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女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第5章 冒険者の少女、異世界の為に頑張る。

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138話 Aki The BLlover





 前回のあらすじ

 魔力を使いすぎて、大量に魔法回復薬を飲んでいたクナーベン・リーベは、盛大にリバースした。


 ######


(こんなにリバースさせたのは、先輩の初プロジェクトで作った『俺とお前の学園ライフ』が、売上10万超えした時の祝勝会依頼ね……)


 リーベは飲みの席で、ついつい飲みすぎたOLのようにリバースさせながら、昔の事を思い出していた。


 左側でアイアンゴーレムとの戦いが行われていたが、全身を鉄で構成されたアイアンゴーレムには、オーラブレードでも中々ダメージが通らずに苦戦している。


 ソフィーはスピードを活かして、アイアンゴーレムの後ろから近づき、オーラを溜めたブレードで足に斬りつけるが、20cm程しか切り込めず大したダメージを与えられなかった。


「硬いわね、このゴーレム!」


 ソフィーはそう言いながら反撃を受ける前にオーラステップで急加速して、アイアンゴーレムの攻撃範囲から逃げる。


「これは、時間がかなり掛かりそうだな……」


 指揮していたスティールはその様子を見ながら、後衛が戻ってくるまではどうしようもないかもしれないと思った。


『俺とお前の学園ライフ』とは、乙女ゲームで『俺とお前の学園シリーズ』の記念すべき第一作目であり、二作目の『俺とお前の学園クロニクル』、三作目の『俺とお前の学園カタルシス』、第四作目の『俺とお前の学園パラダイス』が発売されており、全作品が売上10万以上という名作シリーズだ。


 プレイヤーの操作する主人公が女の子なら恋愛で、男の子なら友情(意味深)を育んだり出来る昨今のLGBTにも配慮したシステムを採用されている。。


 ちなみにアキが三年前にミトゥースにクリアしてないと言ったのが、第四作目の『俺とお前の学園パラダイス』である。


 勿論アキは前作三作品クリアしており、中学2年の始め頃『俺とお前の学園カタルシス』をプレイしていた時、幼馴染の紫音が遊びに来て質問をしてきた。


「アキちゃんは女の子なのに、どうして主人公を男の子にしているの?」


「それは、私が女の子だから絶対に体験できない男同士の友情というのに、興味があるからだよ」


 紫音の質問は続く。


「ねえ、アキちゃん。どうしてこの人達は男の子同士なのに半裸で抱き合っているの?」

「これはね、雪山で遭難して体を暖めあっているんだよ」


「ねえ、アキちゃん。今度は違う男の子達が半裸で抱き合っているよ?」

「これはね、川で溺れて体温が下がった友達を体で暖めているんだよ」


「ねえ、アキちゃん。また男の子同士で、半裸で抱き合っているよ?」

「これはね、山で急な大雨に打たれて体温が下がって(以下略)」


「アキちゃん。じゃあ、これも体温が下がって暖めあっているの?」


「そうだよ、紫音ちゃん。なんやかんやで体温が下がって(以下略)。そういうことで、ちゃんと必然とした理由があるんだよ! 決して、ただ単に絡みシーンを出したいからじゃないんだよ!!」


 アキは紫音の矢継ぎ早の質問に最後に若干キレ気味でそう答えた。


(紫音ちゃんは、本当は解っていて質問しているのではないのか? 解った上で私に質問して、私が半裸のイケメン達が抱き合っている理由を、恥ずかしそうに説明する所を見て楽しむつもりではないか……)


 アキは紫音の連続的な質問に、そのような魂胆があるのではないかと思い始める。


(だが、甘いな……親友よ。この山川亜季が、今更そのような説明で恥じると思っているのか? むしろ君にそういうシーンを見せて、君の反応を逆に楽しむ為に私は先程から回想モードをプレイしているのだからな! いや、待てよ?! もしかしたら、この親友は私とそういう話をしたくて質問してきているのか? それならコッチは君と朝まで語り明かしても全然かまわないんだ。だが、本当に純粋に質問してきている可能性もある……)


 デ○ノートの思考シーンの様な表情で、紫音の真意を推察するアキ。


(よし! ワンランク上の絡みシーン、イケメン同士の人工呼吸”という(てい)の“キスシーンを見せて、この親友の反応を見るか……。いや、まずは様子見で男女のキスシーンを見せてその反応次第で見せるか……)


 アキはキスシーンを回想モードから選び、紫音に見せてみる。


「わあああ、アキちゃん! キスシーンだよ、キスシーン……」


 画面にはエンディング間近のキスシーンが再生され、それを見た紫音は恥ずかしそうにそう言ったが、その表情には憧れも混じっていた。


(あっぶねー。もう少しで純粋な紫音ちゃんに、イケメン同士の人工呼吸という(てい)のキスシーンを見せるところだった……)


 その表情を読み取ったアキは、心の中でワンクッション挟んでよかったと安堵する。


「懐かしい事を思い出しちゃったな……」


 左側の森の中でアキは一人呟いた。


「何か言いましたか、先生?」


 一人だと危険なので、付き添いで側にいたカリナがアキに質問する。


「只の独り言です。それでは、ゴーレムの準備ができたので、そろそろ戦場に行きます」


「先生……。恥ずかしながら、私は怖くてこれ以上はいけません……。どうかご無事で!」


 カリナは戦死したトラウマによって、戦場が怖くなってしまっていた。

 アキもそれは知っていたので、こう返事をする。


「むしろここまでついて来てくれて心強かったです。それと、今の私は先生ではないですよ? 今の私は……」


 ソフィーは一度アイアンゴーレムと距離を取って、高級オーラ回復薬を飲みながら休憩していた。


 そして、ふと森の方を見ると丁度森の中からこの戦場には明らかに似つかわしくないサングラスを掛け、黒いスーツを身に纏った人物が森の中から出てくる。


「なっ!? 何よ、あの怪しいやつは!?」


 彼女は不審に思い武器を構えたままその人物に近づく。


 ソフィーはその怪しい人物に近づくと、それはサングラスと黒いスーツで変装しているアキであることがわかった。


「アキさん!? 何その格好は? しかも、何故森の中から!?」


 ソフィーのその質問に、アキは紳士な態度でこう答える。


「お嬢さん、私はアキという人ではないよ。私の名は『ロール・スイス』、『ネゴシエーター』だよ」


「『ロール・スイス』『ネゴシエーター』って……、アキさんよね?」

「違うって言ってるよね? ツンデレヒンヌーのお嬢さん」

「誰が、ツンデレヒンヌーよ!!」


 ソフィーはすかさずロール・スイスに突っ込む。


 ソフィーは突っ込んだ後、ロールにこのような嫌味を込めた質問をする。


「じゃあ、そのネゴシエーターさんが戦場に何しに来たのよ? まさか、魔物相手に交渉しようとでも言うの?」


「その通りよ。交渉(物理)しに来たのよ」


 ロールはソフィーに不敵な表情でそう答えを返した。


 ソフィーとのやり取りの後、ロールはエメトロッドを高く掲げるとこう唱える。


「ビッグ・フォー(ビッグ・4号)、ショータイム!」


 すると、森の中から轟音が轟きはじめる。


 その頃―


「空はあんなに青いのに……」


 トロール本拠点で、リーベは盛大にリバースしたことによって、すっかり心が萎えしまい三角座りで空を見上げながら、そのように一人呟いていた。



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