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百五十二話 大変なことになりました!

「なんだ、あの蜂は!?」


 目を瞬かせるたびに、蜂が大きくなっていくことに気が付く。


 比較対象になるのはマッパゴーレムだが、それと同じぐらいはあろう大きさだ。


「ひ、ヒース、お前の知り合いか?」


 俺が顔を向けると、ヒースは頬を真っ赤にして首をぶんぶんと振る。


「そ、そうか。知らないか……」


 ……本当かな?

 なんというか、さっきのヒースの踊りに関係しているような気も。


 リエナは不安そうに俺に訊ねる。


「どうしましょう、ヒール様? このまま島に迎え入れますか?」

「……ヒースに聞いてみよう。ヒース。あいつはこの島に上陸させて大丈夫そうか?」


 ヒースはぶんぶんと首を振った。

 大丈夫じゃない、というよりは、なんだか会いたくないとでも言いたげだ。


「……ともかく、埠頭側の塔へ行ってくるよ」

「私もお供いたします。あ、ヒースさんが連れて行ってくれるようですよ!」

「え? ……た、頼む」


 今は、高いのが嫌だなんて言ってられない。


 俺たちはヒースに抱きかかえてもらい、塔へ連れて行ってもらうことにした。


 ……着くまで目を瞑っておくか。

 いや、逆に目を閉じていたほうが怖かった。かといって目を開くと、それも怖い。


 変に目をパチクリさせてたせいか、リエナが心配そうに訊ねてくる。


「ヒール様、大丈夫ですか?」

「あ、ああ、大丈夫だ……」


 リエナは俺の手を握ってくれた。


 我ながら情けない……っと、もう着くな。


 ヒースは塔へ着くと、俺とリエナを下した。


 そこにはすでに斧を持ったエレヴァンがいた。


「ありゃあ、また大きな蜂がいたもんだ……ヒースの友達じゃねえのか?」


 エレヴァンの声に、ヒースは再び恥ずかしそうに首を横に振る。


 そんなヒースを見て、リエナはこう呟く。


「ヒースさん。もしかして……照れてらっしゃいます?」


 ヒースは慌てて首を振る。


 いや、絶対知っているやつでしょう……

 もしかして恋人なのかな……とにかく、あの蜂がヒースに関係にしているのは確かだろう。


「ヒース……とりあえず、俺たちはどうするべきか教えてくれ。あいつはこのまま島にいれて大丈夫なのか?」


 俺が訊ねると、ヒースははっとしたような様子となり、肯定するように頷いた。


「わかった。エレヴァン、射撃はさせないように皆に」

「了解でさあ。まあ、あんな巨体だと、バリスタの矢も通らないでしょうが……というか、マッパゴーレムより大きいんじゃないですか、ありゃ」


 蜂はとても大きかった。

 エレヴァンの言う通り、マッパゴーレムと体長は同じぐらいだが、横幅はもっとありそうだ。


 そのマッパゴーレムは俺たちの意思が通じているのか、両手を広げ、蜂を歓迎するらしい。


 エレヴァンが引くような顔で言う。


「あ、あいつ、抱擁でもするつもりか?」

「まあ、華麗に通り過ぎるだろ。ほら……え?」


 蜂は一度マッパゴーレムの横を通り過ぎた。そしてそのままこちらに向かってくると思われた。


 しかし、蜂はすぐに方向を変えると、マッパゴーレムの尻に……


「おおぉおおお……」


 マッパゴーレムは突如尻を刺され、耳を塞ぎたくなるような悲鳴を上げた。


 なんだろう……これ、前にも見たような。


 塔の下に目を向けると、両手で恥ずかしそうに顔を覆うマッパがいた。


 ヒースが来たとき、マッパも刺されたな……


 マッパゴーレムは大きな水しぶきをあげて海へと沈んだ。


「あ、挨拶のつもりでしょうか?」


 リエナも珍しく引いたような顔で呟いた。


「まあ、丸みが気に入ったのかも……いや、なんだか様子が変だぞ?」


 俺の言葉に、ヒースもよく目を凝らす。そしてすぐに驚くような顔をした。


 ヒースも同様に、あの巨大蜂の異変を感じ取ったようだ。


 巨大蜂の腹部で黒い触手のような何かが蠢いていた。その触手からは、膨大な魔力が感じ取れる。


 蜂は再び俺たちのほうを向くと、突如猛スピードで向かってくるのだった。

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