表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第5章 冒険者の少女、異世界の為に頑張る。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

170/383

135話 



 前回のあらすじ

 今回もアリシア・アースライトが前回のあらすじをおこないます。

みなさんの頑張りで、何とか戦況を好転させました。

ところで、四騎将って最近レイチェルが当たり前のように参加していて『五人揃って四天王』になっていますよね……



 グリフォンに乗って、上空から右の戦場でトロールが全滅したのを見たクナーベン・リーベは、残ったルウェンゾリにデナリの所まで後退するように命令を出すが、この命令は裏目となる。

エドガーによってダメージを負ったルウェンゾリを、好機と見た紫音とレイチェルが追撃して、デナリの元に向かっているルウェンゾリの背後から先に追いついた紫音が攻撃する。

ルウェンゾリも紫音の接近に反応して、振り返るが紫音は既に右の足元に到達しており

「やあっ!!」

掛け声と共に女神武器で斬りつけた。


 魔法によってダメージを受けていたルウェンゾリの右足は簡単に切断され、その場で地面に右膝を付いて動けなくなってしまう。

そこに追いついたレイチェルが左足を切断する。

あとは前回のトロール戦と同じで彼女達は、二人でルウェンゾリをフルボッコにして魔石に変えた。

そして、二人はすぐさま味方のところに戻って、迫りくるデナリに備える。


 その様子を見て上空にいたリーベは

「しかたない、次の手で行くしかないわね。」

リーベは地上の人間側に自分の動きが気付かれないために、グリフォンに更に上空に上がるように命令を出すと、トロールの本拠点から500メートルの地点に設営されている人間側の補給物資の置いてある陣営に向かう。

「敵の兵站を狙うのは兵法の基本よね。」


 このリーベの動きをミーのレーダーが捉えていた。

「ホ――!」

「えっ!? 上空から後方に向かっている物体があるッスか!? それは、一大事ッス!」

リズは後方に向かって走り出す。

「どうしたの、リズちゃん!?」

突然後方に走り出したリズにミリアが話しかける。

「後方に、上空から向かっている物体があるそうッス! 私が迎撃に向かうッス!」

そうミリアに言い残して、リズは後方に走っていった。


 リズは上空の物体を追いかけて、50メートル後ろにいた回復役のいる後方を走り抜ける。

「上空の物体の目標は、回復役のいる後方ではないッスか? じゃあ、補給物資のある陣営か拠点キャンプ?」

冒険者の回復をしていたエレナは、今リズが走り抜けていった気がして顔をあげるが、リズは既に走り抜けたあとで走る後ろ姿が小さく見えた。

「リズちゃん、どこへいくのかしら?」

エレナは走っていくリズのことが心配になったが、不負傷者の回復を中断するわけにはいかないので後ろ姿を見送ることしかできなかった。


 陣営の上空に到着したリーベは

「予測より陣営も拠点キャンプも後ろに設営されているわね……。」

リーベは昨日のうちに陣営とキャンプが設営されるであろう場所の真ん中に、ロックゴーレムを2体作り出し岩に偽装させておいた。

そして、一体ずつ使って同時に攻撃して、迎撃が間に合わないようにするつもりだった。

だが、彼女の予想より後方に設営されていたため、陣営近くにロックゴーレムが待機する形となり、拠点キャンプにロックゴーレムが到達するより足の早い冒険者が先に到着して、迎撃され面倒なことになるかも知れないと思った。


 陣営の横100メートルの上空に到着したリーベは

「まあ、しかたない。」

リーベはそう言って、いつものようにグリフォンから華麗に飛び降りる。

「ミ―! あの落下してくる物体に、GCゴッデスクロスボウファミリア一斉発射ッス!」

リズはミーに攻撃命令を出すと、自らもグシスナルタを構えて狙い撃つ。


 落下していたリーベは、自分に飛んできた矢に気付きギリギリの所で、薙刀で矢を振り払うがGCファミリアの魔法の矢は薙刀で捌けず、さらに自由落下中であるため回避行動が取れないため全弾命中する。

「痛い! 痛い!」

リーベは魔法の矢を受けて、そう声をあげてそのまま地面に着地する。

「GCファミリアが命中して、”痛い! 痛い!“で済むッスか!?」

リズはリーベの頑丈さを目の当たりにして、驚きながらも焦っていた。

それはすなわち、自分の攻撃があまり通用しておらず戦えば負ける可能性が高いことを意味している。

リズは今になって、迂闊にリーベに手を出したことを後悔し撤退しようとする。


「ぜったいにゆるさないわよ、チビッコ! いけっ! ステュムパリデス!!」

リーベはようやく作り直したステュムパリデス8体全てを、逃げようとしたリズを攻撃させる。

ステュムパリデスは獲物を狙う猛禽類のごとく飛翔して、リズ目掛けて高速で追撃する。

「やばいッス!」

逃げ切れないと悟ったリズは、ミーにステュムパリデスの迎撃命令を出す。

「ミ―、あの飛んでくるのを迎撃ッス!」

「ホ――!」

ミーは飛んでくるステュムパリデスにGCファミリアで射撃するが、紫音ですら翻弄されるほどの機動性を有するステュムパリデスには魔法の矢は中々当たらず、命中してもオリハルコンで作られたそのボディに飛行を止める程のダメージを与えることができなかった。


 宙を舞いリズに接近してくるステュムパリデスに対して、ミーはGCファミリア2体を制御から外し、GSゴッデスシールドファミリア2体を鞄から出撃させる。

リズの魔力が低いためファミリアを6体しか操れないためである。

ミーはGSファミリアでステュムパリデスを防ごうとするが、ステュムパリデスの攻撃力は予想以上でGSファミリアに突き刺さって相打ちになってしまう。


 GSファミリアをあっけなく失ったミーは、リズを守るため最後の手段を取る。

ミーはリズ目掛けて突進してくるステュムパリデス6体に、周囲に展開させている残りのGCファミリア4体を突進させ次々と相打ちにしていく。

ミーが先程制御から外して地面に落としたGCファミリア2体を、残り2体のステュムパリデスにぶつけようとするよりも早く、ステュムパリデスがリズに迫った。

「うわぁ!!」

リズがステュムパリデスに貫かれたと思って目を閉じた瞬間、金属と金属が激しく衝突する音が目の前で発生する。


 リズがその音で驚いて目を開けると、目の前にはステュムパリデス2体が体に突き刺さったミーの姿がそこにあった。

「ホ―……」

ミーはそう力なく鳴くとそのまま地面に落ちてしまった。

「ミ―!!?」

リズが慌てて近づくと、ミトゥルヴァは最後の力を振り絞って

「ホ―…」

(私は止まらないから、リズが止まらないかぎり、その先に私はいる。

だから、止まらないで……。)

そう言ったあと、ミトゥルヴァは光の粒子となって空に舞い上がり消えていった……


「ミ―! いなくなっちゃ嫌ッス! ミー!!」

リズは空に舞い上がる光の粒子を、そう言いながら拾い集めようとするが掴むことはできなかった。

「ミ―!!!」

リズはミトゥルヴァを失った悲しみのあまりに、その場で泣き出してしまった。

14歳の少女にとって相棒であり友達であったミトゥルヴァの喪失は大きく、戦場で泣いて動けなくなるという愚をおこなわせてしまった。


 だが、リーベは泣き崩れる少女に攻撃しなかった。

「そのフクロウ? の頑張りに免じて、アンタは見逃してあげるわ……」

リーベはそう言うと、ゴーレムを待機させている場所に向かう。

彼女がリズを見逃したのは、少女が号泣している姿を見て不憫に思ったのか、それとも、大切な存在を理不尽な理由で失った過去の自分と重なったからかはわからない。



135話 玉子梟還らず



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ