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女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第4章 冒険者の少女、新しい力で奮戦する

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107.5話 サプライズ成功なるか?







「先生! シオンさんにはこの戦利品の運搬は荷が重いと思うので、私が部屋まで持っていきます。後で行くので、先に客間のお宝に向かってください」


 エレナはそう言って、戦利品を手に階段を登って部屋に向かう。


「では、紫音氏。客間に先に向かおうか」

「うん」


(しかし、何故アキちゃんはさっきから武士みたいな言葉使いなんだろう……)


 紫音はそう思いながら、アキをフィオナのいる客間に連れて行く。


「この部屋だよ、アキちゃん」

「この中にお宝が……」


 アキが期待に胸を膨らませて部屋の扉を開ける。


「アキ~~! 会いに来ましたよ~!」


 すると、そう言って部屋の中に居たフィオナが、アキに抱きついてきた。


「フィオナ様!?」


 フィオナに抱きつかれたアキは驚いて目を白黒させている。


(感動の再会やで~)


 紫音がそう思いながら、二人の感動の再会を見ているとフィオナに抱きつかれたアキが、彼女に真顔でこう尋ねてきた。


「ところで、紫音ちゃん。お宝BL本は?」


「え!? このサプライズのための嘘だけど……。というか、この状況で普通察するよね?!!」


 紫音はアキのブレない質問に驚きながら答えた。

 騙されたことに少し不満顔のアキに、紫音は戸惑いながら説明を続ける。


「でも、すべてが嘘じゃないよ? フィオナ様というアキちゃんにとって、ある意味”お宝”とも言える人が居たわけだし……」


 紫音のその問いにアキが「うん。そうだね」と答えるのを、ウキウキの笑顔でフィオナは待っていた。


「………………」


 だが、アキは少し間を置いた後―


「あ、うん……。そうだね……」


 落胆した感じでこう答えた。


「アキ、なんですか今の間は!? しかも、答え方も少しがっかりしている感じではないですか!?」


 フィオナは、思っていたのと違う感じのアキの答えにツッコミを入れる。


「だって、フィオナ様。二ヶ月前に会ったばかりじゃないですか……」


(えっ……。二ヶ月前にも会っていたの!? いや、最近ずっと会ってないみたいな感じだったじゃないですか?!)


 紫音は心の中で、フィオナに突っ込む。


「でも、いつもはそろそろ会いに来てくれるのに今回は来ないので、ミレーヌからアキがここにいると聞いて、私から会いに来たのです」


「ナタリーさんがよく許しましたね?」


 アキの質問にフィオナはしたり顔でこう答える。


「フフン~。もちろん、あの子に言っても”寝ぼけたこと言わないでください、このポンコツ大主教”って小言を言われるだけだから、書き置きを残して黙って来ましたよ~」


(それって、帰った後に一番怒られるやり方では?)


 紫音が再び心の中で突っ込むと、そのフィオナは来訪の理由を語り始めた。


「それに、今回アキに会いに来たのは、女神様からアナタに会うようにとの神託があったからです」


 フィオナのその言葉を聞いた紫音は、彼女にこう質問する。


「それだったら、ナタリーさんって人にそう言えば、許して貰えたのではないですか?」


 その紫音の質問にフィオナは首を横に振ると、ナタリーの性格を偏見に満ちた言葉で語り始めた。


「シオンさん。アナタは知らないでしょうが、ナタリーは私がそう言っても“アキに会いたからって、そんなわかり易い嘘を言わないでください。このおっとり聖女”って、一蹴してしまう頭の固い子なのです」


 フィオナはナタリーに小言を言われすぎて、幾らか被害妄想が入っているのは明らかであった。フィオナが9割悪いのだが……


「それは、酷いですね。しかも、フィオナ様に対して言い方も酷い!」


 紫音はナタリーという人が、アキに以前聞いた良い人ではなく意地悪な人だと思えてきた。

 その紫音の感想に、アキはナタリーの弁護をする。


「それは違うよ、紫音ちゃん。フィオナ様はミレーヌ様のように、できる大人の女性に見えるけど、少しポンコツな所がある― いや、ほぼポンコツな人だから」


「がーーん! ポンコツ……」


 フィオナはアキの言葉にショックを受けた。

 そんな彼女を尻目に、アキは話を続ける。


「だから、フィオナ様とナタリーさんの意見なら90%ナタリーさんの意見のほうが正しいと思う。それに、ナタリーさんは理屈さえ通っていればちゃんと理解してくれる人だから、今回も正直に言えば許してくれたと思うよ」


「そうなんだ」

「ポンコツ…… 」


 アキの説明にナタリーへの印象を改める紫音と、ショックを引きずる聖女様。


「でも、フィオナ様。わざわざ会いに来てくれてありがとうございます。元気そうで良かったです……」


 ショックを受けているフィオナに、そう感謝の言葉述べるアキ。

 何だかんだ言ったが、彼女はフィオナに会えて嬉しかったのだ。


「アキが元気そうで、私も嬉しいわ」


 するとフィオナも優しい笑顔で返した。

 だが、この聖女様が次回やらすことに― いや、既にやらかしていることに気付いているものは、まだ一人もいない。


 さ~て、次回の予告は


「リズッス。トロールの脅威が迫っているというのに、お姉さんズは呑気にしていて困ったものッス。


 次回

 神託が無かった真相


 フィオナ、ミレーヌにアイアンクローされる


 みんなで頑張ってトロールを倒そう会議


 の3本ッス。


 それでは、じゃんけんぽんッス」


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