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テラエ王国戦記 ー月の姫と鴉の騎士ー  作者: 黒狼
第一章 月の姫と騎士達
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姉との再会

 一月かけて準備を整えた私たちは、お父様の使者として王国東部の諸侯を巡る旅に出ました。


 旅に同行するのは、私専属の侍従であるリーズと幼馴染である護衛騎士のシャルリーヌ、レオナール、ヘンリエット、トリスタン。

 新たに臣下に加わった官吏兼紋章官のジャスミンと護衛騎士のルドルフ。

 ルドルフの従士であるウィルバードとリンネア。

 それに新たに雇い入れた従者が男女二人の計四人。


 それに私を含めた、計十四人が旅の一行です。


 私の身分で考えれば少人数になりますが、あまり大規模になるとお父様より賜った予算を超過してしまう為、今の人数になりました。


 私がリュヌブレーヌ宮中伯領の外に出るのは初めての事なので、私の胸の中には期待と不安が入り混じってドキドキしていました。


「ルーナ様、間もなく最初の目的地であるソワレフォレ伯領の領都ですよ」


 護衛として軍馬で馬車に並走していたシャルリーヌが、軍馬に跨ったまま私に話しかけてきました。


「ソワレフォレ伯といいますと、“ヴィオレット”様のご夫君で有らせられますね」

「ええ、ヴィオレットお姉様にお会いするのは五年ぶりでしょうか?」


 現ソワレフォレ伯のドミニク様は、私の下のお姉様であるヴィオレットお姉様の旦那様なのです。

 実は使者としての書状とは別に父母からお手紙を預かっているのです。


「レオナール、先触れを頼みます」

「はッ、お任せを!」


 私の命を受けたレオナールが“リュヌブレーヌ宮中伯家の紋章が入った旗”を掲げて馬を駆けさせて一人先行していきました。




 それから程無くしてソワレフォレの領都が見えてきました。


「ルーナ様」

「何でしょう、トリスタン?」


 御者席で手綱を取っていたトリスタンが馬車の中の私を呼びました。


「なんか“すごい出迎え”になってますよ?」

「……え?」


 慌てて馬車の窓から顔を出すと、領都の城門前にすごい数の人が見えました。

 無数の騎士や侍従が居並び、その中央には領主夫婦の姿がありました。


「ええ……」

「す、すごい出迎えですね、ルーナ様……」

「ああ、そういえば……」


 ふと、何かを思い出したのか、ヘンリエットがしみじみと語りだしました。


「ヴィオレット様は、ルーナ様の事が大好きでしたね。 お嫁に行く時も『お嫁入りにルーナちゃんを連れて行く』って大騒ぎして……」

「ああ、あったわね……ルーナ様も『おねえちゃまいっちゃやだ!』って泣きじゃくっていて……」

「ヘンリエットもシャルリーヌもやめてくださいッ! 私が三つの時の事では無いですかッ!!」


 お姉様のお嫁入りの時の事を話す二人に、私は思わず大声を上げてしまいました。

 こういう時の幼馴染の気安い関係を恨めしく思う時があります……。


「まぁまぁ、二人ともルーナ様に好意があるからこそ、あの様な気安い態度なのだと思いますよ?」


 二人にからかわれて恥ずかしい思いをしている私に、軍馬に跨ったルドルフが宥める様に言葉をかけてきました。


「ですが……ルドルフやジャスミンにも昔の恥ずかしい話を知られて……」

「歳の離れた兄姉を持つ場合、大なり小なりその様な感じなのではないでしょうか? 私の歳が離れた妹も、よく我が儘を言って私や兄を困らせたものですから」

「……そんなものでしょうか?」

「ええ、そんなものですよ」


 ルドルフはそう言って不器用に微笑んで見せてくれました。




 大勢の出迎えの人々の前に馬車を止めると、私は馬車を出ました。


「お出迎え感謝いたします、ソワレフォレ伯。 前リュヌブレーヌ宮中伯ギャスパルの娘ルーナ、父に成り代わり使者として参上いたしました」

「ルーナ殿、使者としてのお役目ご苦労、貴女の来訪を歓迎しよう」

「ありがとうございます」


 型通りの挨拶が終わると、ソワレフォレ伯……“ドミニクお義兄様”は咳払いをしました。


「……久しいな、ルーナ」

「はい、ドミニクお義兄様もお変わりないようで」


 真面目な顔を崩して、私の記憶の中にある“気安い雰囲気”のお義兄様がそこにはいました。


「ルーナちゃん、久しぶりね」

「はい、ヴィオレットお姉様! お姉様もお元気そうで……」

「あら、昔みたいに“おねえちゃま”って呼んでくれても良いのですよ?」

「お姉様ッ!!」


 そして、お姉様も変わらずにお茶目な人でした。


「しばらく会わない内に大きくなって……」

「お姉様……」


 小さい頃してくれた様に、お姉様は私の頭を撫でてくれました。


「ルーナちゃん達は何日か滞在するのですよね?」

「はい、その予定です」

「では、お茶会を開きましょう! 子供達にルーナちゃんを紹介したいですし」

「はい、是非ッ!」


 私がお姉様との話で盛り上がっている所に、再び咳払いが聞こえました。


「ヴィオレット、立ち話も何だろう」

「あら、私ったら……」


 お姉様が恥ずかしそうに後ろに下がると、再びお義兄さまが進み出ました。


「改めて、義妹君の来訪を歓迎するよ」

「ありがとうございます、お義兄様」

トピックス:十星教会の派閥



 権威派


 現教会の最大派閥で通称“教皇派”、王国の南部、中央の一部、西部の一部に強い影響力を持つ。

 教会の“権威”と“権力”を増す事を第一に考える派閥で、その為なら手段を選ばない所がある。

 また、派閥内で権力闘争をしており、内部でさらに細かく分派している。



 原典派


 十星教会の聖典を絶対とする最古の派閥、王国の東部の一部、中央のミラージュフォール公爵領に強い影響力を持つ。

 現世の権力に傾倒する事を良しとせず、権威のみで人々の支えである事を良しとする派閥。

 平民には受けがいいが、既得権益を得ている貴族や豪商等には煙たがれている。



 中庸派


 十星教会の派閥の中では一番最近出来た派閥で権威派と原典派の中間の考えを持つ、王国の北部

、東部の一部に強い影響力を持つ。

 現世利益に寄り過ぎている権威派、信仰に寄り過ぎている原典派、どちらも肯定しつつ独自の在り方を模索する新興派閥。


 修練派


 十星教会の中では異彩を放つ派閥。

 派閥としては原典派の次に古い武闘派の派閥。

 教会内の権力闘争には興味が無く、“教会を護る剣”である為にひたすら修練を繰り返し、多くの有能な聖騎士を輩出している。

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