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女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第6章 逆襲の魔王軍(仮)

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184話 魔王の最後



 死闘の末、ついに魔王スゴクワルデスを追い詰めた天音一行。

 天音達の攻撃で魔王は力尽きかけており、頭の左右についた立派な角は右側が折れ、鋭い爪も牙もボロボロになり、その姿からはもはや戦う前に放っていた絶望的な威圧感はない。


 魔王スゴクワルデスは、対峙しているアマネ達に最後の台詞を話し始める。


「こ… この我がやられるとはな……。だが我は…、オマエ達… 人間が… 欲望を捨てない限り…、何度でも… 蘇る…」


 最後の力を振り絞り、息も絶え絶えにそう台詞を言った後―


「具体的に言うと、人間同士で争おうとすると蘇るからな」


 魔王スゴクワルデスは、事務的に具体的な自分の復活事案を伝えた。

 これはフェミニースが、魔王が破れた時に人間側への警告として、予め魔王に言うように命令として組み込んでいた事であったからだ。


「アマネ、魔王にとどめを!」


 セシリア・アースライトの言葉に魔王の言葉を、考え事をしながら今まで黙って聞いていた天音は、女神武器を構えると魔王スゴクワルデスに近づく。


「ごめんなさいね、魔王スゴクワルデス…。アナタは女神様の指示通りに、魔王という役をこなしていただけなのに……」


 そして、魔王スゴクワルデスにだけ聞こえる声で、そう喋ると刀を振り上げて魔王スゴクワルデスに振り下ろす。


 ―が、魔王スゴクワルデスに当たる寸前で斬撃を止めてしまう。

 魔王スゴクワルデスが女神様の命令とはいえ、魔物を使って人間を襲わせていたのは許されないことだ。そのことにより死人が出ない世界とはいえ、人間に迷惑をかけたのは事実である。


 それでも、天音には役割を忠実に果たしていただけの魔王スゴクワルデスが、絶対悪とは思えずにとどめを刺すことができなかった。


 魔王スゴクワルデスは他の魔物と違って、魔物を統括するために自我を与えられている。更に知能を高く設定され、片言ではなく流暢に喋ることができた為に、その事が天音に魔王スゴクワルデスにも命があるように思えて、とどめを刺すことを躊躇させてしまった。


「アマネ!?」

「アマネさん!?」


 その行動に驚くPTメンバーに天音は、PTメンバー達に俯きながらそう語りかける。


「ごめんなさい、みんな……。間違っているのは、わかっているの……。でも、私には……」


「この…魔王スゴクワルデスが…、人間如きに…情けをかけられるとは……。この魔王スゴクワルデス…無に還るのに…人間の手など借りぬわ!」


 すると、魔王スゴクワルデスは、こういう時の為に女神が用意しておいた魔石コア自壊システムを作動させる。


「あと大事なことだから二度言うが、人間同士で争おうとすると蘇るからな!」


 そう言って、自らの魔石コアを破壊し無へと還ってこの世界での役割を果たした。



「アマネ……」


 セシリアは魔王スゴクワルデスの前で、俯くアマネを後ろから優しく抱きしめる。


「アマネらしいわね。今まで魔王スゴクワルデスの被害を受けた人達には、顔向けできないけど……」


「ホーー」


 リーゼロッテ・エドストレームが、ジト目の冷静な顔で意見を述べた。


「これで、本当におわったのですね……」


 このPTの回復役で後の大司教デルフィーヌ・プティが、安堵と激戦の疲れからその場に座り込む。


「魔王スゴクワルデスが最後に言っていた、『人間同士で争おうとすると蘇る』という言葉どう思いますか? そこの隙あらば、百合百合するバカップルのお二人」


 ミア・ウルスクラフトがPTメンバー、特にアマネとセシリアに尋ねる。


「もう、ミアったらカップルだなんて~」


「セシリア様。この子”バカップル”って言ったんですよ。脳内お花畑では、そう聞こえなかったかもしれませんが……」


 セシリアが照れていると、リーゼロッテがジト目で毒を含んだ言い方で、そう訂正する。


「リーゼ先輩、告げ口だなんて相変わらず性格悪いですね。セシリア様、リーゼ先輩が激戦の後だというのに、セシリア様がアマネさんと呑気に百合って浮かれているのを良いことに、脳内花畑ってバカにしていますよ?」


 するとミアも毒を含んだ言い方で言い返す。


「ミア、アナタそんな言い方しかできないから、才能があるのに誤解されて孤立するのよ」


「リーゼ先輩だって、そんな捻くれた性格だから戦場でカッコよく活躍しても、ミトゥルヴァしか友達がいないじゃないですか!」


 二人は互いの才能を認めているために毒の応酬をした後に、互いの才能を認めるという奇妙な発言をする。


「二人共、王女である私に仲間とはいえ流石に言い過ぎよ! ねえ、アマネ?」


 その二人の毒攻撃を受けたセシリアは、天音に話を振った。


「そうよ、私は別にセシリアと百合ってないわよ。親友だから、仲がいいだけよ。」

「そんなアマネ!?」


 期待した言葉が出てこなかったのでショックを受ける。


 因みにミアがバカップル発言したのは、彼女達…セシリアが一方的にアマネに百合って、そのたびに余計な時間を使うのと、自分は仲良くしたいリーゼロッテと上手くいってないのに、一方的とはいえ目の前で仲良くしていることからの嫉妬からであった。


「そんなことより、魔王スゴクワルデスの最後の言葉について話しましょう」


 デルフィーヌが、このまま放おって置くと話が進まないかもしれないと思って、話題を元に戻す。


「そうね、そうしましょう」


 セシリアは気持ちを切り替えて相槌を打つ。


「私は本当ではないかと思うわ。今回魔王スゴクワルデスが現れた時も、北で兵を集めていた時だったし……」


 天音は女神から聞いた魔王システムの話を知っている為、魔王の言葉が人類への警告だとわかっているために、リーゼロッテの推察が正しいと自信を持って肯定する。


「私も本当だと思う。だからセシリア、城に帰ったら王様に伝えて欲しいの」


 天音の自信を持った肯定に、セシリアもその推察を信じてこのように返事をした。


「わかりました。この私とアマネの事を書いた秘密の日記帳とは違う、この普通の日記帳に書き留めておきますね」


 セシリアは、鞄からハートマークの付いた日記帳と普通の日記帳の2つをアマネに見せると、普通の日記帳の方に書き込む。


 この秘密の日記帳は、後に子孫のアリシアに渡ることになる。


「そんな日記帳があったのね……」


「では、魔王城の外で魔物を引き付けてくれている者達と合流しましょう。まだ、戦っているかも知れません」


 天音が少し引いていると、セシリアはリーダーシップを発揮して号令を出す。

 こうして、天音達は魔王の討伐に成功し魔王城を後にした。


 討伐隊が城に帰った後、魔王スゴクワルデスの言葉は王に伝えられ、それから国中に伝えられ『人間同士で争わない事』を人々は胸に誓うことになり、二百年は小規模な魔物との戦いは続いたが、平和と呼べる時代を過ごすことになる。


 だが、人とは『喉元過ぎれば熱さを忘れる』もので、時が経つと先人達の教訓を忘れてしまう。


 先人達の苦労と犠牲は200年後の人間達によって無駄にされ、5年前に欲を持った者達が辺境で兵を起こし人間同士で争いをおこそうとしたまさにその時、新たな魔王が魔物の軍勢を率いて現れることになる。


 そして、ここにも喉元過ぎれば熱さを忘れた者が一人いた……


 キャンプファイアーの翌朝、紫音が年下ちゃん達に良い所を見せようと、前回びしょ濡れになったことを忘れ、『裏山昇龍波』改め『天衝断裂破(クロエ命名)』を滝で実演しようとした。


「また、びしょ濡れになるでしょうが!」


 だが、ソフィーの『傲嬌速突込』を受けて、喉元の熱さを思い出し断念する。



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