第962次戦争 II 終わらぬ理由
国が、争うよりも敵対しない方が良いと思うだけの力があれば国の支配から抜けた、ということになります。
左翼もそろそろ終わりだろう。
ならば中央を潰せばこの戦争は終わりだ。
まぁ、両国が回復すればまたすぐに次の戦争だ。
この戦乱はなぜ終わらないか。
……復讐だからだ。
負けた軍の報復に始まり、両軍と一般人に大量の死者を出して終わる。
そしてまた負けた軍が報復を始める。
全く愚かなことこの上無い。
が、だからこそ終わらない。
やめれば負けを認めることになるからだ。
この状態をおかしいと思うものはいない。
平和を知らないからだ。
平和なんてものは3世紀以上前に置き去りにされた遺物でしかない。
それに、例え平和を説く者がいたとして、その人は翌日までに爆弾を抱えた特攻兵に昇格するだろう。
……そういう世界だ。
さて、中央へ向かおう。
中央は、左前方10時の方向か。
おっと、その前に補給をしなければ。
一度本部へ戻って、ついでに右翼を潰したと一報入れておこう。
本部へ着いた。
補給するのは、機関銃一丁、ガスグレネードをいくつか、手榴弾。
あとはナイフが3本で終わりだろうか。
補給を終わらせて再び中央へ向かおうとすると、上官に呼び止められた。
前線が押されている、戦争屋の可能性あり、と。
同業か。
戦争屋とは、自ら強大な力を得る事で国の支配から抜けた者の中で、金と引き換えに兵として動く者達の事で、斯く言う私もその一人だ。
戦争屋はそもそも国の支配から抜けられる力を持っている上、生きているということは、それだけ戦争を経験、そして生き残ったということであり、洗練された強さを持っている非常に厄介な存在だ。
戦争屋一人で戦局が覆ることも多々ある。
その戦争屋がいるのであれば前線が押されるのも仕方ない。
とりあえず前線へ戻らなければ。
作者です。
一話をどのくらいの長さにすればいいのかわからず1000文字ぐらいでやってみようと思います。
さて、次回の戦争屋さんは、
第962次戦争 III 戦争屋との遭遇
の、一本です。