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女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第7章 少女新たなる力を手に入れる

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239話 おろちと再戦!



 前回のあらすじ

 アキの恐るべき野望が、遂に明らかになる!

 何と彼女の目的は、魔王が世界を征服した時、『男は半裸でBL、女はメイドさん』にするというものであった!


 果たして紫音は、アキに勝ってその野望を止めることが出来るのか? それとも負けて、このまま黒猫メイド<シオニャン>になってしまうのか?!


 #####


 紫音は折れた打刀を鞘から抜いて構えると、アキに向かってこのよう宣言する。


「アキちゃんの馬鹿げた野望は、私が止めてみせる!」


「今の紫音ちゃんが、私のゴーレムを斃すなんて不可能だよ! 紫音ちゃんのヒンヌーが今後Cカップに成長するぐらい不可能だよ!」


 アキは悲しい現実を紫音に叩きつける。

 そのアキの挑発(真実?)を聞いた紫音は、希望に満ちた顔でこう言い返す。


「フフフ…。それなら可能性は【ゼロ】じゃないってことだね! 私は必ずその【やまたのおろち】を斃してみせる!」


 そう言った紫音は、眼前に山のように立ちはだかる【やまたのおろち】を睨みつける。

 すると、アキはその紫音にこのような指摘をしてくる。


「紫音ちゃん。さっきから、マオちゃんと一緒にこの子を【やまたのおろち】って言っているけど、この子は【やまたのおろち】ではない!!」


「!? ……じゃあ、何だって言うの!?」


 アキの衝撃の発言に、紫音は驚く。紫音が驚くのも無理はない、八つの首に八つの尾持つその眼の前の巨大なゴーレムは、【やまたのおろち】以外にありえないからであった。

 驚く紫音にアキは、このゴーレムの真の名前を披露する。


「私はこの子の八本の頭に、それぞれBLの8つの象徴『攻め、受け、カプ、逆カプ、固定、リバ、王道、いばら』を当てはめている! そうこの子は【やまたのおろち】ではなく【やおいのおろち】なんだよ!! あと、私の八つの象徴が気に入らない方は、各々の思う象徴を八つの頭に当てはめてください!!」


 アキは最後に誰かに向かって、『異論は認める!』と語りかけた。


「そんなふざけた名前なの!?」


 紫音のツッコミに、アキは怒りを顕にしながらすぐさま反論する。


「ふざけた名前とは失礼な! これは、私達腐女子のBLへの拘りの象徴! ヒンヌーポニー! お前は今、全国の腐女子を敵に回したぞ! あとこれは、私の個人的意見です!」


 アキは再び誰かに向かって、最後にあくまで自分の個人的意見であることを明言する。


「やれ、<やおいのおろち>! その控えめポニーに、<勝利>も<胸が成長する>のも有り得ない事だと教えてやれ!」


 アキは紫音に現実を突きつけるセリフとともに、<やおいのおろち>に紫音への攻撃命令を出す。


「そんなことはないよ! 諦めなければ、不可能なことなんて無いよ!」


 紫音はその現実をかき消すが如く、希望が溢れる少年漫画のようなセリフを発すると、折れた刀に溜めておいたオーラで、自分に向かってくる<やおいのおろち>の首に“蒼覇翔烈波”を叩き込んで撃破する。だが、すぐさま別の首が次々と突進してきて、オーラを溜めることもできずに回避一辺倒になってしまう。


【女神の秘眼】が発動すれば、ここまで防戦一方になることは無かったかも知れないが、残念ながら発動していない。


 それは、アキが相手だから何だかんだ殺されはしないと、心のどこかで思っているために、心の底からピンチと感じておらず、更に<やおいのおろち>の丸みを帯びた姿とつぶらな瞳という、危機感を感じさせないほっこりした姿のせいであった。


 もちろん、<やおいのおろち>のその可愛らしいデザインは、紫音のことを知り尽くしたアキが【女神の秘眼】を発動させないために、意図したものである。

 紫音は、アキの策にまんまと嵌まり苦戦を強いられ、遂に頭の連続攻撃を躱せずにダメージを負ってしまう。


「あぐぅ…」


 <やおいのおろち>の頭の体当たりを受けた紫音は、苦痛の声を漏らすと吹き飛ばされて地面を転がる。


 だが、紫音は頭が体に当たる前に咄嗟に後ろにジャンプして、攻撃の威力を逃がすことに成功していた為に、致命傷を避けることができた。地面に倒れる紫音にアキは、余裕の表情でこう言ってくる。


「どうする紫音ちゃん? 私の黒猫メイドになるなら、助けてあげるけど?」


 紫音は四つん這いになりながら、アキに見えないように回復薬を鞄から取り出すと、返事を考えているように見せかけて薬を飲んで、負傷した体の回復をおこなう。


 意外にも、アキは紫音が回復していることに気付かなかったのか、大人しく返事を待っており、おかげで紫音は受けたダメージを回復させることができた。


「私は、アキちゃんのメイドになんかならないよ!」


 紫音はゆっくり立ち上がると、返事を待つアキにこう言ってから、女神武器の特殊能力を発動させる。そして、<やおいのおろち>の一番右端の首を狙って、ハイパーオーラバスターを放つ。


「いっけぇー! ハイパーオーラバスター!」


 折れた打刀から放たれたハイパーオーラバスターは、二本から放たれるものよりは細いが、オーラのビームとなって<やおいのおろち>の一番右端の首めがけて伸びていき、見事命中する。


 ハイパーオーラバスターで一番右端の首を破壊すると、紫音はそのまま横にスライドさせ次の首にオーラのビームを当てて、次の首の破壊を目指す。


 紫音はハイパーオーラバスターで、3つ目の首を破壊すると残りは4つで、紫音は続けて4つ目の首の破壊を破壊するために、オーラのビームをスライドさせようとすると、アキは<やおいのおろち>に命令を出す。


「<やおいのおろち>! 海老反りアタック!!」


 アキの命令を受けた<やおいのおろち>は、残った全ての首を地面に倒して代わりに胴体を海老反りさせると、今度は尻尾が首の位置に来て紫音のハイパーオーラバスターは、今度はその尻尾に当たることになる。


「そんな!?」


 紫音は尻尾を一本だけ破壊すると、尻尾を破壊しても意味がないと思い、女神武器の特殊能力発動を止めてハイパーオーラバスターも中断させる。


「はぁ…はぁ…」


 中断したとは言え、オーラを大量に失った紫音の体からは一気に力が抜けて、立っていられなくなりその場に膝をついて、その後に地面に手を付いて四つん這いになってしまう。


 その地面に四つん這いになっている紫音を、見下ろしながらアキがこのような説明を始める。


「紫音ちゃん、世の中のあらゆる物事には二面性があるの。【陰】と【陽】、【善】と【悪】 【裏】と【表】……。BLの化身たるこの<やおいのおろち>には、【首】と【尻尾】、そして【攻め】と【受け】があるんだよ!」


 アキがドヤ顔でもっともらしい言葉を並べて、紫音に講釈を垂れている間に紫音は先程と同じように鞄からオーラ回復薬を取り出すと、アキにばれないように薬を飲み始める。


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