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百十六話 頼りになりました!!

「おぉう!」


 コッパは、マッパを背中に乗せると嬉しそうに吠えた。


 マッパもまた楽しそうに、そんなコッパを走らせる。


「すっかり仲良しだね」


 そう呟くフーレに、マッパが乗れとコッパの尻を叩いて促す。


「いや……私は遠慮しとくよ。というか、ヒール様。コッパ、このまま連れていくの?」


 フーレの言葉に、アリエスがいう。


「僕は連れていったほうがいいと思います! 獣除けにはうってつけかと!」

「そうか。この声を聞けば、キメラたちも近寄ってこないもんね」


 納得したようなフーレに俺は頷く。


「ああ、戦闘を避けられるだろう。コッパ。俺たちと一緒に来てくれるか?」

「おぉお!」

「ついてきてくれるってことか?」


 俺が問うと、マッパがうんうんと首を縦に振り、コッパのつるつるの頭を撫でた。


「それじゃあ、行くとするか。シエル、案内を頼む」


 俺の声に、シエルは地下都市を進んでいった。


 この前見た倉庫を横目に、地下都市を進む俺たち。

 やはりコッパが恐ろしいのか、キメラたちは近寄ってこない。


「楽に進めるな……うん、もう着いたのか?」


 前の倉庫から十分も経った時、シエルは止まった。

 どうやら、前に見える巨大な円錐の建物が制御装置の本体のようだ。


「ここを直せばいいわけだな」


 シエルはうんと体を縦に揺らした。


「よし、入ろう。何がいるか分からないから、皆気を付けてくれ」


 俺たちはさっそく、円錐の建物へ入ろうとする。


 しかし、そのぼろぼろの扉を見て、脚を止めた。


「壊されている……キメラが壊したのか?」

「ということは、中にキメラがいるかも?」


 フーレの声に、シエルは体を縦に振る。


「シールドを張りつついこう。俺が先頭をいくよ」


 俺は壊れた扉を乗り越え、通路へとはいった。


 通路自体はずっと一本道が続いている。

 壁と天井には輝石がはめ込まれ、とても明るい道だった。


「通路は綺麗だな。お、もう着くぞ」


 通路を抜けると、ちょっとした神殿ぐらいの広さの場所にでた。


「うん、これは……?」


 今まで見てきた場所同様、白で統一されたすっきりとした印象の部屋。

 だが、床に目を落とすと、そこには大量の金属の欠片が散らばっている。


 中には青く光る石も見える。


 回収したが、ミスリルと魔導石、偽心石がこの場に落ちているのが分かった。


「これは、ゴーレムたちの残骸か? 前もこんなことがあったな」

「そういえば、ワインがあった場所もそうだよね」


 フーレの言う通り、ゴーレムが倒れているところは初めてじゃない。 


 最初に昇魔石を見つけた神殿でも、ゴーレムが崩れて倒れていた。

 ブドウの苗木が保管されていたワイナリーのような場所でも。


「彼らも、自然に倒れたのかな」


 しかし、ここのゴーレムたちは皆、ミスリルでできている。

 岩のように崩れるとは思えない。

 ……キメラがやったのだろうか。だが、欠片を見るに、ここのゴーレムたちも剣や鎧を装備していたように思える。彼らの爪や牙で、ここまで粉々にできるか?


 事実、シエルもこの光景に、驚いているようだった。


「とりあえず回収は後にして、制御装置の本体を直そうか、シエル」


 すると、シエルはそうだったと、すぐに部屋の奥に向かった。

 そこには、金属でできた何本もの管が、複雑に設置されていた。


「ここか。なるほど、だいぶ壊されているな」


 所々、管が破裂している場所がある。制御装置が上手く作動しないわけだ。

 ここも爪や牙で壊されたのだろうか。


「それで、シエル殿。直せるので?」


 アリエスがシエルに問うた。


 シエルはしばらく沈黙すると、静かに体を横に振った。

 そして俺たちに、ごめんなさいと言わんばかりに頭を下げる。


「謝る事なんてないよ、シエル。ここまで壊れていたら、誰だって分からないだろう……となると、最後の希望は」


 俺たちの視線はコッパに跨るマッパに向けられる。


 マッパは自分を指さし、頭を掻いた。

 待ってましたとでも言いたい感じだ。


 すぐにコッパから下りて管を確認するマッパ。

 今回は珍しく、真面目な表情で、しかも時間がかかっている。


 だがしばらくすると、マッパはうんと頷いた。


「おお、直せるのか?」


 マッパはうんうんと頷いた。


 どうやらそこら辺のミスリルや、俺たちの炎魔法があればできるらしい。


「やっぱり頼りになるな。よし、やろう」


 こうして俺たちは制御装置の修理を始めた。


 だが、始めて間もなくして、入り口から足音が響くのであった。

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