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第18話 神話

 朝、今日は学校が休みだ。

 俺はリビングで朝食をとり終わってから、ゆっくりしていた。

 悠理とお母さんは買い物に行ってる。

 今家にいるのは俺と亜美とお父さんだ。


「パパ、なにかお話聞かせて!」


「どうしたんだい?急に?」


「昨日、幼稚園で、友達が、パパから面白い話を聞いたって自慢された!私も聞きたい!」


 亜美がお父さんに面白い話を聞きたがっている。困るやつだ。


「お父さん、あんまりそう言うお話は知らないからな」


「えー?なんでー?教えてよー!」


「困ったな、うーん、僕が知っているお話は一つしかないからな」


「教えて!」


 亜美が目を輝かせている。


「いや、でもこれは」


「教えて教えて教えてよー!」


「うーん、まあ、いいか」


「やったー!」


 お父さんは話し始めた。


 そうだね、題名は神と7人の天使かな?

 むかーし昔、この世界を作った神様がいました。神様は世界を作り、その世界を見守る義務がありました。


 しかし神様は、途中で見守ることに飽きてしまいました。だから神様は7人の天使を作り、その天使に力を与えて代わりに見守ってもらうことにしました


 最初はうまく行っていたのですが、天使たちは人間を観察しているうちに、人間が好きになっていきました。


 そして、2人の天使が、1人の人間を好きになってしまいました。

 来る日も来る日もずっとその人間を見守っていた天使たちでしたが、とある事故で、その人間が死にかけてしまいます。

 なんとかその人間を助けたかった天使たちは、神から言いつけられていた不干渉を破り、人間に自らの力、神力を分け与えてしまいました。


 その天使たちの力は、一つは個性、もう一つは結界でした。与えられた人間は死の淵から蘇り、特別な力を使えるようになっていました。そしてその人間はその力を、自分の欲望のためだけに使い始めました。

 誰もその人間を止めることはできませんでした。なぜなら1人の天使が与えた結界という力が、全ての攻撃からその人間の身を守り、その人間の個性の力が、逆らう人を倒して行ったからです。

 それを見ていた周りの人間は怒りました。どうしてあいつだけに力を与えたんだと、俺にも力を分けてくれと、あいつの横暴を止めてくれ、そう願いました。


 天使たちも、その人間の横暴に、気持ちが冷め、そして目に余ったのでしょう、故に全ての人間に同じように神力、結界と個性の力を与えてしまいました。

 それを知った隠蔽の天使が、急いで全ての人間に神力、隠蔽の力を与え、力を隠すように言いました。しかしもうすでに遅かったのです。


 神が、そのことを知ってしまいました。

 神は激怒しました。もともと、この世界は特別な力を何も与えずにいた場合、どのような結末を迎えるのかを見るための世界だったのです。

 なのに天使たちが神力を与えてしまったのです。


 その神には世界の時間を戻す力はありませんでした。神は、神力を消すことはできますが、1人1人消していくしか方法はなく、その間にも能力のせいで世界のあり方が変わって行ってしまうだろうと考えました。

 つまりこの世界に存続の意義はないと、神は世界を消し、新たな世界を作ろうとしました。


 しかし、天使たちは世界を消すことに反対しました。なんとか神に世界を消すことをやめてもらおうと、天使たちは協力し、神に少しばかりの猶予をもらいました。


 そして、まず、神託の天使が自らの力を使い、2人の人を探し出し、空間の天使が、場所を作り、転移の天使がその人間を呼びました。

 その人間は、時を戻す能力者と、無効化能力者でした。


 まず、無効化能力者に、時を戻す力の影響を天使たちは受けないようにしてもらってから、時を戻す能力者を借りて、世界を、神力を与える前まで戻そうとしました。

 天使たちの時間も戻っては、また神力を与えてしまい、意味がないからです。

 しかし、その人間の力では神力を授かる前まで時は戻せませんでした。

 そこで、神力を授けた直後に戻り、弱化の天使が極限まで神力を薄め、なんとか能力がない世界に戻すことができたのです。


 神としてはまた作り直すことも面倒であるからと、その世界の存続を認めました。


 しかし、弱化の天使は限界まで力を弱くしていたのですが、無くし切れたわけではありませんでした。


 人は死ぬ時が最も神に近づくと言います。人が死ぬ際に、神に近づいた人間のごく一部が、能力に覚醒してしまったのです。他の天使は、弱化の天使にその力を弱めてくださいと言ったのですが、弱化の天使はもう弱めていると、弱めてこれなのだと言いました。


 なので、天使たちは神託として、その人間たちに注意を呼びかけました。決して、歴史の表舞台には出てはならないと、その力を、誰かに見られては、知られてはならないと。隠蔽の力で、隠しなさいと。

 しかし、人間はその言いつけを破りました。


 神は天使の頑張りを認めていました。もともとは天使のせいではあるが、自分が諦めたことを天使は頑張って持続させたことを認めていました。だからこそ、その人間を許せませんでした。


 故に神は神罰として、そこにいる覚醒者と、そのことを知った人間をまとめて殺しました。


 その頃はまだパソコンやケータイなどがなく、情報伝達が遅かったため、その一部地域の人間しか神秘を知りませんでした。

 そのため、自然災害として、ほとんどの覚醒者も知った人間もまとめて殺してしまいました。一部地域とは言っても、かなりの人間が死にました。


 そして残していた一部の覚醒者と、その他の地域全ての覚醒者たちに、脳に直接その時の映像を流しながら警告しました。次はないと。もし、神秘がまた漏れることがあったとき、この世界を消すと。


 そして天使たちは嘆きました。自分たちがもっとしっかりできていれば、あの人たちは死なずに済んだのにと。


 そして天使たちは対策を考えました。

 神秘が漏れないようにするにはどうすればいいのかと。

 そして神託の天使が気づきました。弱化の天使が弱化をしていても、なお強い神力を持つものだけが、死の間際に覚醒しているのだと。

 天使が全人類に神力を与えてしまったため、神力を持っていない人間が生まれることはなくなってしまった。しかし天使が与えなければ、神力は生まれた時から決まっていて、変動はしないと。


 故に、天使たちは残った覚醒者たちと協力し、神秘の隠蔽に勤めました。


 神託の天使が、将来死ぬ間際に覚醒する未覚醒者を探しだして、転移の天使がその者を覚醒させ、教育するための覚醒者を送り、空間の天使が覚醒した直後、能力が暴走してもいいように、異空間を作りました。

 弱化の天使は今もずっと人間の神力を薄め続け、

 自らのせいでこんなことになったことを後悔した個性と結界の天使は、覚醒者が増えすぎると、神秘が漏れ、世界が消えてしまうかもしれないため、心を鬼にして、覚醒者同士が殺し合い、数を減らすように、結界は個性の力のほとんどを素通りするように結界と個性の力を改良しました。


 そして、7人の天使は、覚醒者が対立するように、2つの組織を作るように誘導しました。

 一つは守護者連合、もう一つは自由者連合。

 守護者連合の守護者は神秘を守り、自由者たちから人々を守るように。自由者連合の自由者は神秘を守り、それ以外なら何をしてもいいという人。


 人間は、愚かである。守護者連合だけならば、そのあり方に窮屈さを覚え、自由に神秘を使いだし、1回目の神罰の二の舞になるやもしれない。そう考えた天使たち7人は自由者連合も作るように誘導しました。

 神秘さえ守れば後は何をしてもいいと。

 そうして2つの組織を作り、覚醒者の人数を調整しました。増えすぎても、減りすぎてもいけません。

 増え過ぎれば、神秘の秘匿が難しくなり、減り過ぎれば、破滅者の対処が難しくなります。


 いつの時代も、必ず神秘を世に出そうとする破滅者は、一定数存在します。もし破滅者が現れた場合は、守護者も自由者も協力して、破滅者の対処に当たってきました。


「そうして今まで神秘は守られてきたのです」


 お父さんは、そう語り終えた。


「すぅ、すぅ、」


「あれ、亜美?寝ちゃったのかい?子供には難しい話だったかな?」


 俺には、お父さんが話したお話に、思い当たることがありすぎた。

 だから、その話が真実に思えて仕方がなかった。

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