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女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第7章 少女新たなる力を手に入れる

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251話 マサカノセイジョサマ



 前回のあらすじ


「GMファミリアが敏感すぎた…。ストレートに敵への攻撃に働いた…。私のファミリアのコントロールも悪いけど…、巨乳がいるからだ! 巨乳を倒さなければ、死にきれるものじゃない…」


「ふざけるな! たかが大きな脂肪の塊二つ、スレンダムで押し返してやる!!」


「ヒンニュースレンダムは、伊達じゃない!」


                (※スレンダム 逆襲のフェミ 迷言集より抜粋)


 #####


「戻って、GMファミリア!」


 紫音がGMファミリアに指示を出すと、今度は命令どおりに彼女の元に戻ってきて、そのまま左肩の上に浮いている宝玉の周りの輪に着陸して、消費したオーラを蓄え始める。


「よーし、今度こそ!」


 紫音が今度こそ標的をイメージして、GMファミリアに指示を出そうとした時、後方から声を掛けられた。


「あの~、シオンさん~。お取り込み中、すみません~」


 その声の主は、先ほど別れたポンコツ大主教ことフィオナの声であった。


「フィオナ様、わざわざどうしたんですか?」


 紫音は突然のフィオナの訪問に驚いて、ファミリアの試験を中断して、彼女に近づいてその用件を尋ねる。


 すると、フィオナはバツの悪そうな表情で、このような事を話し出す。


「実は…女神様の指示を、一つ忘れていたのです…。シオンさん、女神様はアマネ様の女神武器の返還を望んでいます。私に渡してくれませんか?」


「これは、お借りしていたお礼と折ってしまったお詫びをしようと思って、時間に余裕がある時に、私が直接天音様のお墓に返しに行こうと思っていたのですが…」


 紫音が残念そうにそう答えるとフィオナはこう答える。


「恐らく女神様が、修理してくれるのではないでしょうか? 壊れた女神武器は、女神様しか直すことができませんから」


「そういうことなら、お返しします。修理した状態でお返ししたいですし…」


 紫音はそう言って自室に戻ると、天音の女神武器を持ってこの場に戻ってきて、少し名残惜しそうにフィオナに手渡す。


「はい、確かにお預かりしました。これは、私から女神様に責任を持って、お返ししますね」

「はい、お願いします」


「ところで、フィオナ様。どうして、わざわざ今日受け取りに来たのですか? どうせ、明日みんなで見送りに行くのだから、今日の内に紫音ちゃんにその時に持ってくるように連絡しておいて、明日受け取れば良かったのではないですか?」


 アキがこの無駄なやり取りに、突っ込みがてらに質問してみる。


「私もそうしようと思っていたのですが…」


 フィオナは先程のナタリーとの会話を話し出す。


「フィオナ様。明日受け取れば、女神様の言いつけを忘れた駄目な聖女様のままで、アキやみなさんと暫くお別れする事になりますよ…。それでいいのですか?」


「もちろん、立派な総主教の姿でお別れしたいわ」


「ならば、今日の失敗は今日挽回して、明日は立派な総主教の姿でお別れしましょう。では、今からシオンさんの所に向かって、アマネ様の女神武器を回収してきてください」


「……と、言うわけで。今日受け取りに来たのです。これで、明日は立派な総主教として、みなさんと暫くお別れできますよ~」


 フィオナは両手に女神武器を持ったまま、嬉しそうにそう言った。


「でも、私は前日に駄目なフィオナ様の姿を見ているから、明日も駄目なフィオナ様のイメージを引き摺って、お別れしてしまうッス。ミリアちゃんもそうッスよね?」


「えっ…!? わっ…わたしは…」


 リズに振られたミリアが答えに困っていると、紫音が優しい口調でリズとミリアをこう諭す。


「リズちゃん、ミリアちゃん。明日にはそれを忘れて、無かった事のように対応してあげるのが、大人の世界での優しさだよ。そういう、思いやりで世界の平和は保たれているんだよ」


「だから、リズちゃん、ミリアちゃん。明日は何も無かったかのような態度で、あのダメダメな総主教様を見送ってあげてね。そうしないと、あのポンコツ聖女様は凹んじゃうからね」


 アキがそう付け加える。


「アキ、聞こえていますよ!」


 フィオナは少しムッとした表情で、アキにそう言ってきた。


「では、私はこれで失礼しますね。帰り支度をしないといけないので」


 フィオナが一同に会釈して、その場を立ち去ろうとすると、アキがフィオナに少しぶっきらぼうな感じでこのような事を言い出す。


「フィオナ様一人に女神武器の運搬を任せたら、帰り道に何もないところで躓いて、女神武器を溝に落としてしまうかもしれないから、私も一緒に行きます!」


「アキ、私はそこまでドジではありませんよ!」


 フィオナがまた少しムッとした表情でアキに反論するが、彼女は敬愛する姉のような存在の手から、少し強引に女神武器を奪うとこう言って教会に向かって歩き出す。


「フィオアナ様、早く行きますよ!」

「ああ、待ってアキ~」


 そのアキをフィオアナは少し速歩きで後を追う。


 フィオアナが追いつくと、二人は何やら楽しそうに話しながら歩いていった。

 アキはその日は帰らずに、フィオアナと久しぶりに過ごすことになる。


「素直じゃないな、アキちゃんは…」

「でも、素敵な関係性ですね…」


 紫音の呟きにアリシアは、そう言いながら自然に彼女の横に立つ。


「ソフィーお姉さんとは、別の角度の面倒なお姉さんッス」

「だれが、面倒くさいお姉さんよ! 私はアナタよりは面倒くさいわよ、ジト目!」


「ツンデレお姉さん、私のどこが面倒くさいっていうッスか! 私はジト目寡黙冷静知性派キャラッスよ。面倒なキャラ要素なんて何もないッス!」


(確かに二人共面倒なキャラかも知れない…)


 二人が言い争っているのを見た紫音は、自分も大概に面倒なキャラであることを棚に上げて、心の中でそう思っていた。



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