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運で決まる。ガチャつく現代ダンジョン  作者: 甘井雨玉
3章

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133/139

第133話 人が増えた


 人間達が試練というあのイベント、【Fランク大暴走】が終わり3カ月が経った。


 人間はやはりたくましく、茉奈達の配信の後からしばらくしてチラホラ人が戻り始め、3カ月も過ぎるころには前と同じ、むしろ増えているくらいだった。


「やっぱり【Fランク大暴走】で危機感が高まって、強くなろうと思う人が増えたせいですかね。

 前より人は増えましたが、1階層の動物部屋は以前よりも減って、2階層以降の利用者が多くなってます」


 マルティアがホログラムのスクリーンに映る人間達を見ながら、色々な階層をチェックしていた。

 相変わらず真面目な奴だ。


「あんな目にあって自己防衛力を強化しようと思わない奴は少ないだろうから当然だろう。茉奈達の配信で俺のダンジョンが今まで通りであることも確認出来ただろうから、ダンジョンに潜る不安が薄れたのもありそうだが」


 もっとも、時期的にはそれだけではない。


「それに何より、今は8月だからな」

「8月って何があるんですか?」

「夏休みだな。だから学生達が多いだろ」

「言われてみれば若い人が多いです。疲れた目をしてる大人がいつも通り1階層の動物部屋や〝酒場〟にいますが、元気そうな人間は大抵魔物を魔物を倒そうと動いてますね」


 昼間から〝酒場〟にいる疲れた目をした大人達には一体何があったのかと微妙に気になるところではあるが、まあいい。


 どんな奴であっても大なり小なり負の感情エネルギーをダンジョンで撒き散らしてくれるのだから、それでポイントが稼げるのだし。

 不思議な事に〝酒場〟で管を巻いてる奴と、3階層で魔物相手に苦戦してる奴から得られるポイントは同じくらいだ。

 負の感情を撒き散らすという意味では〝酒場〟で管を巻いてる奴の方がポイントも大きそうなのだが、そうでないという事はダンジョンの奥の方が負の感情エネルギーの吸収効率がわずかだが上がるのかもしれない。


 今のところ誤差みたいなものなので気にする必要もないことだが。


「魔物を倒されたところで、〝魔物発生陣〟で出現した魔物だから、こちらは何の痛手にもならないから問題ないな。

 むしろそれで強くなって、他のダンジョンから魔石を持って来てほしいものだ」

「そうしてくれるならありがたいですけど、これを見てくださいよ」


 マルティアが指し示すディスプレイの一つには、ある集団が魔物を挑発して呼び寄せたり、逃がさないよう取り囲んだりして効率よく狩っている映像だった。


 一見なんの変哲もない映像であり、強いて言えば年齢がバラバラで、下は10代後半から上は50代くらいの男女で構成されているところがかなり珍しい。

 家族でダンジョンに潜っているのかと思ったが、顔つきなどまるで似ておらず、到底血が繋がっているとは思えないので、おそらく何かの縁で知り合った者同士という関係のはず。


「こいつらがどうした?」

「目を見てください」


 マルティアに言われてその目を見ると、この集団の連中はどいつもこいつも鋭い目つきをしており、魔物を見る目はただの狩りとは思えないほどの殺気を帯びていた。


「確かに他の連中に比べると、どこか殺伐としてるな」

「この人達、目の前にダンジョンコアがあったら絶対壊そうとしてきますよ。

 このまま放置で大丈夫ですかね?」


 おそらく【Fランク大暴走】で家族や恋人のような親しい人間が犠牲になった人達なのだろう。

 あの殺気は魔物に対してだけでなく、ダンジョンマスターに対する恨みもこもっているな。


「マルティアの言いたいことは分かるが、放置しかないだろ。

 俺のダンジョンは人類とは共存共栄を指針としているから、下手に死人を出す訳にはいかない。

 こいつらは危険人物ではあるが、少なくともまだ3階層でレベル上げをしている程度なら手を出す必要もないだろ」


 それに見た限りこいつらのレベルはまだ低い。

 現在10階層まである俺のダンジョンを到底踏破できるレベルじゃないから、慌てて対処する必要もないな。


「4階層まではFランクの魔物が大量に発生している初心者向けになってるが、それ以降は一気に難易度が上がってまともに探索もできないだろう。

 というか、来れるものなら来てほしいくらいだ」


 4階層以降の〝毒沼〟、〝幻影迷宮〟、〝変幻庭園〟、〝極夜〟、〝火山〟、〝朽ちた聖堂跡〟が人間にお披露目できるのはいつになることやら。

 特に〝朽ちた聖堂跡〟とか結構神秘的な上に、特定の魔物の戦闘力を上げる特殊なギミックなので、ダンジョンマスターでもいいから是非この特殊なフィールドで相手をしたいところだ。

 とはいえ、こんな最深階層まで到達されると困るので、ここまで到達されるころには今の倍の広さのダンジョンにしておきたいところだが。


「マスターがそう言うのであれば問題ありませんね。

 私としてもそこまで心配する相手ではないと思いますが、一応こういう人間もいるという報告です。

 こういう殺気に満ちた人間ほど、負の感情エネルギーの回収効率が良くておいしいのですが」

「レジャー感覚で来てる連中に比べればそうだろうな」


 そのお陰か最近ポイントの貯まりが良く、3万ほどポイントが貯まっている。


「と、言う訳で[ガチャ]だな」

「どう言う訳!?」


 もちろん気分だ。


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