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第1死体 サイコロステーキ~サキュバスを添えて~


目の前の視界に広がるのはかなりの凄惨な死体だった

サイコロ上になった男の死体と、なぜか同じくサイコロ上になったサキュバスの死体だった


「実は冒険していた際にサキュバスに遭遇してしまい、逃げようと思ったのですが......」

恐らくこの冒険者たちはかなりの初心者だろうと辺りをつけ俺は尋ねる。


「それにしても貴方達も酔狂な人たちだ。普通、蘇生なら役立たずの僧侶に頼むより

王様に頼んでもらった方がいいだろうに」


「王様に頼みたい......ですけど蘇生代が高すぎてとても......」


そう、普通この世界で蘇生してもらうなら多額の寄付金を王様に支払い、蘇生してもらう。

一般的な僧侶だと蘇生魔法が効くのは1時間以内。時間制限がある上に

肝心の蘇生魔法も魔物が強すぎると効かないときた。


(そりゃ確かに人権なんてないよなぁ......)

端的に言うと、この世界は()()()()()()()のだ──

僧侶は言わずもがな、回復魔法だって強い魔物にやられれば普通は一撃死だから魔法をかけても意味がない。

タンク職であっても良くて2発、3発で死亡だ。


そんな中、この二人が出会ったサキュバスという魔物は

8人の中級者パーティでようやく倒せるほどの魔物なので、死亡してしまっているのは別に

おかしなことでは無い......むしろ一人だけでも助かっているのが奇跡だ


だが......


サキュバスの死体を見やる、男の死体と同じくサイコロ上になっており

なかなかに悲惨だった。


「なぜこうなったんだ......」


「仲間はサキュバスから逃げている最中に、蜘蛛の巣に引っかかってしまってこんな姿に......

仲間のあとに続いてサキュバスも蜘蛛の巣にひっかかりこのような状況に......」


なるほど。蜘蛛の巣が原因でこうなったのか......ということは近くに

大罠蜘蛛でもいたんだろう。大罠蜘蛛は中型程度の魔物であれば触れただけで

獲物の体を切ってしまう。


「分かりました......もう夜も遅いですし、さっさと終わらせましょう」


「え?でもまだサキュバスと仲間の死体の選別をしていないですよ?」


「そんなことしてたら朝になってしまうじゃないですか、面倒なのでサキュバスごと

蘇生します」


「ちょっと待っ......」


その瞬間、建物の中に旋風が巻き起こる。

僧侶の男は壮大な呪文や詠唱などを何一つ言わず、ただ一言。


「今、夜中の1時だぞ!!!さっさと生き返って俺を寝かせろ!!!!」


そして────


「......はっ!!ここは......教会?まさか、生き返れたのか!?」

そうつぶやく男と


「何がどうなってんのよ!!!」

きわどい服装をしたサキュバスが言い放った。


「よし、一件落着だな」


「何も解決してません!!蘇生してくれたのはありがたいですが、サキュバスまで

蘇生したら私達じゃ勝ち目なんてないですよ!!」


「ふぅん......つまりそこのあんたが私を蘇生してくれたのね?本当にお馬鹿ね

お礼として、最初に私のご飯にしてあげるわ!!!!」

そういいながらサキュバスが俺に近づく......


「いいのか?俺たちを襲って......俺は今ものすごく眠たいんだ。このまま

おとなしく去るなら見逃してやるが?」

その言葉を聞き、サキュバスは足の踏み込みを強め......


「いいわ、そんなに寝ていたいのなら......


永遠に寝てなさい!!!!」


一瞬で僧侶である俺の目の前へ現れる。


サキュバスが腕を振るうよりも一瞬早く光が走る。


サキュバスの攻撃は届かず、代わりに巨大な雷鳴がこの場を支配する。

雷鳴が収まった後にはサキュバスは跡形もなく灰になり、消えていった。


「どうして?貴方、僧侶じゃないの?」

「今の雷鳴はいったい......」

二人の冒険者は驚き、台風のような質問を浴びせかける。


めんどくさくなった俺は、蘇生をする際の契約書を二人の前に突き出した。


「ここに書いてあるだろう?今回の蘇生の方法や諸々のことは他言無用

やらなんやらと、破ったら魔法的拘束力もあると言っているだろう。

俺はもう寝るからさっさと出て行ってくれ。」

そう言い、俺は竜巻を起こし冒険者二人を追い出す。


ガチャンと鍵のかかった音が響き、俺はようやく寝室へ行き

就寝することができた。


ここまで読んでいただきありがとうございました。


少しでも面白いなと感じていただけたら

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