第1話 一人目
小さめの船に乗った二人はこれからの事を話しあう
「これからどうする気だ?」
「そうでござるな、拙者は東方の国出身の為西に向かいたいと思うでござる」
「それなら、この島の西に有る島の『グワン島』までにするか」
「ヴァイス殿はこの島を動かぬでござるか?」
「動きたくても動けねぇだろ、仲間が一人もいねぇだからな」
「今まではどうしていたでござるか?」
「今までは一人でも動かせるこの船で行ける距離を沿岸を走らしてこの島まで来たな、
俺の持つコンパスの能力で水は操れるからある程度なら行けるからな」
「仲間を作らないでござるか?」
「俺の仲間は一緒に夢を追える奴等だ、なかなか居ないのが現実だがな」
「夢でござるか、、、、、」
そんな話しをしていた二人の乗る船の前にヴァイスの居る港町を攻めようとする海賊船が迫る。
「あれは、、、今殺した奴等の親玉の船か?」
「何故わかるでござる?」
「あの下っ端どもの腕の刺青はあの海賊船のメンバーの証だ」
「と言うことは奴等の船長はここら辺では有名でござるか!?」
「ああ、クソみたいな事しかしねぇクソ海賊としてな」
「その名は?」
「『デストロ海賊団』船長、毒マムシのボアール・デストロだ!!」
「どうするでござる?」
「決まってる、奴等をあの港町に入れる訳にはいかねぇからな
ここで奴等を完全に潰す」
「しかし!船にはそこそこな人数がいるのでは?
しかも大砲がこの船には無く、有っても扱え無いのではないでござるか?」
「そうた、アンタには悪いがこれから突撃するから俺が殲滅するまで
この船の中で耐えてくれ、本当に悪いがアンタに被害は行かせねぇ」
「そんな!?一人では無理でござる」
「なに、心配ねぇよあれぐらい、
だがもし危なく成ったらアンタは逃げろ、島までは海流を動かすから」
「、、、、、」
「じゃあ行くぜ!」
ヴァイスがそう言うと船が物凄いスピードで敵の船に真っ正面から突っ込む
それと同時に敵の船の側面から水柱が上がり船の側面の大砲を使えなくする
敵の船直撃する前に横に曲がりながら止まり、ヴァイスが敵船に飛び乗る。
「よう、久しぶりだなクソマムシ野郎」
「やはり貴様か、大砲が水流で使えなく成って更に船が動かねぇ時点で
貴様の介入を疑ったが正しかったようだな」
ヴァイスの挨拶に返して来たのがこの船の船長ボアール・デストロだった。
デストロはかなりの巨漢で顔は蛇の様で
腰には一本の片刃剣である太めのカトラスを下げる
腕にはマムシの刺青を入れていて、かなり凶悪な成りをしている。
「貴様にしてやれたが、今は貴様に構ってられねぇんだよあの島に向かった奴等が
帰って来ねぇから探す次いでにあの島の港町を潰して略奪しに行く途中でな」
「悪いな、お前の部下は俺が切り伏せたし、お前を此所から先には行かせねぇ
あの港町は俺の今のアジトだからな」
「何!?それはつまり俺達に戦争を仕掛けたいって解釈で良いのか?
貴様一人で?まだ痛めつけ足りてねぇみたいだな」
「何を言ってやがるあの時はお前等が逃げたんだろ?
一人に良いようにされてな」
「減らず口を!!なら今度こそ死ね!!!」
そう言ってデストロがカトラスを抜き、部下に指示を出す
たいしてヴァイスも二本のカトラスを抜き迎え撃つ
更に海面から水流が来てデストロの後ろの部下達を吹き飛ばす。
「あいかわらず面倒な能力だな」
「お前等ごときにこの力は過剰かも知れないが皆殺しにするから許してくれ」
「殺す!!」
デストロ達がヴァイスに切りかかる、だがヴァイスは上手くかわして雑魚どもを殲滅して行く。
カトラスで切り伏せてピストルで頭を撃ち抜きまた切り伏せる、そうして雑魚を削るヴァイス
「何故、お前程の海賊が一人で居続ける?お前なら俺の部下に成ればそうとな戦力になる、
何故だ?もっと現実を見たらどうだ」
「俺は支配に興味が無いからな、それにお前の下なんてゴメンだね
海賊は自由で有るべきだろ?ならお前の下なんかじゃ俺の器では全然足りねぇだよ」
「このクソガキが!」
遂にはヴァイスとデストロの一騎打ちに成って居た
デストロの部下達はヴァイスを恐れヴァイスに倒されて無い奴等は動け無く成って居た。
激しい切り合いの中で苛立ったデストロが声を上げる。
「何をしてやがる!お前等であのガキを撃ち殺せ!!じゃねぇーと俺がお前等を殺すぞ!!!」
デストロの恫喝で部下達が銃を構えヴァイスを射とうと全員で引き金を引いた。
「チッ!!」
ヴァイスが防壁を張って攻撃を受けようと構えた瞬間、一筋の斬撃が走る。
「アンタは!?何故こっちに上がって来た!!」
ヴァイスの前に朱音が居合いを抜いた後の姿で立って居た。
「一人に対してこれだけの数に加え、港町の人々から略奪しようとはなんたる卑劣、
我が刀の錆びにしてくれる」
「アンタは何を言ってんだ、これが奴等のやり方だ
奴等には仁も情もねぇだよ、それが海賊だ」
「ならばヴァイス殿は奴等の卑劣ゆるせるのでござるか?」
「俺は海賊だ、だから奴等が何をやって来ても覚悟はできてるし
奴等の好きにはさせねぇよ」
「なら拙者も同じでござるよ」
「だが!アンタを危険に晒す訳にはいかねぇだろ!!」
「ならば二人で殲滅すれば危険は無いでござるよ」
「わかったよ、やるぞ!!」
カトラスを二刀流で構えるヴァイスと刀を構える朱音
「アンタは残ってる奴等を頼む、俺がデストロを仕留める」
「承知!」
二人はそれぞれの相手に向かって走る
「炎楽瞬連斬!!」
朱音が下っ端の側を走りぬけ連続的に切り伏せる
「さぁ決着をつけようか、デストロ」
「あの女は?」
「ただの成り行きで隣の島に一緒に行くことになっただけさ」
「ならお前を殺して、あの女は売るとしよう」
「そんな事より早く殺り合おうぜ」
「フン!ならばさっさと死ね!!」
デストロがカトラスを切り込んで来る。
ヴァイスはそれを避けて体勢を建て直す
「お前のカトラスに触れる訳にはいかねぇからな」
デストロのカトラスの刃には紫の液体が滴る
デストロが毒マムシと言われる由縁である毒を操る為だった。
「そのオーパーツはやっぱり厄介だな」
「これこそ我が力の象徴『毒蛇のベルト』海賊王が残したオーパーツには劣るが
それでもこの力が有れば俺が次の海賊王になれるだろう力だ」
「お前は絶対に海賊王には成れねぇよ、いや成らせねぇよ」
「ならば俺を止めてみせろ」
カトラスで切り合うヴァイスとデストロ
「これでも喰らえ、ヒュドラスラッシュ」
「チッ、アクアセイバー!!」
ガン!!
二人のカトラスがぶつかり合う
そこから二人はカトラスで打ち合い続ける
「クッ!!やはり根は腐っていても長年海賊やるだけは有るな
剣の腕は確かみたいだな」
「当たり前だ、貴様とは年期が違うのだ」
「だが俺は負けれねぇだよ!!」
「ならばどうする?貴様では俺には勝てんぞ」
「いや、まだだ!!」
そう言うとヴァイスは剣捌きを加速させる
「何!?」
「海狼と呼ばれる由縁を見せてやるよ、デストロ!!」
「おのれ!田舎海賊の分際で!!」
更に加速するヴァイスはデストロを追い詰める。
「ファングザッパー!!」
鋭さを増して行くヴァイス
「おのれ!!まだ早く成ると言うのか!!!」
「これで終わりだ!!アクエリアスファントム!!!」
「だが、まだだ!まだ終わらん!!ヘルスネークデストロイア!!!」
二人の剣撃が激しさを増し、加速して行く
「死ね!!」
「終わらせてやるよ、デストロ!!!」
「ヒュドラベノムスラッシャー!!!!」
「オーシャンメガストライク!!!!」
二人の斬撃が交差する、背中合わせで少し離れて立つ
デストロのカトラスがバラバラに成り、デストロの体にクロスした切り傷ができた
ヴァイスの前髪が少し落ちて、ヴァイスの居る真横が毒で溶ける
「ば、バカな、、、、、」
デストロが仰向けに倒れた
「やったでござるか?」
「ああ、これで終わりだ」
一騎討ちデストロを斬り倒したヴァイスに朱音が話しかける
「バカな、デストロ船長が!!」
「ありえない!!」
「クッ、デストロ船長の仇を取れ!!」
「どうするつもりでござるか?」
「仕方ねぇよ、奴等を殲滅するぞ」
「なら拙者に任せるでごさるよ」
「何!?それはどういう意味だ?」
「とりあえず船戻るでござるよ」
「あ、ああ」
二人は船に向かって走り飛び乗る
「では行くでござるよ!!」
「ああ、頼む、、、」
「煉獄焔王斬!!!!」
朱音が船に向けて一刀両断するとかなり大きめの船が真っ二つになる。
「やりやがった、、、ハハハ、、、、、」
「よく言うでごさるよ、ヴァイス殿もこれぐらい出来るであろうに」
「バレたか、まぁあまりする気は無いがな」
「それよりもヴァイス殿にお願いが有るでござるよ」
「なんだ?」
「拙者を仲間に入れて欲しいでござる!!」
「おい、大丈夫なのかよ!俺の仲間に成るってことは、、、」
「良いでござるよ、ヴァイス殿が拙者のイメージする海賊では無いと判ったからこそ
仲間に成りたいと思うようになったでござる」
「まったく、仕方ねぇな
そう言う事ならこっちからお願いするぜ」
「よろしくお願いするでござるよ」
「ああ、よろしくな」
「それでこれからどうするでござるか?」
「とりあえずそろそろ他の島に行って仲間を集めたいのと、ちゃんとした船が欲しいな」
「そう言えば仲間が居ないのでござったな」
「ああ、よく今までやって来れたと思うよ」
「本当でござるな、、、、、」
「とりあえずグワン島の港町グワンガナだな」
「了解でござるよ」
「まぁその前島に戻って船出の準備をするぞ」
「挨拶をして回らないとダメでござるしな」
船で島まで戻り挨拶周りをして行くヴァイス
「終わったでござるか?」
「ああ、行こうぜ朱音」
「承知!!」
こうしてヴァイスの仲間に女剣士が入る事に成った
ヴァイスと朱音の二人の夢が交差し更なる運命の歯車を加速させて行く
「この海域ですか、デストロ海賊団が壊滅したのは?」
「ハイ!あの島に向かっている際に男女二人組に殲滅されたそうです」
ヴァイス達がデストロ海賊団を殲滅した夜に
大型の船の上でフードの人物が船員に話しを聴いて居ていた。
「見つかりました、今から引き上げます」
海面から真っ二つになった船の片側、その上に横たわるデストロの遺体が転がっていた
「まったく、使えませんでしたね、これだから田舎海賊はダメですね」
デストロの遺体からオーパーツの毒蛇のベルトを外す。
「少し話しを聴いてみましょうか?」
フードの人物は遺体の心臓辺りにオーパーツの杭を突き刺す。
「ガッ!!!ハァハァ、、、、、」
「おはようございます、デストロさん」
「お前は!?何故お前が此所に居る、俺はいったい?」
「貴方は死んだんですよ、あの若造海賊に殺られてね」
「何!?クソ、俺をコケにしやがって!!」
「憤るよりも早く情報を教えなさい、貴方の事情は関係無い
私達はオーパーツを探しているのですよ」
「ま、待ってくれ!話す、話すから!!俺にチャンスをくれ!!」
「ヴァイスの居場所のような有力な情報ですか?」
「いや、だが海賊王が残したオーパーツの1つを持った奴を知ってる!」
「そうですか、なら教えて貰いましょうか?」
「奴と一緒に動いて俺達を潰した女だ、刀をさげてる東方の島出身ぽい女剣士だ
火を使って居やがったあれは間違いなくあのオーパーツの力の特徴だ」
「確かに有力な情報ですね、、、、、」
「だろ?だから俺をこのまま生きさせてくれ、俺は奴等を潰したいんだ
もう一度チャンスをくれ!!!」
「しかし結局その女侍もヴァイスと行動して居て行方が解らないのですね?」
「い、いやそうだが、、、、、」
「もう1つ、このオーパーツは一時的に蘇生するだけですよ
なので貴方はどのみち終わりです」
「な、なら何故蘇生した!!」
「あの方からの伝言を伝える為ですよ『今までよく俺の手足に成ってくれた、もう用済みだ』
情報を聞き出す為とこの伝言の為に生き返らしただけですよ」
フードの人物がマスク型のオーパーツを喋りながら外す。
「クッ!!裏切ったな、こうなったらお前だけでも道ずれにしてやる!!」
デストロが隠し持って居たナイフをフードの人物に振りかざす。
「終わりですよ、デストロ」
「ガッ!!!」
仮面を外したフードの人物が金色に輝く瞳でデストロを睨み付けるとデストロが石化する。
「最後に、お前が得た情報を私達が得て無い訳無いでしょうに、この無能のゴミが」
フードの人物はデストロを蔑んだ瞳で一瞥すると仮面をつけ直し蹴りを入れて
デストロを粉々に粉砕して船員の方に向く。
「とりあえず、このゴミを片付けなさい
進路をあの方の船の方に取ります、報告とオーパーツを持ち帰ります」
「ハッ!!!」
フードの人物の指示を受けて行動に移る船員達、移動の準備にそれぞれ掛かる。
「遂にあのオーパーツが巡り合いましたか、
これは早めに計画を進めなくてはいけませんね、、、、、」
そうフードの人物が言い残して船は夜の闇に消えて行った。