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女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第4章 冒険者の少女、新しい力で奮戦する

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94話 死闘が済んで・・・







 リザード軍との要塞防衛戦が終わり、休息で街に帰るだけの体力を回復させた紫音達は、屋敷に帰ってゆっくり休む為にユーウェイン達に帰る報告をする。


「シオン君、四天王を撃破した今回の君の活躍にはとても感謝している。今日はもうゆっくり休んでくれ。あと、明日にでも冒険者組合に顔を出してみるといい。前回と今回の功績で冒険者ランクが上がっているはずだからね」


「はい、わかりました。明日、さっそく行ってみます」


「それと、今日から3日後に今度はトロール軍がやってくる。今度は遅れないように頼むよ」


「はい……」


 紫音は遅刻しないように、釘を差されてしまった。


「あと、シオン君。あのゴーレム使いの少女は、君の知り合いかい?」

「はい、そうですけど……」


「彼女に次のトロール戦にも、参加して貰えるように頼んでおいてくれないか?」

「はい、言っておきます。彼女は冒険者ではないので、どうなるかはわかりませんが……」


「そうか……。なら、無理にとは言えないな。だが、一応頼むよ」


 紫音はユーウェインと会話を終えると、クリス達の所に行く。

 クリスは回復したスギハラと話をしていたが、紫音が来ると会話を中断して、スギハラから話しかけてくる。


「シオン君、今回は俺の分まで活躍してくれたそうだな。我ながら情けない話だ、最後まで目を覚めなかったとは……」


「団長が負傷したのは、私を庇ったせいであってアナタの責任ではありません」


 クリスが申し訳無さそうに、スギハラに謝罪する。


「大怪我したんだから、仕方ないですよ。それに、私の方こそ今回は危ないところを、クリスさんにカシードさん、ソフィーちゃんにアフラちゃんにお世話になりました」


「気にすることはないよ、シオンちゃん。戦場では助け合うのが当たり前だから」


 カシードが帰る準備をしながらそう答えた。


「そうそう、お互い様だよ~」


 アフラが同じく帰り支度をしながら答える。


「次からはあまり手間かけさせないでよね! まあでも、何かあったらこの頼れるソフィーさんが、また助けてあげるわ」


 ソフィーが安定のツンデレ発言をしてくる、リズがこの場に居たら「安定のツンデレ発言乙ッス!」と突っ込まれて、言い合いになっていたに違いない。


「では、私達はこれで街に帰ります」


「ええ、今日はお疲れ様。聞いていると思うけど、3日後にトロール軍が侵攻してくるわ。今度はもうどこにも行かずにいてね」


 紫音はクリスにもやんわり遅刻しないように釘を刺された。


 紫音はその後、みんなの所に戻ろうと歩いていると、次々と四騎将が近づいてきて


「シオンさん、リズに言っておいてくれるかしら? 次も遅れてこないようにと」


 リディアに遠回しに遅刻しないように釘を刺され


「お嬢ちゃん、次はちゃんと来てくれよ」


 タイロンにストレートに釘を刺され


「アマカワ君、次は3日後ですよ。3日後にトロールが来ます。よろしくお願いしますよ」

 エドガーに丁寧に3日後を強調されて


「シオンさん。アキに言っておいて欲しいのだけど、私は別にアナタに無理に戦って貰おうなんて思っていないと。それは、フィオナ様も望んでいないわ。だから、私もアナタに戦いを強要したりはしないと。なので、私には偽名を使って誤魔化す必要はないってね」


 エスリンからも遅刻しないようにと釘を差されるのかと思ったら、アキを想う気持ちを話された。


 紫音はエスリンのアキへの思いやりに、胸が熱くなってこう答える。


「はい、アキちゃんにはエスリンさんが、そう仰っていたと言っておきます」


「お願いね、シオンさん。あと、次のトロール戦は遅れないようにしてね」


 そして、その紫音の言葉を聞いたエスリンは、最後に遅刻しないように釘を差してきた。


(アレ? もしかして、私…みんなから次も遅刻する、駄目な子だって思われている!?)


 紫音はそんな気持ちになったが、これは皆の自分への期待の現れだと前向きに捉え、みんなの所に戻ることにする。


 実際のところ皆は、紫音の力に期待していた為、遅れてこないことを願っていたのだった。

 みんなの所に戻ってくると、エレナとレイチェルもすでに合流する。


「じゃあ、街に帰りましょうか?」


 紫音のその言葉にみんなは頷いて、アルトン行きの馬車に乗ろうと定期馬車の停留所まで来ると、他にも大勢の冒険者が帰路につくため馬車に乗ろうとしていた。


 その中に不機嫌そうな顔をした赤髪ツンデレ少女が一同を待っている。

 そして、紫音達に気がつくとソフィーは近寄ってきた。


「もう、遅いじゃない! いつまで待たせるのよ!」

「ソフィーちゃん。私達を待っていたの? “月影”の人達と帰るんじゃなかったの?」


「私だってそう思っていたわよ! でも、お姉様がアレ? アナタどうしてまだいるの?という目で見てきて、私はまだレンタル移籍だから、早くアナタ達と一緒に帰れって……」


「ツンデレお姉さん、そう落ち込まずにコレをあげるッス」


 クリスからの扱いにソフィーが気落ちしているとリズがそう言って、彼女に飴玉を差し出した。


「じゃあ、お姉さんもソフィーちゃんにお近づきの印に飴玉をあげるよ」


 そのやり取りを見ていたアキも、ソフィーに持っていた飴玉を渡す。


「ありがとうございます……」


 ソフィーは初めてまともに喋るアキから、飴玉1つをぎこちなく貰う。


「ソフィーお姉さん。アキお姉さんから飴玉を1つ貰うならなら、私の飴は2つ食べて貰うッス」


 リズが何故かアキに対抗して、2つ目を差し出してくる。


「リズちゃんの飴を2つ食べるなら、私の飴は3つ食べてもらうよ」


 アキも対抗して、さらに3つ目を差し出してきた。


「そんなに飴ばかり要らないわよ!」


 ソフィーはそう言うと、二人から差し出された飴を1つずつ口に入れる。


「味が混ざって美味しくないじゃない!」

「それはそうッスよ、ツンデレお姉さん……」


「二兎を追う者は一兎も得ずだよ、ソフィーちゃん」


 二人は一転してソフィーにそう冷たく言い放った。


「アナタ達、私を慰めてくれているんじゃなかったの!?」


 その対応の変化に、ソフィーは二人に突っ込んだ。

 こうして紫音一同は馬車で、アルトンの街に帰って来た。


 リズとソフィーは一足先に屋敷に帰り、紫音とミリア、アキとレイチェルはミレーヌの執務室に帰還の報告をする。


「今回はみんな大活躍だったそうじゃないか。特にミリアちゃんは、グリムヴォルの特殊能力である光魔法“フォトン”を使ったそうじゃないか。才能があるとは思っていたが、まさかここまでとは、私も鼻が高いよ~」


 すると、ミリアの活躍を聞いたミレーヌは、大事な姪に感極まって抱きついて褒めまくった。


「ミレーヌさん……」


 そのミリアは抱きつかれて困っている。

 アリシアは紫音に心配そうに近寄ると、彼女の手を取って声を掛けてきた。


「シオン様、お怪我はありませんか? わたくし不吉なことが合って、心配で、心配で……」

「大丈夫だよ、アリシア。疲労感はあるけど、怪我とかはもう平気だよ」


 紫音は笑顔でそう答えながら、アリシアに両手で握られた手を振りほどこうとするが、お姫様の握力が予想以上に強いため、振りほどけずにいる。


 その様子を暖かい目で見ていたレイチェルは、その視界の端に飢えた狼のような目で同じくその光景を見ているアキに気付く。


(何だ、彼女のあの鋭い目は……。このキマシタワーを見る目ではない……。誰かの目に似ているな…)


 レイチェルは、アキのその鋭い目を以前どこで見たような気がした。


 そのアキは二人の様子をBLのネタにするため、脳内でTSして頭のHDに保管している。

 紫音は頑なに手を離さないアリシアの手を、ブンブン振りながらその彼女とミレーヌにアキを紹介する。


「ミレーヌ様、アリシア、紹介します。私の幼馴染のアキ・ヤマカワです」

「アキ・ヤマカワです、今は漫画家をしています。お二人共、よろしくおねがいします」


 アキがそう挨拶すると、ミレーヌが挨拶を返してきた。


「君がアキ君か。フィオナの所で壁越しには会ったが、直接会うのは初めてだな。ミレーヌ・ウルスクラフトだ。フィオナから君のことはよく聞かされているよ。まあ、よろしく頼む」


「あの時は失礼しました、ミレーヌ様……」


(この方がシオン様の幼馴染のアキさん……。まずいです、幼馴染といえば幼い頃からずっと一緒に居た友人……。これまでにない強敵です。ですが、古来より幼馴染が負けることも多々あると聞きます。ここは、冷静に優雅に自己紹介をしなければ……)


「初めまして、アキさん。わたくしアリシア・アースライトと申します。こちらこそ、今後も宜しくお願いします」


 アリシアは片足を斜め後ろの内側に引き、もう片方の足の膝を曲げて身体を落とし、そのまま背筋を伸ばした状態で挨拶をするカーテシーを行ないながら優雅な挨拶を披露する。


(どうですか、シオン様。アナタのアリシアは、幼馴染さんに優雅に挨拶をこなしましたよ)

 アリシアはそう思いながら紫音を横目で見ると、紫音が話しかけてきた。


「アリシア、今の挨拶って王族や上流階級の間で行われる挨拶“カーテシー”ってやつだよね、初めてみたよ」


「そうです、さすがシオン様よくご存知で」

「私にはしてくれなかったよね、カーテシー……」

「はぅ……、それは……」


「冗談だよ、困ったアリシアの顔が見たかっただけ……」

「もう、シオン様ったら……」


「あのー、勝手にアフレコしないでくれますか、レイチェルさん」

「しまった!? 興奮のあまり心の声がつい出てしまった!」


「そうよ、レイチェル」

「お二人共、すみません……」


 二人に突っ込まれてレイチェルは申し訳無さそうに謝る。


(アリーシス……、君の困った顔が見たかったのさ)

(意地悪だな、クオンは……)


 そう言いながらアリーシスを顎クイするクオン……


(アレ?! クオン意外と攻めだったりするの!?)


 アキは一人脳内シミュレーターで設定破綻をおこしていた……


 紫音は、そろそろ疲れが限界になってきたので、屋敷に帰ることをミレーヌとアリシアに発言する。


「それでは、私達はもう屋敷に戻りますね。正直もう心身ともに、疲れてしまって少し寝たいんです」


「そうだな、今日はもうゆっくりと休むといい。アキ君も良ければ屋敷の空いている部屋を使うといい。では、ご苦労であった」


「シオン様、それではまた……」


 紫音達はミレーヌの執務室を後にして屋敷に着くと、シャワーを浴びて疲れからかそのまま晩ご飯まで眠ってしまった。





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