表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第5章 冒険者の少女、異世界の為に頑張る。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

171/383

136話 苦手なあの娘





 その人は高校そして大学の先輩であり、今は上司で私にとって憧れの女性であった。


「今日は家に帰って休みなさい」


 連日の徹夜続きで疲れていた部下である私達に、先輩は久しぶりに家のベッドで寝るように指示を出す。


 そして、今朝自分の所属する部署に来ると先輩は昨日も徹夜したのか、自分の机に突っ伏して寝ていた。


「先輩、昨日も会社に泊まったんですか? いくら忙しいからと言っても、せめて仮眠室で寝たほうがいいですよ」


 私は声を掛け起こそうとするが、先輩は目を覚まさない。


「先輩、朝ですよ。もう少しで勤務時間が始まりますよ?」


 今度は先輩の体を揺するが、よほど疲れているのか目覚める気配がない。


「せんぱい~」


 さらに体を強く揺らすが全く反応がない、ここで私は先輩の異変に気付く。


「先輩!!? せんぱぁぁぁぁぁぁい!!」


 先輩の死因は過労からの心不全であった……


(私が先輩の優しさに甘えて、あの日帰っていなければ先輩は助かったかも知れない……)


 #####


「嫌なことを思い出したわ……」


 リーベはリズの泣いている姿を見て自身の嫌な過去を思い出すと、そう一人呟きながらロックゴーレムの伏せているところに向かう。


「でも、この思い出がある限り、私は戦う事ができる」


 リーベは岩に偽装したロックゴーレムの近くまで来て、魔力を込めると地面に体のパーツをバラバラにして待機していたロックゴーレムがパーツを人形に再構築してく。


 ロックゴーレムを元の姿に戻すと、リーベは薙刀に魔力を込め陣屋を攻撃するように命令を出す。


「さあ、ゴーレム達! 陣屋を攻撃しな…」

「ミトゥトレット・インパクト!!」


 リーベが命令を出した刹那、いつの間にか近寄ってきていたアフラがゴーレムの一体にミトゥトレット・インパクトを叩き込んで撃破した。


「なん……だと……」


 リーベは又もや思わずこの台詞を口にしてしまう。。

 敵が兵站を狙うのは常識だということ、そして恐らくリーベが狙ってくるから、念の為にアフラを配置しておこうとユーウェインとクリスは話し合っていた。


 陣屋でキャンプ地と回復役のいる後衛が襲われないかと警戒していたアフラは、リズとリーベの戦闘に気付いてリーベに近づいてきていたのだ。


 リーベは過去を思い出して注意が散漫になっていた為、アフラの接近に気付けなかったのであった。

 今まで呼び出したロックゴーレムの大半をアフラに破壊されたリーベは、すっかりロックゴーレムキラーとなったアフラに苦手意識を持っている。


「ぐはははは! アナタが泣くまで、ゴーレムを壊すことをやめない!」


 彼女の目にはこの能天気格闘少女が、ゴーレム絶対コロスガールに見えて恐ろしい存在に映っており、このような幻聴さえ聞こえてきた。


 あのミリアですら見た目でいうと、いつも能天気な笑顔でいたアフラのほうが苦手意識は少なく、むしろツリ目のソフィーのほうが初見は怖い人に見えて苦手にしている。


 苦手意識とはそのアフラを怖く見せるのであった。


「アッ、アンタなんて怖くないんだから!!」


 そう精一杯強がって、残ったロックゴーレムにアフラへの攻撃命令を出す。

 ステュムパリデスをリズとの戦闘で失ったリーベは、今の状態では勝てないと判断して命令と同時にグリフォンに乗ってその場から戦術的撤退をおこなった。


 アフラはロックゴーレムの右ストレートをジャンプして回避すると、そのまま右手を足場に駆け上がり胸の位置まで来るとジャンプして、ロックゴーレムの胸のあたりにミトゥトレット・インパクトを叩き込んで残った一体も撃破する。


 ロックゴーレムを倒したアフラはリズに近づくと、いつも冷静な彼女が泣いていることに気付いて慌てて近づいて慰め始めた。


「泣かないでリズちゃん。ミーちゃんが居なくなったのは悲しいけど、いつまでも泣いているとミーちゃんも悲しいと思うよ。そうだ、バナナ食べる?」


 リズはアフラに貰ったバナナを食べながら、彼女に手を引かれて後衛のエレナの所まで一緒にやってきた、その目はまだ涙で溢れている。


 それを見たエレナはいつも彼女と一緒に居たミーが、いなくなっていることに気付き事態を把握した。


「リズちゃん……」


 エレナは回復をこなしながらでは、それ以上どう声を掛けていいかわからない。

 その頃、左側ではリーベがいないうちにソフィーがアイアンゴーレムの近くから、副官ローガンを引き離すことに成功していた。


 そこにようやく冒険者達が復帰して、一緒に攻撃を開始する。


 一人がローガンの注意を引いているうちに他の者が死角からヒット&アウェイで、攻撃をしてダメージを与え魔法を撃ち込む。

 それを繰り返してダメージを蓄積させていく。


 ”クリムゾン”団長のスティールは、ローガンのダメージ蓄積が十分と判断すると一気に攻勢に出る。


 スティールはソフィーがローガンの注意を引いている内に、死角からオーラステップで急加速して右足に近づくと、体を大きく捻りオーラを溜めたオリハルコンソードで力いっぱいに斬りつけた。


「オーラブレイクソード!!」


 スティールの強力な斬撃は、ダメージの蓄積したローガンの右足を見事切断することに成功する。


 他の者達も近づいて攻撃しようとするが、ローガンも右足の膝を付きながら剣を振るって近づけないようにした。


 だが、それはいずれも陽動で攻撃は右側から行われており、ローガンの注意を右側に引いている内にソフィーが、その俊足とオーラステップにより高速で死角から左足に近づいて、左足に斬撃を加える。


「スピンブレード!」


 ソフィーは体を捻って大技を繰り出し、左足を切断した。

 両膝をついて著しく機動力を失ったローガンに背後から攻撃を行い、さらなるダメージを蓄積させる。


 そして、ローガンがダメージの蓄積で倒れた所を、大勢による攻撃で体全体にダメージを与え一気に耐久値を削っていく、所謂お約束のフルボッコだ。

 ローガンは遂に力尽き、魔石へと姿を変えた。


「ローガン、もうやられたの!?」


 グリフォンに乗って本拠点近くまで戻ってきたリーベは、その光景を見てそう呟くと一度本拠点に戻る。


 トロール軍の残りはキリマンジャロ、デナリ、アイアンゴーレム、クナーベン・リーベ(戦闘力半減)となった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ