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女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第6章 逆襲の魔王軍(仮)

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197話 連携(駄目な娘の方)



 オーク戦も終盤に移りスギハラ達がデュロックと戦っていた頃、紫音はもう一体の四天王タムワースと交戦していた。


 紫音はその自慢のスピードを活かして近づくと、タムワースは槍で迎撃してくる。タムワースの槍は刀身がギザギザ刃になっており、敵を刺したり斬ったりした時に傷口を広げダメージを大きくさせる作りになっていて、当たると痛そうだと紫音は思った。


 そのため紫音の豆腐メンタルは早々に警鐘を鳴らして、彼女に女神の秘眼を発動させる。

 秘眼を発動させ動体視力が強化された紫音には、タムワースの槍の動きはかなり遅く見えた。


 タムワースは左手を手前に槍を構え、突進してくる紫音を槍で突くと彼女はサイドステップで右に回避して、がら空きになった背中の方に抜けようとする。だが、タムワースはすぐさま左手を槍から離して、体を捻りながら後背にいる紫音にその左手でバックハンドブローを叩き込んでくる。


「!!」


 そのバックハンドブローを、冷静に更にサイドステップをして紙一重で回避する紫音。そのためギリギリでその強力なバックハンドブローを回避したために、それによって生じた風圧が紫音の髪を乱しその威力を物語る。


 メンタル強化された彼女は動じずにその空振ったタムワースの左腕を左手に持ったオーラを溜めた脇差で斬りつけ、反撃を受ける前に素早く移動して距離を取った。


 紫音はタムワースと距離を取ると、左右に持った女神武器に付いた女神の宝玉に目を移し宝玉のオーラチャージの残量を確認する。


「もう少しね……」


 宝玉のオーラチャージは9割を超えていて、それを確認した紫音はそう言って武器を構え直すと、タムワースと睨み合いを続けてお互い間合いを測り合う。


「おかしいわ……」


 その戦いの様子を見たソフィーは、怪訝そうな顔でそう呟いた。

 彼女の側で魔力の回復をしていたリズが、その呟きを聞いて尋ねる。


「何がおかしいッスか?」


 リズの質問に、ソフィーはこう答える。


「いつもなら、”ひゃう、こわい!”とか”あ~れ~”とか言って、地面を転がったりしているはずなのに、今回は真面目に戦闘を続けているわ…」


 ソフィーのその発言を聞いたリズは、彼女にこう言い返す。


「ツンデレお姉さんは、シオンさんを何だと思っているッスか……。シオンさんは…」


 メンタル強化された紫音は悪い意味で戦闘に余裕を持っていて、タムワースと対峙しているにも関わらず、たまたま耳に入ってきた二人の会話に興味を持ってしまう。


(そうだよ、リズちゃん。私のことを誤解しているソフィーちゃんに、紫音お姉さんの良い所を教えてあげて!)


 紫音は二人の会話に聞き耳を立てながら、心の中でそうリズに願うと彼女はこう言葉を続ける。


「シオンさんはそんな心配しなくても、ちゃんとこの後やらかしてくれる駄目なお姉さんッス! 黙って見ているッス!」


 リズがキリッとした表情で、ソフィーにそう言い切った。


「リズちゃん!?」


 紫音がそうリズにツッコむと、タムワースはもちろんその隙を見逃さずに突進してきて、紫音に槍による突きをお見舞いする。


「ひゃう、こわい!」


 紫音はギリギリでその突きを、上体を斜め後ろに反らして回避するが、タムワースはその突いた槍を今度は紫音の方向に薙ぐ。


 紫音はその薙ぎ払いを更に体を反らして回避するが、反らしすぎて後ろに倒れてしまう。

 タムワースは地面に倒れている紫音目掛けて槍を突き下ろすが、紫音は地面を転がって回避する。


 タムワースは紫音に回避され地面に刺さった槍を抜くと、再び紫音目掛けて突き下ろすが彼女はまたしても地面を転がって回避した。


「いや~~!!」


 紫音が必死に体を回転させて地面を転がって、タムワースの突きを回避していると、その頭にリズのGRファミリアから発射された大きな魔力の矢が命中する。


「グオオオ!?」


 タムワースは、紫音に気を取られて地面ばかり見ていた為に、飛んできた矢に反応できずにまともに受けてしまう。GRファミリア6本の魔力の矢が合わさった大きな矢の威力は、タムワースにかなりのダメージを与える。


 タムワースが大きく体勢を崩して片膝を突くと、その間にソフィーが高速で近づいて紫音の腕を引っ張って地面を引きずっていく。


「イタタタ、痛い、腕が痛いよ、ソフィーちゃん! 腕が抜けちゃうよ!」


 ソフィーに引きずられている紫音はソフィーにそう言ったが、女神の加護で身体能力を強化されている紫音の腕は、もちろんこの程度でどうこうなるわけがない。


「うるさいわね! 千切れたらエレナさんに回復してもらうから、黙ってなさいよ!」


 紫音は必死にタムワースから、自分を引きずって距離を取るソフィーに一喝されてしまう。

 体勢が崩れているタムワースにリズは、容赦なくGRファミリアの魔法の矢を発射し続ける。


 高威力を誇るGRファミリアでなければ、タムワースの動きを封じ続けることは出来なかったであろう。紫音達が離れたのを見たミリアは、タイミングを見計らって発動を止めていた炎属性最高位魔法”インフェルノ“を発動させる。


「インフェルノ!」


 彼女の詠唱とともに魔法陣が輝き、そこから巨大な炎の柱が渦を巻きながら吹き上がると、タムワースを巻き込み空に上っていく。だが、暫くするとタムワースはその巨大な炎の柱からよろめきながら出てきて、ミリアを標的と定める。


 それは、自分を焼豚にしようとした怒りの本能から来るものか、強力な魔法を使う者を先に倒そうとする戦術かはわからない。ただ解るのは、タムワースがミリアを標的にしたということだけである。


 ソフィーは引きずっていた紫音の腕を乱暴に放り出すと、腰の左右の鞘からミトゥデルードを抜刀して、特殊能力を発動させる。


「あうっ!? 酷いよ、ソフィーちゃん。もっと優しく……」


 ソフィーは紫音の訴えを無視して、GDSファミリアの準備をする。


「いけっ! GDSファミリア!」


 彼女の命令を受けた2つのGDSファミリアは鞘口からオーラを噴出させて、タムワースに向かって飛んで行く。そして、ソフィー自身もその後を追いかけるように、タムワース目掛けて走り出す。


 先行したGDSファミリアは、鞘先からでたオーラの刃でタムワースを斬りつけようとするが、槍に迎撃されダメージを与えられない。


 ソフィーは、左右に持った高周波ブレードとなったミトゥデルードで斬りかかるが、彼女自身が身体強化されている訳ではないので、繰り出した斬撃はタムワースに全て防がれてしまう。


「くっ!!」


 ソフィーは全て防がれた自分の未熟な腕に、悔しくて自分自身に怒りを覚えた。

 タムワースはそのソフィーに攻撃をしようとするが、再び襲ってきたGDSファミリアを切り払っている間に彼女に距離を取られてしまう。


 リズはGRファミリアの撃ち過ぎで、薬で魔力回復をおこなっている。

 だが、彼女はミリアがタムワースに狙われているのに、さほど焦っていなかった。


 なぜなら、タムワースの背後には女神武器の特殊能力を発動させた紫音が、超高速ですでに肉薄して左右に持ったオーラを溜めて強化した大小の刀で、斬りかかろうとしていたからであった。





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