世界を殺したとある救世主の終焉。
もうじき世界が終わる。
それは生命の終わりを意味する。
神を殺した我々、それも世界の救世主だって例外ではない。
「はぁ…ようやく終わったわ」
もう手足は使い物にならない。
ユーイが愛用していた星々の剣、
彗刃スターライトは中央で真っ二つに砕け、
剣に籠められた魔力が宙を舞い、
キラキラとまるで星々がかつて海を作っていたようなあの感じを彷彿とさせる。
「……あははっ、無理しちゃったぁ……、身体がどこもかしこもボロボロだぁ」
淡く透明感のある青い髪がゆらゆらと煌めく。
杖で支えなければ立っている事もままならない。
今日の戦果は愛するハズキがいなかったら大敗だった。
「…………あれま」
ハズキが荒廃した世界、環状線が重なる神八代上空に顔を向ける。
空がビキビキと音を出して崩れ出した。
「ハズキ…?」
「あははっ……本当に可愛いなぁユーイちゃんって」
「ほらっ」と両腕を大きく広げてハズキがユーイを抱きしめる。
「……ちゅっ…んっ……あ…っ」
最後のキスは甘く濃厚で私たちの世界を温めてくれるミルクみたいなそんな味だった。
「……愛してるハズキ」
「私も…愛してる……」
もうじき世界が終わる。
神の頂はとうに崩れ、陥落した玉座にはもう何も残ってなんかいない。
生まれ変わってもまた巡り会うために。
私達は最期の最後まで負けるわけにはいかないのだ。
「────スターライトッ‼︎‼︎」
腰を低く落とし、足と刀身に残りの魔力を熾す。
敵の懐を目掛けて大地を蹴る。超加速。
まるで無限に続く永遠の旅路。まさに彗星の煌めきを描くように────
「オーダーァァアァァアアアァァッッ‼︎‼︎‼︎‼︎」
また大好きって伝える為に私は世界を殺す。