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女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第7章 少女新たなる力を手に入れる

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238話 裏切りの理由




 紫音は幼馴染のアキを説得する事をマオに告げる。

 すると、それを聞いた彼女はこう言って反対してきた。


「シオン、オマエの気持ちは解るが説得は難しいと思うぞ。何よりアキを説得するには、あの強力な<やまたのおろち>型ゴーレムを撃破せねばならん。だが、先程の戦いを見る限り、今のオマエでは無理だ」


 そのマオの反対意見を聞いた紫音が反論し、更にマオが反論するという言争いになってしまう。


「そんな事無いよ! 私には、まだ女神武器の特殊能力発動があるから、それで斃してみせるよ!」


「一本だけでは、斃し切る前にオーラが尽きて、動けなくなったところを、逆に斃されるだけだ!」


「やってみないとわからないよ!」

「無理だと言っているのだ! アキの事は、今は諦めて一度退くのだ!」


 紫音が頑なにアキから離れたがらないのは、幼馴染をこのまま放っておけないというのもあるが、元の世界でアキが死んでしまった日に、紫音はアキに誘われたが断って出稽古に行ってしまい、それが別れとなってしまう。


 紫音はここでアキから離れたら、あの日と同じでまた会えなくなってしまう気がして、この場より離れることができなかった。


「マオちゃん…。私はアキちゃんから、離れるわけにはいかないの!」


 紫音は決意に満ちた瞳で、マオを見ながら自分の覚悟を語ると、彼女もその覚悟を感じ取り


「そうか…、なら好きにするが良い! 我は付き合いきれぬから、この場を去る!」


 マオはそう言って、紫音に背を向けると洞窟の入口に向かい歩き出す。

 そして、マオは洞窟の入り口まで歩くと、振り返って紫音に忠告をする。


「【無念無想】…。一切の想念を離れ無心になり、無我の境地に達する…。それにより体内に存在する<チャクラ>を感じ、それを開いて回しオーラを増幅させる。そして、自然に存在するオーラも取り込み操ることが出来れば、あの<やまたのおろち>ゴーレムを斃すことが出来るかもしれんな…」


 マオはそこまで言うと、再び進行方向に向き直す。


「まあ、今のオマエでは無理だろうがな」


 そして、背を向けたまま最後にこう言って洞窟から出ていった。

 紫音はマオを見送ると薬を一気に飲み干して、オーラを回復させると洞窟を出てアキの元に向かう。


 彼女がアキのいる元オーク本拠点跡までくると、<やまたのおろち>ゴーレムの首は全て再生されており、アキはその城壁の上にある壁の瓦礫の上に座って、親友が来るのを待っている。


 アキは城壁の上から紫音を見つけると、その彼女に声をかけた。


「逃げずによく来たね、紫音ちゃん!」

「私はもう後悔したくなから……」

「……」


 その紫音の言葉を聞いたアキは、彼女のその言葉の真意を感じたのか黙っており、紫音は目の前にいる幼馴染に自分の思いの丈をぶつけて説得する。


「アキちゃん! 元の世界で全てを奪われたアキちゃんが悔しさや恨みで人間を憎むのは仕方ないと思う…。私はアキちゃんと同じ目にあっていないから、その気持はわかるなんて言えないけど、それでも人類を裏切って魔王側に付くのは駄目だよ!」


 アキは紫音の説得を黙って聞いた後に、不思議そうな感じでこう言い返してきた。


「人間への恨み? 憎しみ…? 何を言っているの、紫音ちゃん? 私はそんな理由で魔王側についたなんて、一言も言ってないよ?」


「えっ!? 違うの? じゃあ、アキちゃんが魔王側についた理由ってなんなの!?」


 紫音がアキの返事に驚いた顔で、本当の理由を聞き返す。

 アキは満を持して、自分が魔王側についた理由を話しだした。


「魔王は約束したのよ。私が魔王側について、魔王の世界征服を手伝い、それが成し遂げられた暁には、『男は半裸でBL、女はメイドさん』にするってね!!!」


「そんな理由で、魔王側につくの!!?」


 紫音がすぐさまツッコミを入れると、アキは怒りながらこう言い返してくる。


「紫音ちゃん、<そんな理由>とは何だ! 全人類BLとメイドさん化計画は全世界オタクの夢だぞ!!(※あくまでアキの私見です)」


「そんな夢を持っているのは、アキちゃんだけだよ!」


「なんだと~! そういう生意気な事を言う紫音ちゃんは、私の猫耳メイドにした後、絶対に<シオニャ…、頑張って御主人様にご奉仕するニャ>って、言わせてやる!!」


「前にも言ったけど、そんな事は言わないからね!!」


 紫音はアキの欲望全開の言葉に、すぐさまツッコミを入れる。

 しかし、アキは妄想に夢中で紫音のツッコミを無視して、このような事を言い出す。


「でも、メイド紫音ちゃんは頑張って御主人様の私にご奉仕するけど、不器用だから何回もドジをしてしまう…。だから、私はお仕置きと称して、ドジっ子メイド紫音ちゃんに…ぐふふふ」


 アキはそう言いながら、エロい手付きをしながら妄想に浸っている。


「アキちゃん! ドジっ子メイド紫音ちゃんに、何をするつもりなの!!??」


 その妄想に浸るアキに紫音は、身の危険を感じながら突っ込む。

 アキはコホンと咳払いをすると、仕切り直して話を進める。


「そういう訳で、私は自分の野望の為に魔王側について、想定より強くなって邪魔になった紫音ちゃんを斃す!」


 改めてアキの宣言を聞いた紫音は、彼女に質問を投げかける。


「そんな理由で私を斃すって言うなら、どうして私に今まで力を貸してくれたの?」


 その紫音の質問に、アキはこのように答えた。


「それはね……。紫音ちゃんが、ここまで強くなるとは思っていなかったからだよ! 胸と一緒で成長しないと思っていたのに!! そのヒンヌーと同じように、強さも控えめにしていればいいものを…!」


「アキちゃん(怒)!!」


 紫音はヒンヌーを弄られた事と、アキのくだらない理由での裏切りに、自分がアキの裏切りの事を真剣に考えていた事に、正直馬鹿らしくなってきて怒りが込み上げてきていた。



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