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俺と楠本のちょっとしたデート

5月、季節はゴールデンウィーク真っ只中。俺は楠本から「ちょっとデートに付き合ってよ。ご褒美もするから」と言われたので、俺は楠本とデートに行くことになった。




「おはよ、樹」


「ああ、おはよう。楠本」


「・・・ところで、彼女待たせて恥ずかしくないの?」


「いつから俺はお前の彼氏になった!?」




午前10時すぎ。待ち合わせ場所である、地下鉄の駅に楠本はすでに到着していた。楠本は白のワンピースに、ピンクのカーディガンを羽織り、楠本の長身と茶髪、そしてほのかに香る香水の匂いとよくマッチしている。




俺と楠本がまず向かった先は、駅から徒歩5分くらいのアニメショップである。楠本はここで買いたいものがあるらしい。




「あたしは色々見回りたいから、樹も好きなもの見なよ」




そう俺に言った楠本は階段を登り、2階のコスプレ売り場の方へと向かって行った。それと時を同じくして、俺は3階の同人誌売り場に向かう。・・・結局俺はここで、あるラブコメアニメの同人誌を買った。もちろん全年齢版。




「楠本って、コスプレのレパートリー多いんだな・・・」


「うん。最近は男装もしてるよ。よかったら画像送るから」


「いいわ、別に・・・」




コスプレの衣装を色々買い込んだ楠本は荷物を俺に持たせてこう言っている。そして、




「そういえば樹、あたしここ入りたいんだけどいいかな?」




楠本は雑居ビルにある書店の方に指を向けた。男性のイラストが書かれている。俺も楠本について行こうとするが・・・




「鍵山くんはここで待ってて。ここからは乙女の嗜みなの」




入り口の前で楠本に止められた。そして楠本は店の方に入って行った。その間、俺は仕方なくスマホを触る。時刻を確認すると、もう12時になろうとしていた。




しばらくして、買い物を終えた楠本が戻って来た。両手には買い物袋がいくつもあり、色々買ってきたようだ。俺は「何買ってきたんですか?」と楠本に聞いたが、「・・・それは、乙女のヒ・ミ・ツ」と言われた。・・・こないだの千鶴先輩と同じこと言ってるな。結局この日、楠本が買った物は俺に明かされることはなかった。




◇ ◇ ◇




時間が時間なので、買い物を終えた2人は近所のファーストフード店で昼食を食べることにした。もう5月だ。外でジッとしていると暑く感じる。そしてこの日は雲一つない快晴でなおかつ、連休中ということもあって、多くの人であふれ返っていた。




「やっぱりあたしと樹って、カップルに見える?」




食事中、俺は楠本にこんなことを言われた。確かに、高校生の男女2人が一緒に食事をとる光景はカップルそのものだ。俺はふと楠本を見る。長身と茶髪、そしてほのかに香る香水の匂い。おまけに現役モデル・・・こんな美人を男が放っておくわけがないだろう。結局、楠本に「いーつーきー。何食事中、あたしのことジロジロ見てるの。気持ち悪い・・・」と言われたが。・・・軽く凹む。




食事が終わると、俺と楠本はゲーセンに向かった。ゲーセンでは2人でアーケードゲームで色々対決をした。結果は5分。


そして最後は2人でプリクラを撮った。流石にチューはしなかったが、お互い手を繋いだ写真、抱き合った写真、2人でハートの形を作った写真はまさにカップルそのものだ。我ながら見てて恥ずかしい物がある。




「樹にこれを言うのもアレなんだけど、我ながら見ていて恥ずかしいよ・・・どう考えてもカップルにしか見えない」




楠本もそう思っていたらしい。しかし、「まあ、あたしは樹のことが大好きだから、そこまで気にする必要はないかな」と楠本はすぐ言ったけど。・・・何だよ、その深い意味は。俺の方が気になるんだけど。ちなみに楠本にその意味は何だと言ったら、「樹、鈍すぎ・・・」と言われた。意味わからん。




俺と楠本はゲーセンを後にすると、まだ少し時間があったため、喫茶店で時間を潰すことにした。




「うーん、何頼もうかな・・・」


「喫茶店に入ったのはいいけど、何頼むか悩むな・・・」




結局俺はマンゴーパフェを、楠本はいちごケーキとタピオカを注文した。そして夕方、喫茶店を後にした俺と楠本はそれぞれの帰路につく。ちなみに、途中までお互い同じ電車とバスに乗っていたことも書き足しておこう。そして、




「いーつーきー!今日は色々、付き合ってくれてありがとう!すっごく楽しかったよ!」


「ああ、俺も楠本と一緒に遊べて良かったと思う。次は学校で会おうな!」




楠本が最後に俺に向けた笑顔は、とても可愛かった。

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