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女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第6章 逆襲の魔王軍(仮)

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187話 オーク戦開始前



 フィオナが、両手で大事そうに持っているモノに被っている布を隣のナタリーが取ると、そこにはサイズが一回り大きくなって、黒い模様が追加されたミーことミトゥルヴァがいた。


「ミー…」


 リズは、ミーとの待ちに待った再会に泣きそうになるが、涙を堪えて魔力をミーに込める。

 彼女は人前で泣くなどの、自分の弱さを他人に見せることは余り好きでは無いためであった。


 魔力を注ぎ込まれたミトゥルヴァは、電源が入ったかのように目が開く。


「ホーー」


 すると、鳴いてフワッと宙に浮いて、リズの頭の上に乗った。


(今どうやって、あんな短い翼で飛んだの?!)


 それを見たナタリーとメアリーは、航空力学を無視したミトゥルヴァの飛び方に驚く。


 一方フィオナは……


「感動の再会ですね~。私もアキに早く会いたくなりました~」


 そんな疑問も抱かずに、感動の再会に心打たれていた。


「ミ―! 会いたかったッス!」

「ホ――」


 二人が再会を喜んでいると、フィオナが女神から聞いた新しいミトゥルヴァの説明を始める。


「この子の名前は”ニューミトゥルヴァ”だそうです。えーと、使い方は前と変わらないそうです」


「あとこの鞄の中に、新しい付属の武器が入っているそうです」


 ナタリーが女神の鞄(中)をリズに渡す。


 リズは破壊されたゴッデスクロスボウファミリアの補充と思って、女神の鞄(中)を受け取ると中を見ずに肩から掛ける。


「私達からは以上です。後は要塞防衛戦が終わった後に、アルトンの街の教会で女神武器の授与式をおこないますので、覚えておいてください」


「まあ、詳しい話は戦いが終わった後に、ミレーヌの屋敷でするわね」


 ナタリーとフィオナの説明を聞いた後、リズは乗ってきた馬に騎乗する。


「みなさん、わざわざ王都からミーを連れて来てくれて、ありがとうございますッス。私はこれから急いで要塞に向かうのでこれで失礼しますッス」


 そして、フィオナ達にこのようなお礼の言葉を述べると、彼女達はそれぞれにリズに応援の声をかけた。


「リズちゃん、無理しては駄目ですよ」

「リズさん、頑張ってください」


「リズちゃん、ご武運を!」

「ありがとうッス!」


 リズはその応援の言葉にお礼をすると、要塞に向けて馬を走らせる。

 要塞に向う買う途中リズはミーに話しかけた。


「ミー、一回り程大きくなっているけど、重さは変わらないッスね。黒い模様もカッコいいッス!」


「ホーー」


 ミーはリズの頭の上で嬉しそうに鳴いた。


「ホーー、ホーー」


 ミーはこの移動時間を利用して、自分の新しい機能をミーに説明する。


 新型の女神の宝玉で周囲の魔力を吸収して、少しずつ回復できるようになったこと、新型の大容量魔力蓄積器で大量に魔力を蓄積できるようになったこと、そしてそれによる弊害も……


「なるほど…、大量に蓄積できるから魔石電気代が高くつくと……。ミレーヌ様にはバレるまで内緒にするッス」


 リズは怒られるのが嫌なので、黙っておくというまたしても悪手を選択した。

 もちろん、後日黙っていたことに対して、アイアンクローを受けることになる……


 その頃、紫音達はフラム要塞でオークの侵攻を待っていた。

 要塞所属の騎士たちが指揮官不在の不安から、いつもより緊張感を増していて、それを肌で感じた紫音はエレナに話しかける。


「要塞の人達、みんなピリピリしているね…」


 同じくその雰囲気を感じ取ったエレナはこう返事を返した。


「仕方ないと思います。指揮官のカムラードさんがいないから、みなさん不安なのだと思います」


「“月影”のみんなもピリピリしていたわ。今回はいつもよりも、責任重大だから大変みたい……。私もお姉さまの期待に答えるために頑張らないと!」


 自分のクランの様子を見てきたソフィーが、紫音達に合流すると、そう言って気合を入れる。


「今回もやっぱり、リーベが邪魔しに来るよね?」


 紫音がリーベの存在を気にして、ソフィーに尋ねた。


「来ると考えるべきでしょうね。それに最悪あの『仲良し三義姉妹』もね……」


 すると、彼女は厳しいといった表情でそう答えた。

 ユーウェインがいないとはいえ、前回のオーク戦より人間側の戦力は上がっている。


 紫音、リズ、ミリア、ソフィー、アフラが強力な武器を手に入れ、アキのゴーレムもいた。

 だが、オーク側も40体増え、リーベとそのゴーレム、そして新たに『仲良し三義姉妹』が参戦してくる可能性がある。そうなると、勝利はどうなるかわからない。


「勝てますよね?」

「勝てるよ、たぶん……」


 エレナが不安そうに紫音とソフィーに尋ねると、紫音からは、自身のない答えが返ってきた。


「”たぶん…”じゃないわよ! 絶対に勝つのよ! そうでないと、私が活躍してそのご褒美に、お姉さまに可愛がって貰う計画が台無しじゃない!!」


「ソフィーちゃん! 興奮しすぎて後半、心の声がダダ漏れになってるよ!」


 紫音が興奮するソフィーにツッコミを入れる。


(流石はツンツン強気のソフィーちゃんだな…。この状況にそんな妄想する余裕があるなんて……)


 彼女のハートの強さに感心していた。

 そして、妄想を楽しんでいる者がもう1人いる。


(この戦いが終わったら、早速ソーフイ、アフル、クリムと紫音…じゃなかった、クオンとの絡みをネームにしないと! まずは、ツンデレ後輩ソーフイとの絡みを…うへへ……)


 アキは回復薬で魔力を回復させながら、妄想を楽しんでした。

 その頃、魔王達は隠れ家で原稿の製作作業を継続している。


「しかし、魔王様…。今日オーク侵攻の日ですけど、援護に行かずに原稿作業をしていていいのでしょうか?」

「まあいいでしょう…。ユーウェイン・カムラードがいないのだから、人間側は統率がとれないでしょうし、そうなれば軍は正常に機能しなくなり、実力を発揮できなくなるわ。そうなれば私達がいなくても、オークが殲滅されることはないでしょう……」


 リーベが質問すると魔王はそう答え、リーベ達を安心させたが内心では不安もあった。


(ただし、代わりに指揮を取れるものが出てくれば話は変ってくる…。でも、事前に得ている情報では、彼程の指揮官はいないみたいだし大丈夫でしょう……。何より、締切りがギリギリなのにそんな余裕はない!! きっと、大丈夫よ!)


 締め切りを理由に、不安要素を楽観的観測で誤魔化すことにする。

 これは奇しくも、以前に彼女自身がリーベに教えた<権力者は時に希望的観測で、物事を進めたくなる>という言葉を自ら実践してしまう事となてしまう。


 こうして、魔王たちは総出でBL漫画を描くことになった。

 オーク戦を放置して……


 紫音達の不安は、まったくの杞憂となった。


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