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百四十話 巨大な建物ができてました!?

 父たちが去って数日、俺はやはり採掘をしていた。


 もちろん、必要なことは全て済ましてある。


 まずロペスについてだ。


 エルトによれば、ロペスは魔王になれる特別な魔物らしい。


 魔王は他の魔物を眷属にできる、人が持つテイムスキルに近い能力をもっているという。それだけではなく、ロペスはゆくゆくは膨大な魔力を扱えるように成長するそうだ。オレンが死霊術で蘇らせたときのロペスと同じぐらいにはなるらしい。


 そんな魔物だから、エルトは魔王としてふさわしい教育をロペスにしたいようだ。もちろんこの島の皆とも仲良くやっていけるように穏やかに育てたいとも言っていた。


 ファイアードラゴンのファルの教育も任せてあるし、ロペスもエルトに頼むことにした。


 あとは地下都市。

 シエルがいうには、快適に住める家が多く存在するという。もともとあそこにいたスライムたちが綺麗に手入れしていたおかげだ。上下水道もまだ生きており、今後人口が増えたとき助かるかもしれない。


 だが地下都市には依然としてキメラが多く、とてもまだ安心して寝泊まりできる環境ではない。だから、アリエスとケイブスパイダーたちに少しずつ捕獲させ、俺がテイムすることになった。



~~~~~~



 と必要なことはもちろん済ませながら、俺も採掘をしているのだ。


 地上では元スライムだった帝国人も加わり、建築や農地拡大のための埋立地造成はさらに進んでいる。バリスが上手く指示してくれるので、俺が口を出すこともない。


 ……久々に、採掘だけに集中できるな。


 今俺がいるのは、エルトが封印されていた地底湖の周辺。

 シエルたち古代の帝国人も知らない、七色に輝く石が気になっていた洞窟だ。


 ここ数日は地下都市からここまでの道を掘っていた。そこにマッパに鉄道を敷いてもらいながら。


 転移石が大量にあるので掘る必要もなかったが、万が一どちらかで異常が起きて行き来できなくなると困る。非常用の通路というわけだ。


 今日はシエル、タラン、フーレ、十五号が俺と一緒だ。周囲にはボルシオンの仲間のドールたちが警戒にあたってくれている。


 そんな中、フーレは目を輝かせ、洞窟の壁を見つめていた。そこには虹色の石が大量に見える。


「やっぱり見たこともない石……早く掘ろうよ!」

「そう急がなくたって、石は逃げないって」


 俺も早く掘りたい気持ちは一緒だ。


 しかし、安全第一。

 俺は周囲にあやしい魔力の反応がないかを確認する。


「右よし、左よし……俺から掘らせてもらうぞ!」


 俺は二人よりも早く、ピッケルを振り下ろした。


「ちょっと、ヒール様! ずるいって」


 フーレとタランも俺に続いて、ピッケルを振った。


 すると壁がボロボロと崩れていく。

 崩れた岩は次々と俺のインベントリに回収された。


 インベントリを見てみると、七曜石しちようせきという石が増えている。

 これが虹色に輝く石の正体か。 


 フーレがその七曜石のひとかけらを拾うと、俺に訊ねる。


「すっごく綺麗……なんて石なの?」

「七曜石だって。図鑑によると、ただの宝石みたいだ」


 ただの宝石かと、フーレはつまらそうな顔をした。

 まあ、今まで掘れたものを考えると、確かに平凡な気はするな……


 でも、大陸ではこんな石は知られていない。とても貴重なものであるのは確かだ。


「指輪とかにはいいかもな。ま、このまま掘っていたらまた新しいものが出てくるかもしれないし」


 俺たちはその後、夕方になるまで掘った。北に向かって。


 だが、掘れたのは岩と七曜石ぐらいで、特に新しいものは掘れなかった。


 それでも俺は満足というか、楽しめたが。

 むしろこんな平和な日がずっと続いてくれればな……俺はそんなことを思いながら、地上に帰った。


「今日のご飯は何かな」


 俺は世界樹のほうを見ながらそんなことを呟いた。


 だが、フーレは驚くような顔で、俺が見ている方向とは反対を見ていた。


「ひ、ヒール様、あれ」

「どうした、フーレ? なっ!?」


 すると洞窟をすぐ出て目の前に、巨大な建築物ができあがっているのだった。

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