ネットスラング
初の小説執筆となるarcherddと申します。SFもののため、作者の中二病成分が
もろに出てしまうことを先にお詫び申し上げます。
能力バトル系は展開が熱くなるジャンルだと考えておりますので、一人でも多くの方にグッと感じてもらえたらと思い、これからも執筆させていただきます。
ネットスラングには疎いほうである。
外来語や造語に塗り固められた現代の日本語が、若者の脳裏に固着する現象は今に始まったことではない。しかしそれに順応するか、反対に下卑た流行語の類だと拒絶するかは世代によって分かれる。自分が良しとする解釈でなかろうと、その言葉の響きや表面上の意味合いに囚われ、若者言葉として流行していくのがこの国の文化システムである。
その言葉も初めはくだらないネットスラングの一つだった。抜きん出た実力者や反則的な強さを持つといった意味で「チート」という名詞が存在した。もともとはゲームのシステムを弄ることで通常のプレイでは有り得ないようなステータスを与えるもの、という意味の言葉だったらしい。それがネットスラングの壁を越えて若者言葉として流行し、常軌を逸した事象に対しそれはチートである、と言葉の定義を確立するまでそう時間はかからなかった。
そしてその言葉が人間離れした超自然現象に対しても意味を持ちだす。意味が転じ、半ば強引に固有名詞として流用され始めるのは、もう少し先のこととなる。