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女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第5章 冒険者の少女、異世界の為に頑張る。

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157話 本拠点探索





 前回のあらすじ

 紫音は傷心のリズを慰めて好感度爆上げするために、どんな言葉で慰めればいいかと考えるがいい言葉が浮かんでこない。


 ######


「駄目だ、アキちゃん……。リズちゃんの心に刺さるいい言葉が浮かばないよ……」


「仕方ないな……。ここは数多のBLゲームと少しの乙女ゲームを攻略してきた、この『神ね―さま』と呼ばれた私に任せなさい!」


 紫音がアキに思わず弱音を吐くと、アキは眼鏡をクイッと上げてそう答えた。


「『神ね―さま』なんて、いつ呼ばれていたの!?」


 その紫音のツッコミに、アキは不思議そうな顔でこう答える。


「え?! 音羽ちゃんに、ゲームの攻略の仕方を教えていたら、呼んでくれるようになったよ?」


「幼い音羽に、どんなゲームの攻略を教えていたの!?」


 妹の音羽が、BLゲームをやっていたのかと思い慌てる紫音。


「安心しなよ、紫音ちゃん。CERO A(12才以上対象)からCERO C(15才以上対象)までの、健全な乙女ゲームを選んでおいたから……」


「それなら、いいんだけど……」



 紫音は乙女ゲームをしたことがなく、どんな表現があるのか分からなかったので、取り敢えず納得しておくことにした。


「じゃあ、今からリズちゃん攻略に使えそうな最善の”選択肢”を、今迄クリアしてきたゲームの中から導き出すから……」


 アキはそう言って、記憶を辿りこの状況に似たゲームのシチェーションとその選択肢、それによる結果を思い起こし、それをリズに使った場合のシミュレーションを行い、最善手を導き出す。


(あれ? でも、アキちゃんの攻略したゲームって、攻略相手男の子だよね!?)


 紫音がようやくその事に気づいた時、アキが脳内シミュレーションを終える。


「エンディングが、見えたわ!」


 知性派キャラの雰囲気を出しながらそう言った。


 アキが、紫音に自分の導き出したリズの攻略法を説明している間に、「ナー、ナー、ナー」とケットさんが言ったことを、ミリアがリズに通訳する。


「リズちゃん、ケットさんが“いつまでそうして、落ち込んでいるの? ミトゥルヴァが最後に言っていたじゃない。リズが止まらないかぎり、その先に私はいるって。だったら、アナタがすることは落ち込むことではなくて、先に進むことではないかしら?”って」


「それってどういう意味ッスか、ケットさん……?」


 まだ元気のないリズの質問に、ケットさんは更に話(?)を続け「ナ―、ナー、ナー」と鳴きミリアがすぐさま通訳した。


「“ミトゥルヴァは、あくまでリーゼロッテの女神武器。つまり、これから先アナタが、努力と精進を怠らず前に進み続けて、活躍を女神様に認められれば……”」


「私の女神武器として、ミーが帰ってくるってことッスね!」


 リズの導き出した言葉を聞いたケットさんは、「ナー(その通り)」と、いった感じで鳴いた。

 リズは元気を取り戻して立ち上がると、ケットさんに決意を語る。


「ケットさん、私頑張るッス。頑張って活躍して、ミーと再会してみせるッス!」


 リズの決意を聞いたケットさんはまた鳴いた。


「ナ―」

「ケットさんが、”頑張れ”だって」

「ケットさん、ありがとうッス!」


 通訳をしたミリアは、元気になったリズを見て嬉しそうであった。


「私達が打ち合わせをしている間に、リズちゃんがケットさんに励まされて、すっかり元気になってる!」


 そして、打ち合わせを終えて、その光景を見た紫音は驚きと共にそう発言する。


「先を越されちゃったね、紫音ちゃん」


「リズちゃんが、元気になったことは良いことだけど、私が励ましてあげたかった……。いつもは頼もしいケットさんの有能さが、今回ばかりは憎い……」


 もっと、早くリズに自分の考えた慰めの言葉をかければ良かったと、無念の臍を噛む紫音であった。


(それにしても、あの黒猫さん有能すぎでしょう……。ただのサポート兼マスコットと思っていたけど、それだけではないのかもしれない……)


 後悔している紫音の横で、アキが冷静にケットさんについて考えていた。


「シオン、アキ、二人共トロール本拠点探索に、一緒に来てくれないかしら?」


 そこにクリスがやってきて、二人をトロール本拠点探索に誘いに来た。

 快諾した二人はクリスの後に付いて、本拠点の入り口まで歩く。

 その途中で彼女にアキが質問する。


「私達を呼んだってことは、本拠点に元の世界に関する何かがあると思ってのことですか?」


「ええ、その可能性があるかもしれないと思ってね。それにアキはゲームとかで、この世界のような世界観に詳しいでしょう? 何か気づいたことがあるなら、教えて欲しいの」


「わかりました。私の知識はゲームや漫画でのものですけど、それで気付いたことがあれば……」


 その様な話をして本拠点入り口まで来ると、そこで待っていたユーウェイン率いる探索部隊と合流し、遂に内部に突入する。


「気をつけろ。ここからは人類にとっては、未踏の領域だからな……」


 探索部隊は斥候兵を先頭に、罠に警戒しながら奥へと進んでいく。

 本拠点内はトロールの住処だけあって、全てが巨人サイズでその光景に一同は驚きながらも、先に進んでいく。


「装飾とか余り無いですね。むしろ生活感が無いというか……」


「魔物には、衣食住が無いのかもしれないな。だからこの本拠点も、あくまで防衛拠点としての役割だけで、居住性は必要ないのかもしれないな」


 クリスのこの疑問に、ユーウェインがそう答えると、目の前に玉座らしきものが置かれている広間にでる。この巨大な玉座は、恐らくエベレストが鎮座していたものであろう。


 この広間にも玉座以外には目を見張るモノはなく、その玉座も特別豪華なモノでもない。一同は他に何かないか辺りを見渡すと側面に通路があり、今度はそこを進むことになる。


 その通路を歩き進むと、先程の広間ぐらいの部屋に出る。

 そこには何かの装置があったようだが、すでに破壊されていて破片が床に散乱している。

 床にも何か魔法陣が書かれていたようだが、見事に破壊され何が書かれていたかは今となっては解らない。


「見事に破壊しているな……。よっぽど俺達に知られたくないモノが、ここにあったってことか」


 スギハラがそう言うと、ユーウェインが続けてこう言った。


「ケルベロスが現れたのは、リーベがこれを破壊するための時間稼ぎだったようだな」

「ここに、何があったんでしょうか?」


「ここで侵攻軍のトロールを、作り出していたのかな……」


 リディアの疑問にアキがそうボソッと呟いた。


「!?」


 それを聞いた一同は、驚愕した。

 何故なら、魔物は大気中に漂う魔力が自然に集まって生まれるものだというのが、この世界の定説だと思われていて、そう教えられてきたからである。


「アキ君、奴らが意図的に作り出していたというのか? しかし、そう考えるほうが合点はいくか……」


「旗の数が増えるといつの間にか拠点の外にいたトロール達は、本拠点の外から集まって来ていたのでなく、内部から作られて出てきていたというわけか……」


 ユーウェインの意見にスギハラが続けて意見を言った。


「よく考えれば解ることを……、固定観念とはこんな簡単な事も、導き出せなくしてしまうんですね……」


 リディアのこの意見に一同は黙って頷く。

 これはフェミニースによって、意図的に人間達に気付きにくいように、そのような仕様になっていた事だった。





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