再会
俺の獲物は重いばっかりの鉄の剣。
カルラの淡く光るオーラを帯びた魔法の剣みたいのとやりあえるか!?
「半端にかまえてると、ケガするよ。僕、手加減とか嫌いだから」
おいおい、できないわけでないなら、してくれ。実力差考えろよ。とか、俺に抗議する間も与えず、最初の一撃が!
「ぐっ…!」
なんとか受けたものの、その剣圧で、10数メートルも後ろへ弾き飛ばされる俺。
「うわっ!!痛てえ!」
そこは、無慈悲にも薔薇の垣根だった。
「アスラが弱っちいせいで、薔薇が台無しだね」
絡みつく薔薇のトゲと、カルラの冷ややかな嘲りのせいで、俺は顔をゆがめた。
「悪かったな。弱っちくて」
乱暴に、薔薇を引き剥がして立ち上がる。
垣根がクッションになってくれたおかげで、ぶつかった衝撃の痛みはさほど感じずにすんだようだ。
「これでも、カルラの言うとおり、毎日トレーニングしてきたんだぞ。そもそも、お前のやり方が間違ってるんじゃないか?」
実際に俺はよく頑張った。
見知らぬ異世界で2ヵ月間も。だから、嫌味のひとつも言いたくなるだろう?
しかし、俺の考えは甘かった。
「……誰が間違ってるって?」
カルラから放たれた絶対零度の粒子が、俺の頬を裂く。
やばい。逆鱗に触れた予感。
頬を生暖かい血がつたう。俺は身の危険を感じた。
その時……。
「だ~れだ?」
突如、この場にそぐわない甘い声が響き、カルラの両目を塞ぐ白い手が現れた。
「「うわあっ!!」」
俺達は驚きのあまり叫んでいた。
カルラがその手を振り払い、俺の側へ飛び退いて来る。
「ほんに、人の子は騒々しいのぉ」
くすくすくす。
そこには、ピンクの羽衣を風になびかせて、レアがふわりと浮かんでいた。