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女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第6章 逆襲の魔王軍(仮)

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20?話 記者会見(前編)



 記者会見が行われる10分前、会場は各社の記者が続々と集まってくる。

 月影新聞のソフィーとアフラは、指定された最前列の記者席に座った。

 もちろん会見で質問をして、真相を究明するためである。

 決してツッコミをするためではない、断じてそうではない。


 ソフィーが、会見に備えて気合を入れると丁度開始の時間となり、記者会見台近くの入口から紫音を先頭にリズ、そしてその後にマオが神妙な面持ちで会場に入ってくる。

 すると、激しいフラッシュが3人に向けられた。


 3人がそのフラッシュを浴びながら、マイクがいくつも置かれた記者会見台の前に立つと、紫音は緊張した面持ちで話し始める。


「今回は当方の突然の記者会見に、お越しいただきありがとうございます。今回の件『章タイトル偽装詐欺疑惑』ついて、本作を代表して一応主役の私、天河紫音が記者の皆様の質問にお答えいたします」


 紫音がそこまで述べると3人は深々と頭を下げ、その瞬間フラッシュが激しく点滅して紫音達を襲う。


 3人は暫く頭を下げた後、席について質疑応答を始める。


「質問よろしいですか?」


 質問の口火を切ったのはソフィーであった。


「はい、どうぞ」


 紫音がソフィーに質問を許可すると、彼女はいきなり今回の事件の核心を突く質問をする。


「<第5章タイトル 逆襲の魔王軍(仮)>となっているのに、全然逆襲していなじゃないか! それらしいタイトルで煽っておいて、詐欺じゃないか! という意見が出ていますが、それについてどう思われているのでしょうか?」


「あー、えーと…ですね…」


 ソフィーの鋭い質問に、紫音が答えに詰まっていると、隣に座るリズが

『それは、もちろん』と囁く。


 すると、それを聞いた紫音は「それは、もちろん…」と、リズの囁きをそのまま質問の答えとして話し始める。


『欺くつもりは』

「あざむくつもりは…」


『無かったッス』

「なかったっす」


 どこかで、見たことある女将の会見みたいになってしまう。


「横の人の言ったことを喋っているだけじゃない! しかも、ご丁寧に”ッス”まで言ってるんじゃないわよ!」


 すかさず紫音の釈明にツッコミを入れるソフィー。

 彼女は気を取り直して記者らしい追求をおこなう。


「真面目に謝罪する気が、あるんですか!?」


 彼女の追求に、隣のマオが反論を始める。


「そもそも謝罪など必要ない。何故なら、その為に章タイトルに(仮)を、つけていたのだからな! (仮)ということはあくまで“仮“ということであろうが!」


 マオの暴論に、ソフィーも負けずに反論する。


「そんな事が言い訳になると思っているんですか! (仮)ならタイトルにも付いていますよ、タイトルも詐欺なんじゃないんですか?!」


 痛いところを突かれたという顔をしたマオは、逆ギレしてソフィーに手元にあったペットボトルの水をかける。


「ひゃあ!?」


 ソフィーはその優れた反射神経で、何とか浴びせかけられた水を回避する。


「何するのよ!?」


 彼女が、この暴挙に文句をつけると、紫音が次のように謝罪する。


「幼女のしたことですから、許してあげてください」


 すると、会場の雰囲気が<幼女なら、仕方がないな>と、なってマオを許す空気になる。

 そうすると、マオは役割を終えたとばかりに、席から立つと会場の出口から出ていった。


 紫音が何事もなかったかのように、次の質問がないか尋ねると、近くに座っていた魔王新聞のリーベが質問する。


「主人公の紫音さんに質問です。この作品のお勧めカプを教えて下さい。もちろんBLですよ?」


 紫音は<お勧めカプ?>と、困りながら、何とか質問に答えようとする。


「えっ!? あー、私は…BLというのは、あまり詳しくはないですが…、スギハラさんとユーウェインさんじゃないでしょうか…? 仲のいいお二人ですし……」


 リーベは重ねて紫音に質問をおこなう。それは質問というより、尋問に近いかもしれない。


「それはつまり、紫音さんの中ではスギハラ×ユーウェインということでしょうか?」

「え? あっ、はい。そうだと思います……」


 紫音は質問の意味がわからずにそう答える。

 すると、彼女の答えを聞いたリーベは、突然怒り出す。


「何を言っているのよ! どう考えたって、ユーウェイン×スギハラでしょうが!! 少し俺様属性で兄貴分のユーウェインが攻めに決まっているでしょうが!!」


 腐女子にとってカプの”×”の順番はとても大事なのである。


「ひっー! なんかごめんなさい!!」


 紫音はすごい勢いで怒られたので、謝ることにした。

 すると、近くに座っていたオータム新聞の記者アキが次の質問をする。


「紫音ちゃんに質問です。自分がTS化したら、攻め受けどちらだと思いますか?」


 紫音は、またしても関係ない意味のよくわからない質問に、戸惑いながらこう答える。


「攻め? 受け? えーと……攻め―」

「詩音ちゃんは、受けに決まっているでしょうが! しかも、総受けだよ! 異論は認めん!」


 アキは言わせねえよ! と、ばかりに紫音の言葉を遮ると勢いよく捲し立てた。


「ごめんなさい、ごめんなさい」


 異論を認めないのだったら、(どうして質問をしたのだろう?)と思いながら、紫音はアキの勢いに負けてまたもや謝罪する。


「何を関係のない質問をしているのよ、この腐女子共!!」


 ソフィーがツッコミを入れ終わると、腐女子達は警備員に会場から連れ出されてしまう。


 記者会見(後半)に続く。



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