プロローグ
暗い部屋の中で、いつも通りオンラインゲーム(ビーンズオンライン)の毎日。
これが本間 健一の日常である。
就職活動に失敗してから、働くこともせず親の脛をかじり生活をおくり、オンラインゲームに引きこもって、3年が過ぎようとしていた。
「今日もギルドメンバーと一緒に暇つぶしがてら、ブラックドラゴン狩りかなー、報酬はもう別にいらないけどなー」
3年間のニート生活でビーンズオンラインは制覇したといっても過言ではなかった。
その時、ギルドチャットからメッセージが表示された。
【ぽん君いるー?】
ギルドメンバーの1人、ユキネさんからだ。
ぽんってゆうのは自分のユーザーネーム、本間の本からぽんって一応とってあることを言っておく笑
早速ユキネさんに返信を打つ
【いつも通りいるよー笑】
【いきなりなんだけど仕事が忙しくなってきたからさー、わたしこのゲーム辞めようと思うんだよね。。。ごめんね、ぽん君】
またか、、、最近になって急激にビーンズオンラインの過疎化が始まっている、ギルドメンバーが今月だけで3人辞めて、ユキネさんで4人目。。。まぁ仕事とか言われたら仕方ないことをなんだけどね。
【そっかー寂しくなるなー、またいつでも暇な時に戻っておいで!待ってるからな!】
【ありがとう!今まで楽しかったよー!また余裕できたら戻ってくるかも笑 みんなには個別にチャット送っておくねー!じゃーバイバイ】
これでこのギルドメンバーも残り5人か、、、
運営様に頑張って頂き、過疎化阻止して貰うのを願い、今日もやりますかー!
それから2年が過ぎて、、、
【ぽんー、いる?】
【いるよぉー】
【俺、一昨日子供産まれて、ゲームどころじゃなくなったから、、、ごめんな。。。】
まじか、、、
ユキネが辞めてから徐々に皆んな辞めていき、ギルドメンバーは俺とトーヤの2人だったのに、そのトーヤまでも、、、
【ぽんさー、今までありがとなー、本当楽しかったよ!最後の方は過疎ってたけど、なんか2人でこのゲームの世界を手に入れたみたいでさ笑 ここまで過疎化進むともうこのゲーム無くなってしまうかもしれないけど、思い出だけは消えないからな!笑】
【トーヤ、最後ギルメン2人だったけど俺も楽しかったよ!まぁこのゲーム無くなるまで俺1人でだらだらやってるから暇があったら、チャットでもしてくれー】
【あいよー、当分子育てで忙しかなると思うけどなー!じゃあまたなー】
これで最後のギルドメンバーもいなくなってしまった。
俺だけか、、、
はぁーーー、なにしよ、、、
違うゲームに移るのもなーここまでやりこんだのに、、、
ソロでボス倒しながら、道中の街中でプレイヤーがいたらチャットして、ギルメンに誘うかな。。。
そう思っていた時、運営からのアナウンスが届いた。
【ビーンズオンラインをプレイしている皆様へ、
この度ビーンズオンラインは閉鎖する事になりました、長い間ありがとうございました。つきましてはプレイヤーの皆様は本日をもってログインが不可能になりますのでご了承ください】
えっ!まじか!!
このタイミング!?
それにこんな短い文章で、こんな運営だから過疎るんだって!!
もっと何かあるだろ!!!!
俺は怒りながら急な閉鎖に放心状態になっていた。
ゲーム画面では街のNPCが、
いつも通りの毎回変わらない、メッセージを話している。
【ゴブリンから街の脅威を取り払って】とか
【リンゴ10個採取してきてよっ!!】とか
ここだけはいつも通りの変わらない、、、
このNPCのクエスト、何百回もやったなーと思いにふけっていた。
「俺もNPCになれたらこのゲームの中にずっといれたのにな」
そう思ってた時、画面から眩しい光が出て俺はパソコン画面の中に吸い込まれたのだった。