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五十五話 世界樹が登れるようになってました!

「ううっ……もう限界だ……」


 俺はこみ上げる吐き気と戦っていた。

 すると、リルとメルが俺の両肩にやってきて、心配そうに見つめる。


「ごめん、二人とも。大丈夫だよ」


 赤ちゃんに心配はかけられないな……

 俺は精一杯、リルとメルに微笑み、よしよしと頭を撫でてやる。


「次は……そうだ、世界樹にいくか」


 地上のこちら側、埋立地のほうの目ぼしい施設はすべて見た。

 今度は世界樹の方に行くとしよう。

 それに世界樹の下は、不思議な力のおかげか体が癒される。

 そこで少し吐き気を落ち着かせるため、休憩するか。


「うぷっ……じゃあ、二人とも行こう」


 俺たちは世界樹のほうへと向かうのであった。


 埋立地と世界樹のある場所は、もともとあったシェオールの岩山によって隔てられている。

 しかし、岩山にはその二つをまっすぐ繋ぐ通路が開通していた。


 綺麗な石材で整えられ、輝石の明りで照らされるその道を俺は進む。


 そしてそれを抜けると、そこには青々とした緑が。

 

「この空気……本当に森にいるみたいだな」


 世界樹から落ちる葉の他に、地上に群生する果樹園の緑がより一層そう思わせるのだろう。


 しかし、この果樹園も立派になったものだ。


 元々果樹園と畑は埋立地側にあった。

 それを少しずつ、こっちに移してきたのである。


 植えられている木だけで、数十本はあるだろうか。

 植物の成長を早める太陽石のおかげ……だけでなく、世界樹もその成長を促進しているようだ。


 ジャガイモやらの畑も順調に育ってるようだな。 

 収穫まで早いカブは食べたが、美味しかった。


 そして先程から響いている水が流れる音……

 これは洞窟の地下深くから引いている温水の音だ。


 温水はこの世界樹の下に作られた浴場に、なみなみと注がれている。


 浴場には、俺専用に仕切っている場所もある。

 これは前、バリスに頼んだものだ。

 人間は皆に裸を見せるのが恥ずかしい……わがままのようだが、切実な問題だったので非常に助かった。


 と、施設らしい施設はこれで全部かな? ……うん?


 俺は世界樹の幹に沿うようにできた桟道を見つける。


「もしかして……あれで頂上まで行けるのか?」


 見たところ、結構高い場所までつながっているようだ。

 もともと山のような世界樹だったので、ああして道をつくることができたのだろう。


「せっかくだから、登ってみようか?」


 俺が聞くと、リルとメルがうんと頷く。


 こうして俺たちは桟道を登り始めるのであった。

次回は世界樹の頂上に! 地上紹介編とはそこで終わりです!

次回更新、1月14日に更新遅れます。

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