百六話 摩天楼でした!?
本日、本作コミカライズの4話-1がコミックウォーカー様、ニコニコ静画様で更新されております。
ただただ圧巻ですので、未読の方はぜひ!!
一番下のほうにある告知漫画クリックで読めます!
「こんな場所が……」
目の前に現れたのは、とても地下とは思えないほどの巨大な空間だった。
見上げればまるで夜空のような真っ暗闇が続いている。
地下なのだから天井はあるのだろうが、ここに立っているとまるで外にいるような錯覚を覚える。
もっと驚いたのは、巨大な建造物の数々だ。
俺の暮らしていた王都は大陸随一の大都市といわれていた。
高さを競うように築かれた数多の鐘楼、壮麗な邸宅が軒を連ねる大通りに、訪れる者は忙しく視線を動かしていた。
しかしその王都ですら、ここの足元にも及ばないだろう。
俺たちが立つ丘の下には、巨大な都市が広がっていた。
世界樹のような背の高い尖塔、山のように巨大なドームを持つ神殿風の建物が、両手の指では数えきれないほどに林立している。
いつもは比較的冷めた感じのフーレも、ぽかんとした顔をしていた。
そんな俺たちを見て、アリエスがいう。
「そんな驚く要素ある……?」
「あんたは見たことあるかもしれないけど、私たちはこんな街見るの初めてだもん」
フーレの言葉に俺も頷く。
「ああ。というか、地上の誰もが度肝を抜かれるだろうな」
少なくとも街というものを知っている者は、皆目を疑うだろう。
未だ見たこともないような都市に目を奪われていると、急に獣の遠吠えような鳴き声が耳に入る。
遠吠えはやがて威嚇するような声や、悲鳴に変わっていく。
「……これは?」
「キメラの鳴き声です。縄張り争いでもしてるのでしょう」
「なるほど……しかし、多いな」
最初は二体程に思えた音だったが、すでに聞き分けられないほどとなっている。
「彼らの中にも派閥があるようです。一体に見つかると、仲間を呼ぶ可能性もあるのでご注意を! 僕は十体以上に追い回されて、一年塩の入った壺に逃げて過ごしたことがあります!」
恥じる様子もなく、アリエスはいった。
「塩漬けになってたんだ……」
フーレがいうとタランがちょっとよだれを垂らした気がした。
「まあ、なるべく見つからないほうがいいだろうな」
「ええ。やつらは血の匂いを嗅ぎ分けてくるので、隠密行動がよろしいかと」
「そうか。ならアリエスの言う通り、なるべく隠れていくか」
とはいったが、隠れるための魔法など覚えていない。
姿を消す魔法とか、覚えていればな。
「地道に行くか。この街を見てみたいし」
シエルは体を縦に振ると、俺たちの一歩前にでて矢印のように体の一部を変えた。
指した場所は、入り口から見てずっとまっすぐの、建物が密集している場所だ。
「都市の中か。これは気を付けないとな。後ろは……よし」
あとからやってきたのは、盾を装備したゴーレムたちだ。
シールドの魔法が使えるだけでなく、体も装備もミスリルで固めた重装ゴーレムだ。
彼らにはキメラが入ってこないよう、ここを守ってもらう。
「何かあったら、地上に連絡してくれ。それじゃあ、頼むぞ」
俺たちは地下都市にむかって、丘をくだっていくのだった。
地下に眠る大都市にGO!
次回は7月22日の更新を予定しております。
本作コミカライズ、コミックウォーカー様とニコニコ静画様で現在4話-1まで読めます!
こちらも是非お読みいただけると嬉しいです!
↓の告知漫画クリックで、コミックウォーカー様公式サイトに飛べます!
書籍版の主に後半部分は、WEB版該当部と異なる展開になっております。
こちら興味があれば、手に取って頂けますと幸いです!
↓のほうにある表紙をクリックで、MFブックス様公式サイトに飛べます!