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女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第7章 少女新たなる力を手に入れる

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244話 アメノムラクモ




 <お詫び>

 今更ですが、240話で幼女の姿をしたマオがゴーレムに下敷きにされるという、幼い子が酷い目にあうという【コンプライアンス】的にどうかと思われる表現がされています。


 ですが、マオちゃん本人は約200歳だと言い張っている合法ロリのお姉さんなので、見た目は幼女ですが問題はありません。


 #####


 紫音の抱擁を邪険に振りほどいたマオであったが、【無念無想】を会得して<やおいのおろち>を斃した紫音に改めて、称賛の言葉をかける。


「よくやった、紫音よ。あの状況で【無念無想】を会得したオマエなら、どのような状況でも【無念無想】から【無我の境地】に至り、【チャクラ】を感じて開くことができるであろう。そうすれば…」


 マオはそこまで言うと、この続きは今回親友の成長のために頑張ったアキに譲る。

 アキもそれを察して立ち上がると、紫音をある場所に連れて行く。

 彼女が紫音を連れてきたのは、<やおいのおろち>の尻尾だった岩の残骸が落ちている場所であった。


 アキはその残骸の一番大きな岩を指差して、紫音に脇差を手渡すとこのように促す。


「紫音ちゃん。この岩を真っ二つにしてごらん」

「この岩を?」


 紫音が聞き返すと、アキとマオはそれぞれ頷く。


 幅2メートル程ある岩の前に立ち、脇差を抜刀して構えると紫音は目を閉じて息を整える。そして、心を無にして【無念無想】の心になり、【チャクラ】を開いてオーラを脇差に流し込み、オーラの大太刀を作り出す。



「やぁ!!」


 紫音は目をゆっくり開け、オーラの大太刀を上段に構えると、気合とともにそのまま岩に向かって袈裟に振り下ろす。


 ―が、岩の途中でオーラの太刀が、岩の中にある何かにぶつかって金属同士の衝突音と共に止まってしまう。


「えっ、何!? また、岩を斬るのを失敗しちゃった?!」


 雰囲気出してカッコつけて斬ったのに、また失敗してしまった紫音は、【無念無想】状態で心が穏やかでなければ、恥ずかしさの余りに半泣きになっていたであろう。


 紫音が、オーラの太刀が刺さったまま岩を斬れなかったことに驚いていると、突然オーラの太刀が止まった場所から眩しい光が輝きだし、岩が粉々に砕けてしまう。


 そして、砕けた岩の中から、光り輝く鍔の根本に宝玉が埋め込まれた立派な太刀が現れ、その光り輝く太刀は不思議な力で宙に浮いている。


「これは……」


 紫音がその太刀に目を奪われ呆然と眺めていると、アキが側に来て説明を始める。


「紫音ちゃん、聞いたことない? 日本神話で<スサノオのミコト>が<ヤマタノオロチ>を退治した時に、尻尾から出てきたという神剣【天叢雲剣】。これこそ、その神話をモチーフにフェミニース様が<紫音ちゃんの為>に作った新しい女神武器【ムラクモブレード】だよ」


 紫音はその説明を聞くと、【ムラクモブレード】に左手を伸ばし鍔の下辺りの鞘を握ると、輝きが収まり宙に浮く力を失って鞘を握る彼女の手に太刀の重みが伝わる。


 手に持つ【ムラクモブレード】を、間近でマジマジと見ながら紫音は感想を述べた。


「これが…フェミニース様が、私の為に作ってくれた新しい女神武器【ムラクモブレード】……」


「試練を乗り越えた紫音ちゃんへのご褒美に、フェミニース様が用意してくれたんだよ。【無念無想】を会得した紫音ちゃんなら、使いこなせる筈だと言っていたよ」


 紫音はそう言ったアキの方を一度見てから、太刀の方に向き直し左手に持つ太刀を水平にして持つと、右手で柄を握りゆっくりと鞘から抜刀する。


 鞘から抜いた【ムラクモブレード】の刀身は青白い輝きを放ち、ひと目で強力な力を秘めていることを感じさせる。


 紫音は太刀を鞘に収めて納刀すると、【自分用】の女神武器を手に入れた嬉しさのあまりに、鞘に頬ずりをしながらこのような感想を述べた。


「天音様には申し訳ないけど…、ムラクモブレードのほうがカッコいいかも~」


 アキは新しい武器を手に入れて、浮かれている紫音に共感する。


「紫音ちゃんが新しい武器を手に入れて、嬉しい気持ちはわかるよ。私も苦労の末にBL作品の逸品物を手に入れた時は嬉しくて、踊りだしたくなるからね~」


「アキちゃんのBLなんかと一緒にしないでよ!」


 彼女がそう言って、ウンウンと頷いているとその紫音は、すかさず苦労して手に入れた女神武器と一緒にしないで欲しいとツッコミを入れたが、アキはすぐさまそのツッコミと言う名の暴言に反論してきた。


「おい、浮かれ控えめポニー。オマエの不用意な発言は、今回も多くの腐女子を敵に回したぞ! 今すぐ同士に謝れ! 逸品物に謝れ!」


「同士の皆さん、ごめんなさい! 逸品物もごめんなさい!」


 アキのもの凄い剣幕に、紫音は秒で謝罪する。


「では、そろそろ私の家に帰ろうか?」


 アキが紫音とマオに、この場を去って自分の家に帰宅しようと促す。

 紫音はその意見に同意するが、続けてアキに要求を突きつける。


「そうだね…。でも…その前に、アキちゃん! 私の服を返してよ! いつまで、この恰好をさせる気なの!?」


「わたしはかまわん!!」


 アキはキリッとした顔で、紫音にこのような返事(?)をした。


「私がかまわなくないんだよ! 早く返してよ!」


 その意味不明な返事に、当然紫音からこのような返事が帰ってくる。だが…


「わたしは一向にかまわんッッ!! むしろずっとその姿でいて欲しい!!」


 アキはくわっとした顔で、紫音に再びこのような返事をする。

 もちろんこのチートメイド服はフェミニースに返還しなくてはならないので、マオに諌められたアキは渋々紫音に冒険者服を返す。


 だが、こんな所で着替えるわけにもいかないので、紫音は猫耳メイド服の格好をしたままアキの家に帰る事になり、アキはその間名残惜しそうにその格好を見ていた。


「はい、御主人様! 服を返すね!」


 アキの家に着いた紫音は部屋ですぐさま着替えを済ませると、アキに猫耳メイド服セットを返却し、最後までご奉仕して貰えなかったアキはそのメイドセットを残念そうな表情で受け取った。






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