうね…」
「そうですね…」
「「腐腐腐…」」
「えっ!? アキは今夜私と一緒に過ごすのでは、なかったのですか!?」
フィオナはその二人に会話を聞いて、驚いてそう突っ込む。
アキがそのような発言をしたのは、彼女の頭の中に悪魔長(cv. 子○武○)が、暗躍しだしたからであるが、それはまた別の機会に……




