表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

「かめはめ波」を撃てるようになった少年

作者: 夢学無岳

現代のおとぎ話…

 ある所に、いつも「チビ」とか「メガネ」と呼ばれて、バカにされている男の子がいました。


 彼は、「ボクがもっと強ければバカにされることなんてないのになぁ」と思っていました。



 ある時、虫の声を聞きながら、ベランダで夜空を見ていると、星が降り始めました。


 彼は、はじめは、「スゲー」と思って見ていましたが、ふと手を合わせ、目をつむり、流れ星にお祈りをしてみました。


 すると星は言いました。


「一つだけ願いをかなえてあげましょう」


 彼は、びっくりして、あせって言いました。


「かめはめ波がうてるようになりたい!」


 流れ星は、「分かりました。かなえてあげます」と言って、水平線の向こうに消えていきました。


 最初、彼は、お姉さんに「ボク、かめはめ波がうてるようになったよ!」と自慢しました。


 でも、お姉さんは全然興味がなさそうでした。


 次に、彼は、お母さんに「ボク、かめはめ波がうてるようになったよ!」と自慢しました。


 でも、お母さんは全然興味がなさそうでした。


 最後に、彼は、お父さんに「ボク、かめはめ波がうてるようになったよ!」と自慢しました。


 お父さんは、「それはすごいなー、見せてよ」と言いました。


 彼は、お父さんと裏山に行って、「かめはめ波」を山に向かって撃ってみました。


 すると山の上半分がなくなってしまいました。


 お父さんと彼は、「ヤバッ」と思って、「かめはめ波」を撃ったことを内緒にしました。



 ある休みの日、青空の下、彼が校庭で遊んでいると、いじめっ子たちがやってきました。


 彼らは「チビ」とか「メガネ」とか言ってはやし立てるので、彼は、つい「あっち行け! かめはめ波をうつぞ!」と言ってしまいました。


 彼らが「うてるもんなら、うってみろー」と言ってバカにするので、彼は、つい「かめはめ波」を撃ってしまいました。


 すると校舎の上半分がなくなってしまいました。


 いじめっ子と彼は、「ヤバッ」と思って、「かめはめ波」を撃ったことを内緒にしました。


 それから、彼はいじめられることがなくなり、「かめはめ波」を撃つこともなくなりました。



 彼は高校受験の時、特技は「かめはめ波」と言いました。


 すると、第一志望は落ちたので、公立高校に進学しました。



 彼は大学受験の時、特技は「かめはめ波」と言いました。


 すると、第一志望は落ちたので、専門学校に進学しました。



 彼は就職試験の時、特技は「かめはめ波」と言うことをやめました。


 すると、第一志望に合格しました。



 彼は、一生懸命に働いて、やさしい女性と結婚して、幸せに暮らしました。


 彼は、大人になってからも、いろんなあだ名を付けられましたが、もう全然気にしませんでした。


 彼が「かめはめ波」を撃つことはありませんでした。



 彼がおじいさんになった時、超大型の台風がやってきました。


 このまま上陸したら、たくさんの人が死んで、たくさんの畑や田んぼがダメになり、河が氾濫し、たくさんの家が壊されて流されてしまうと、みんな大騒ぎでした。


 彼は家族が止めるなか、波の荒れ狂う海岸に行って、暗い空を見上げました。


 そして「かめはめ波」を撃ちました。


 すると台風は消えてなくなりました。


 みんなは喜びました。「奇跡だ」と言いました。



 彼が「亀仙人」と呼ばれるようになったのは、この時からだそうです。


 

 おしまい


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] マジでΣ(・∀・;)? これが亀仙人の由来? チビでメガネでいじめられっこで、星に願いを叶えてもらったとは……。 いやー、素敵なお話でした♪ 私は、亀仙人好きですよ〜。 こんな童話も楽しいで…
[良い点] あっと驚く意外な結末。巧みな誘導で完全にやられました。うーん、お見事! [一言] 長編はなかなか読む時間がないので、短編を書いてくださると、うれしいなあ。
2017/11/01 14:49 退会済み
管理
[良い点] 素直にクスっとなりましたw 面白かったです!
2017/09/28 19:20 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ