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女神のお気に入り少女、異世界で奮闘する。(仮)  作者: 土岡太郎
第4章 冒険者の少女、新しい力で奮戦する

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89話 その名は・・・ 








 前回のあらすじ……


 猛虎球場、大阪トラトラズ対愛知リザードズの試合は、リザードズの大型助っ人投手ヒュドラの活躍によって、点差は5対3で2点ビハインド。


 7回裏ラッキー7、猛虎球場にジェット風船が飛ぶ中、”代打の切り札”山川亜季が遂にバッターボックスに立つ。


 #######


 アキがゴーレム召喚で失った魔力を、本日5本目の高級魔法回復薬を気合と根性で飲んでいると、スギハラの容態が安定したので再び活動を開始したクリスが近寄ってくる。


「初めまして、オータム801さん。私はクリスティーナ・スウィンフォードと言います」


「アナタがクリスさんですか。こちらこそ、初めましてオータム801こと、アキ・ヤマカワです。紫音ちゃんとは元の世界では同級生で幼馴染でした。なので、私も紫音ちゃんと同じように接してもらって結構です」


 アキはクリスと自己紹介をおこなう。


「シオンの幼馴染だったの? 彼女からは特に説明がなかったから……」

「多分戦闘前で、テンパっていたんだと思います。昔からそういうところがあるので」


「魔法陣があるということは、アナタも戦闘に参加してくれるのかしら?」


「はい。今までゴーレム召喚の為に造形をイメージしながら、ゴーレムを錬成する魔法陣に魔力を注ぎ込んでいたんです」


「ゴーレム?! アキ、アナタはゴーレムが造れるの? すると、さっきの飛行機も、もしかしてアナタが?!」


 アキは頷きながら説明する。


「はい。アレも私の造ったモノで、2番目に造ったゴーレムです。1番目に造ったゴーレムは、漫画アシスタント型で、これから召喚するのが3番目のモノです」


 彼女は説明を終えると、エメトロッドを掲げ魔力を込めてこう叫ぶ。


「カムヒアー! タイタン3号!!」


 タイタンとは、ギリシャ神話に出てくる巨大な体を持つ神の名前で、その名前の通り魔法陣から10メートルを超える巨大なゴーレムが現れる。


 タイタン3号は全身岩で右手にジャベリン、左腕に盾を装備しており、額には太陽を模した飾りが付いていた。


 アキはエメトロッドに魔力を込めて、タイタン3号に命令を出す。


「タイタン3号、ヒュドラに向かって前進開始!」


 タイタン3号はアキの命令を受けると、ヒュドラに向かって歩きはじめる

 クリスとアキはタイタン3号と並走しながら話しをする。


「仮面の女魔戦士が、召喚したゴーレムよりも造形が凝っているわね」

「変に造形にこだわってしまうのが、私の悪いところでして……」


 二人が話をしていると、それを見た兵士達が騒ぎ出す。


「あのゴーレムは敵か!?」

「いや、足元を見ろ。女の子のほうは誰かわからないが、もう一人は “月影”の副団長だ」


「すると、あのゴーレムは味方か!?」

「味方なら心強い!」


 始め兵士達はゴーレムの登場に喜んだが、ある兵士が疑問を口にすることで不安が広がり始めた。


「でも、ゴーレムって岩で造られているから、水属性に弱いのではないか?」

「じゃあ、ヒュドラのウォータブレスでヤバイんじゃないか?!」


 正解である。タイタン3号は岩で造られているため水属性に弱い。

 タイタン3号は、そのためにウォータブレス対策として、左腕に盾を装備している。


「あのお姉さん。あの女魔戦士と同じでゴーレムを召喚できたッスか。あのゴーレム、ちょっと格好いいッス」


 再びヒュドラを相手にしている姉と合流するために移動しているリズは、近寄ってくるゴーレムを見てそう評価する。


 近寄ってくるタイタン3号を感知したヒュドラは、残り3つの首でウォータブレスを吐く。


「タイタンシールド!」


 アキがそう命令を出すと、タイタン3号は左腕の盾でウォータブレスを防ぐ。

 だが、岩で造られた盾はウォータブレスで、少しずつ削られていく。

 ウォータブレスの攻撃が終わった瞬間、アキはタイタン3号に命令を出す。


「タイタンジャベリン!!」


 アキの命令を受けたタイタン3号は、右手のジャベリンをヒュドラ目掛けて投擲し、見事命中させ首を一つ失わせる。


 タイタン3号は前進しながら、首が二本になったとはいえウォータブレスに攻撃され続け、遂に盾を破壊されてしまう。


 だが、リズやリディア達の遠距離集中攻撃のお陰で、ヒュドラは遂に首が1つになった。


 タイタン3号は首一つのウォータブレスを受け続けたが、耐久力を削りきられる前にヒュドラに肉薄することに成功する。


「世界のため、人類のため! ヒュドラを打ち砕くタイタン3号!! この太陽の飾りを怖れぬなら、かかってこいっ!!」


 アキがそのように口上を述べていると、ヒュドラの首が一つ再生してしまう。


「あ、ヤバイ!」


 アキは少し焦ると、タイタン3号に格闘戦を命令する。

 タイタン3号にも耐久力の余裕がない為、どちらが先に相手のHPを削り切るかの勝負となった。


 ヒュドラはタイタン3号に肉薄され、ウォータブレスを吐く前に殴られるため、タイタン3号の両腕から繰り出されるパンチ対ヒュドラの2つの首の打撃戦となった。


「タイタン3号、デンプーシー! デンプーシー!」

 出来るわけもなく普通の打撃戦が続く。


(このままでは不味いかもしれない……、仕方ないアレを使うか!)


「女神の祝福を我に与え給え!」


 アキは祈りを捧げてからエメトロッドに魔力を込めると、ロッドの先端に付いている宝玉が輝き始める。


 さらに、今まで以上にエメトロッドに魔力を込めると、タイタン3号に命令を出す。


「太陽の力を借りて! 今、必殺の、サンシャイン・アタック!」


 アキの魔力を受けたタイタン3号の額の太陽を模した飾りから、眩しい光がヒュドラに向かって放たれる。


 これは、太陽を模した飾りに取り付けられた、目眩ましの魔法“フラッシュ”の魔法スクロールが発動しただけで、この眩しい光に攻撃力はない。


「タイタンクラッシュ!!」


 ヒュドラが目眩ましを受けて怯んでいる隙に、アキのタイタン3号はその巨体からは信じられない程高く跳躍して、ヒュドラにその重さを利用した渾身の両足踏みつけを叩き込んだ。


 この跳躍力は、使役するゴーレムの能力を一時的にブーストできるエメトロッドの特殊能力で、アキがそのブースト効果を全てタイタン3号に注ぎ込んだおかげであった。


 さすがのヒュドラもこの一撃には耐えきれずに、魔石に姿を変える。


 だが、タイタン3号も着地時の自重からくる衝撃に耐えきれずに、着地した足から崩壊して土へと姿を還した……


「ありがとう、タイタン3号……」


 アキはタイタン3号に、ラッキー7号との別れの時と同じように敬礼する。


「ナー」


 ケットさんも同じく敬礼した。

 ヒュドラ撃破の瞬間、人類側に歓喜の声が上がる。


「やったわね、アキ!」


 クリスがヒュドラを倒したアキに、賛辞の言葉を送った。

 そして、アキに気づいたエスリンが近づいてくる。


「アナタ、アキじゃない?」


(エスリンさん!? そう言えば、四騎将になって要塞に居たんだった)


 アキはゴーレム使いだとバレると、ややこしい事になると思い取り敢えず否定することにした。


「違います、人違いです……。私の名は……」


 そして、そう答えた後にアキは少し考えて、エスリンにこう名乗る。


「波乱万子です!」


 アキは昔親しくしてくれたエスリンにそう偽名で答えた後に、少し心がモヤモヤするのを感じた。


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