表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボーダーフリー  作者: ちゃりネコ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/27

衝撃の事実

 ここから泉まで1kmちょっと。

 周辺の地形を把握する(かたわ)ら、雑談で暇を潰す。


「それで、肝心の魔力は強化できたのか?」

「もちろんだ。ゾンビ単体から得られる魔力は然程(さほど)でもないが、数で稼いでいる感じだな」

「へぇ~、人間の俺にはよく分かんねぇけど、皆が強くなってるならOKかな」

「何を言う。戦闘に参加した者は皆、活躍に応じて魔力が増加している。それは人間であっても同じだ」

「俺も? いやいや、お前みたいに活躍できる気がしねーよ」

「自分の才能という物は、往々にして気づかないこともある」


 才能ねぇ。

 喧嘩の才能ってことか?


「ロクなもんじゃねぇや」


 吐き捨てるように呟いた言葉は虚空に放たれ、点在する廃墟の隙間風が運んでいく。

 考えてみれば、魔界の方が性に合っていると言えなくもない。


天涯(てんがい)、泉が見えてきたぞ」

「あ、あぁ」


 気の抜けた返事で答えた後、ラケルは水浴びをすると言って、服を脱ぎ始めたのだが――。


「俺も軽く汗を流……流して……お、おい。おいおいおいおい、待て待て待て待てぇい!!」

「どうした? お前も少なからず返り血を浴びている。この機会に洗い流しておけ」

「お……前、お前、女だったのか!?」


 ラケルは裸を見られているにも関わらず、恥ずかしがったり隠すことは一切せず、普段の会話みたいに平然としている。

 そこまで堂々とされると、逆にこっちが恥ずかしくなって目を背けてしまう。


「それが何か? 驚くことではないだろう」

「驚きしかねぇよ! 今まで散々イケメンとか、女子にモテるとか言ってきたのに、何で黙ってたんだ!?」

「私は気にしていないが?」

「俺が気にすんだよ!」


 間違いない。

 小さいが、確かに()()

 魔界の女は肌を見られても気にしないのか?

 いや、エルーは視線を向けられただけで隠していた。

 そうなるとラケルが特別の特級で、特殊な考えの持ち主なのだろう。


「い、いいか。まずは早く体を洗って、すぐに服を着てくれ」

「お前は水浴びをしないのか?」

「あと! 俺はあとで良いから!」


 駄目だ、まずは落ち着こう。

 ラケルの水浴びが済むまで廃墟の探索をするが、全く身が入らない。

 同じ場所をグルグル回り、自分が口にした発言を振り返る。


「イケメンとかモテモテとか……それに、女の好みまで聞いちまった! ファム先生の唇が焼きたてのマシュマロ級だったとか、連れションに誘ったりしたんだったああああ!」


 思い返してみれば、トラウマレベルの黒歴史発言が津波のごとく押し寄せる。

 初めての友達ということで、ちょっとだけテンション高めだったのも、事態の悪化に拍車をかけた。

 せめて女だと知っていれば、もう少し発言に気をつけたのに……。


「なんだよ、なんなんだよ! んもぉぉぉぉおおおおん!」

「待たせたな」

「んもぁああ!」


 背後から突然話しかけられ、驚きのあまり廃墟の中を転げ回った。

 本当、今日の俺はアホみたいだ。


「ところで水浴びをしている間、このような物を見つけたのだが」

「え、あ、何? これって――女物の下着じゃん。別に珍しくもないだろ?」

「下着? 人間の防具か?」


 マジかよ……。

 そういえば魔界では人間の道具に関する知識が乏しく、妙に無関心だったのを思い出す。

 多分、力が全ての魔界においては、生活を便利にするという発想がないのだろう。


「こ、これはだな……こうやって着けて、胸とか脇の肉をカップに納める為の物なんだよ」


 まさか男の俺が、女に下着(ブラジャー)の使い方をレクチャーするとは思わなかった。

 ラケルも興味を持ったのか、真似をしてみるが全くサイズが合わない。


「これでは敵の攻撃を防げないだろう?」

「いや、だから防具じゃなくて――」


 直後、天啓にも似た衝撃が走る。


「なぁ、ちょい手伝ってくれねーか?」



 ◇◇◇

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ