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かげりある影のおはなし。

作者: 七瀬







僕は華原マナトの影だ。

いつか僕は、マナトから消え去る影になる。

影は10年に一度、新しい影に入れ替わるというルールがある。

お役目が終わると? 影たちは“影の楽園”という所に連れて行かれると

聞かされている。

そこに連れて行かれた影は“天国のような場所だという者もいれば

また別の影は? 地獄のような場所だともいう。”

でも実際に行った影達は誰一人帰って来ない。

だから本当は、何処に連れていかれたかは誰も知らないのだ。

僕はただ、マナトの傍に居たいだけ!

でもその願いは叶わない。

影は“本人から心の眼”で見えなければみんな同じに見える。

誰が【影】になっても分からなし変わらないのだ!

僕はマナトじゃないとダメだと思っていてもマナトから僕を見れ

ば僕はただの影にすぎない。

みんな一緒に見えるんだ!

晴れた時にアスファルトに映る影を見てみんな違うとは思わないだろう。

それと一緒で僕も“本体”ならそう思う!





・・・でも、僕にはもう時間がない!

他の影に入れ替わるタイムリミットが近づいている。

ただ一つだけ僕の願いを叶えてくれる条件がある。

“マナト自身が僕に影でいてほしいと願えば僕はマナトの傍にずっと

いれるのだが...。”

これは難しい条件だ!

“マナト自身が僕の存在に気づかなくてはいけない!”

だからといって、僕からマナトに僕が影だと話してもいけない!

あくまで! 本体が気づいての事だ!

以前他の影から聞いた話なのだが影が“本体”に気づいてもらった

話を聞いた事がある。

本体は影の存在の事を知り“その影”を残したという話だった。

その後は、本体が死ぬまでずっと一緒に居れたという。

最愛の人と一緒に死ねるなら僕はそれが本望だと思う!

いや? それが一番いいに決まっているんだ。

でもそれは稀な話で、他でも本体が影の存在に気づいて直ぐに消された

という話も聞いた事がある。

どちらかと言えば、そちらの方が多い話だ!

“本体”からすれば影は皆同じ。

だから影の存在に気づくと必ずといっていいほど消されることが多い。

消された影は二度と影になる事はない。

お役目ゴメンとばかりに、ドロドロに溶かされて消えてなくなるのだ。

影が行きつく場所は、やっぱり地獄に行くんだと僕は思う。

マナトの傍に居れないなら僕は何処に行っても地獄だと思うから。











・・・そして遂に僕の役目が終わる日が来た。

僕は消える事を覚悟していた。

マナトの傍にずっと居れない事が僕の最後の心残りなのだけど。

でも、10年間マナトの傍に居れて僕は凄く良かったと心から想う。

彼はお人好しで嘘がつけない男だが、正義感のある心の強い青年だ!

そんな彼を僕は誇りに想うよ。

最後の最後まで、僕はマナトの傍に居れた事を嬉しく思い返していると?



【えぇ!?】

【あぁ!?】

【君、誰!?】

【マナトの影だよ】

【僕の?】

【あぁ! でも今日で僕はマナトの影を終えるんだ】

【えぇ!? どうして?】

【他の奴と入れ替わらないといけないんだ】

【いつからぼくの影だったの?】

【マナトが10歳の時からだよ】

【ボクが10歳の時からなの?】

【あぁ、】

【じゃあーちょうど今日で10年目か!】

【・・・そ、そうなるのかな、】

【じゃあーこの先も“ぼくの影でいてくれる?”】

【えぇ!? いいの?】

【もちろん、これからもよろしく!】

【うん! こちらこそよろしくなマナト!】







僕は間一髪のところで、マナトの影で今も居続ける事ができた。

最後の最後で、マナトが僕を見つけてくれたんだ!

今日は最悪で最高の日だ!

でも、僕の願いが最後に叶った事がなによりも嬉しい!

“マナト、僕を見つけてくれてありがとう。”


最後までお読みいただきありがとうございます。

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