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女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第6章 逆襲の魔王軍(仮)

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204話 オーク本拠点戦の前日



 紫音達は、上空を飛んでくるグリフォンに戦闘態勢を取って警戒するが、グリフォンはそのまま彼女達の上空を通り過ぎていった。


「いっちゃったね……」

「グリフォンの背中に…『仲良し三義姉妹』が乗ってた…」


 紫音がそう呟くと、イーグルアイでグリフォンを観察していたノエミが、クロエ達が乗っていたことを報告する。


「遂に出てきたわね…、『仲良し三義姉妹』…」


 エスリンはそう冷静に言ったが、内心は強敵の出現に穏やかではなかった。


 前回のクロエことケルベロスの戦闘力を見て、彼女と同じくらいの戦闘力を持つであろう3人が相手ではここにいる戦力だけで厳しいと思っていたからである。

 彼女の予測はあっており、3人が攻撃を仕掛けてきたら撤退せざるを得なかった。

 グリフォンの背中でクロエはエマに尋ねる。


「下にいる敵と戦わなくていいの?」


「まずは魔王様の指示通りに『魔物精製魔法陣』の破壊と『魔力吸収宝玉』の回収をしましょう。もし戦って私達が撤退することになったら、当初の目的を達成出来なくなってしまうから」


 エマがそう消極的判断をしたのは、連日の漫画作業からの寝不足による判断力の低下と、その疲労から正直戦いたくないと思ったからであった。


 それと、もうひとつの理由をクロエに尋ねる。


「あそこには、恐らくあなた達の友達がいると思うけど戦えるの?」

「そっ、それは……」


 リズ達の話を聞かされたクロエは、大人しくエマの意見に賛同して本拠点に向かうことにした。


「攻めて来るでしょうか、あの3人」

「さあ、わからないわね。ともかくオーク本拠点を監視して、彼女達の動向を窺いましょう」


 紫音の質問にエスリンはそう答えると、偵察兵に交代で本拠点を監視させる。

 オーク本拠点に降り立ったクロエ達は、休憩して移動の疲れを取ってから作業に取り掛かった。


 エマは『魔物精製魔法陣』に追加で取り付けられた、『魔力吸収宝玉』6つを取り外し女神の鞄に収納する。そして、続いて『魔物精製魔法陣』の『魔力吸収宝玉』を取り外す作業に取り掛かろうとするが、クロエが彼女に意見してきた。


「その宝玉は、明日の朝から取り外したほうがいいんじゃないの? そのほうが、オークがその分だけ生み出されて数が増えるんだから、明日の本拠点戦の戦力が増えていいんじゃないかな」


「それは、そうかもしれないけど……」


 エマの歯切れの悪い返事に、クロエはあの名セリフを教える。


「昔の偉い人が言っていたよ。“戦いは数だよ、兄貴!”って」

「確かにそれもそうね……。この6つは、明日取り外すことにしましょう」


 彼女がそう判断したのは、追加分を取り外すのに思いの外時間がかかってしまい、時間はすでに夜の7時になっていた事と、連日の漫画作業の手伝いの疲労と睡眠不足から、もう休みたいという欲求に勝てなかったからであった。

 後に彼女は『睡眠の重要性!』を再認識させられることになる。


 その頃紫音たちも夕食を食べていた。


「3人攻めてこなかったね」

「夜襲を仕掛けてくるかも?」

「本当に!?」


 アキがそう言うと、紫音とソフィーが驚いてアキに聞き返す。


「まあ、そういうこともあるかもって話だよ。でも、確率は少ないかな……」

「どうして、そう思うのよ?」


 ソフィーの質問にアキは自分の考えを述べる。


「仮に今夜私達に夜襲を仕掛けて、撃破したとして明日のユーウェインさん達との戦いはどうするのってこと。私達との戦いで夜寝てないのだから、眠い中戦うことになるよね。明日のほうが敵の戦力多いのは解っているのに、そんな状態で戦う事を選択しないじゃないかな?」


「確かに、眠いと戦えないよねー」


 アフラが、夕食を食べながら呑気に答えた。

 エスリンは夜襲を警戒して、交代による監視を続けることにする。


 その頃、本拠点内では夕食を終えたクロエが、その後片付けを終えるとエマが食事をしていた場所で寝落ちしていることに気付く。


「よっぽど、疲れていたんだね。アンネ、エマ姉をテントに運ぶのを手伝って」

「りょうかいなの~」

「起こさないように、ゆっくりとね…」


 クロエとアンネは、何とか起こさないようにエマを女神のテントまで運ぶと女神の寝袋に彼女を入れる。


「じゃあ、私達も寝ようか?」

「クロエお姉ちゃん、眠る前にお話聞かせてほしいの~」


 クロエがアンネにそう言うと彼女から、就寝前のお話をおねだりされてしまう。


「いいよ。じゃあ、どの話にしようかな……」

「わ~い、ありがとうなの~」


 クロエはどの童話を話そうか頭の中で考え始める。


 更にその頃、隠れ家では―


「さあ、真悠子先生! 今日は二人だけなので、徹夜ですよ! というか、徹夜しないと間に合わないわよ! 睡眠時間は3時間!」


「3時間!? いや、流石にそれは無理ですって!!」


 真悠子ことリーベは、”魔王様って徹夜になると、どうして変にテンション上がるのかしら?”と思いながらそう言う。


「大丈夫よ、真悠子! あの英雄ナポレオンも、睡眠時間は3時間だったらしいから! アナタならできるわ!」


 すると、魔王はそう言って、作業を始める。

 ”何が私なら大丈夫なのか?”と思いながら、魔王が作業を始めたので、彼女も仕方なく作業を始めるリーベであった。


 そして、再びオーク本拠点では―


「その時、赤頭巾は右腕に封印された暗黒竜が目覚めそうになり、その右腕に”大人しくしていろ! これは私と狼の戦いだ!”と、右腕の暗黒竜を押さえつけると狼に対して、”オマエのようなお婆さんがいるか!”と言って、お婆さんに化けていた狼の正体を看破する。すると、狼は”フフフ…、流石だな赤頭巾。だが、俺の疾風狼牙拳を防ぎきれるかな!?”と言って、赤頭巾に襲いかかる!!」


「クロエお姉ちゃん、そんなお話じゃあ眠れないの~」


 クロエがアンネに物語を語り聞かせていたが、アンネはクロエが熱く語る厨ニ設定盛々のオリジナル赤頭巾を聞かされて、その後も暫く眠ることが出来なかった。


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