特訓は激痛と花火と共に
「うわああああ」
今日もまた勢い良く吹き飛んでいく俺。
「た~まや~」
レアの呑気な声が響く。二人掛け木製ブランコを揺らしながら、甘い菓子を食べ散らかしている。
「ぐっ!」
ぼよ~ん。透明なクッションが俺を受け止めて、パッと、光が花火のように美しく弾けた。
庭園や屋敷に被害があっては困るというので、俺とカルラの周囲には、ドーム状に衝撃吸収材が張り巡らされていた。これに衝撃が加わると、光る仕組みになっている。
「綺麗じゃのぉ。ほれ、アスラ、もう1回じゃ」
レアめ、気楽に言ってくれる。クッションがあっても相当痛いんだぞ。頑丈な体のせいで、外傷には現れないけど、痛みは人並みにあるんだからな!
「剣の修行など見ておっても、つまらぬからのぉ。われながら良き趣向を思いついたものよ」
そのせいで、俺が不必要に高く飛ばされてるの分かってる?!結構な高さから落ちてくる俺の身にもなってみろ!
「ぐはっ!」
着地の痛みを堪えながら、憎憎しげにレアを睨むも、当人は俺なんかより、新しく運ばれてきた甘甘焼き菓子に夢中な様子……。
「レア、菓子ばっか食いすぎ!」
言いたい文句とは別のつっこみを入れる小心な俺。
「……なんじゃ? アスラはわらわに、野菜も食せと申すのか?」
鼻の頭に生クリームをつけて、真顔で的外れな返答をしてくる。
俺は脱力しそうになる体を、鉄の剣で何とか支えた。
「八つ当たりなだけですよ。不甲斐ない自分に苛立ってるんでしょう」
逆に、的を得たカルラの言葉に、居心地が悪くなる。
「そうよのぉ。アスラは格段に霊力が劣っておるからのぉ。学園とやらで無事やっていけるか、わらわも心配じゃ」
レアは不憫そうにため息をついた。
「格段にというより、無いに等しいんですけどね」
カルラも情けないと言わんばかりに、深いため息をつく。
「二人して何なんだ! そのワザとらしいため息は!」
かくして俺が、一週間に及ぶ特訓の日々を激痛に絶え続けて得るものは…………
……あるのだろうか?




