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      ほんと、キレやすくて困る

「では、しばし眠るとしようかのぉ。わらわの寝床……サボテンは、アスラの部屋か……」

 

 そう呟いて小さくアクビをすると、レアの姿は背景に溶けて薄らいでいく。


「カルラ、アスラは少し緊張感が足りぬ故、厳しく鍛えてやるがよいぞ。魂が傷まぬ程度にな」


 そして、後には声だけが残った。

 レアめ、なんて余計なことを……!

 俺はカルラの整った横顔を、恐る恐る目の端に捉えた。

  

「緊張感が無い? つまりは、自分の置かれた状況を、未だ甘くみてるんだね? アスラ」

 

 抑揚のない口調に、背筋が凍る俺。

 肯定も否定も怒りを招きそうで、無言になる。が、結局は同じ結末。

 閉め切られた部屋に風がおこる。

 テ-ブルに散らかっていた無数の白い皿やナイフが、紙切れのように風の渦に巻き込まれていく。

 片付け始めたっていう、落ちでは勿論なさそうだ。


「これを……俺にぶつける気じゃないよな?」

 

 やる気に違いない相手に、わざと確認してみる。


「大丈夫。その器が壊れたとしても、すぐに作り直してやるから」

 

 途端、言い返そうとした俺の言葉を突風が遮った。

 続いて、視界には強風を共なって襲いくる皿。俺は、咄嗟に眼前へ剣を構えて、防御姿勢になった。

 ガシャンッガシャッガシャッと途切れることなく、皿の割れる音がけたたましく響き渡る。同時に体に受ける衝撃。

 

 どう考えても『壊れる』=『俺が大ケガ』ってことだよな。

 

 再び静寂が訪れた時、ゆっくりと構えた腕を下ろした。

 砕けた皿の破片がカシャカシャと床へ落ちる。

 不思議なことに、全身が軽くズキズキする程度で、俺の目で確認できる範囲にケガらしいものはない。


「実際の体よりは、頑丈にしてあるからな。大して壊れなかったか」


 見上げた先に、残念そうなカルラの顔があった。 

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