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百五話 地下都市へいきました!

 船を見送って洞窟へ行く前に、俺は地上であることをしようとしていた。


「じゃあ十五号、いくぞ」


 ミスリルゴーレムの十五号はこくりと頷く。


 俺の手に握られているのは、金色の液体が入った小瓶だ。


 中の液体は琉金りゅうきん……自由に形を変えることができるという金属だ。


 これを使えば、十五号を人のような姿にできる。


 俺が回収を念じると、琉金はインベントリに格納された。

 どうやら改造が可能のようだ。


 俺は迷わずこれを十五号の改造に使用する。


 すると、十五号の白銀の体を、金色の液体が覆った。


「終わったのか……?」


 特に大きく見た目が変わったようには思えない。

 これで本当に人に変身できるのだろうか。


「よし、十五号。俺に変身できるか?」


 俺がそう訊ねると、十五号は液体をぷるぷると震わせる。

 その体は次第に形を整え、色がついていく。


「おお……」


 そこには、俺と全く同じ姿をしている十五号がいた。


「す、すげえ。大将が二人に!」


 エレヴァンは思わず、俺の姿となった十五号をぺたぺたと触る。

 髪や服はそれぞれ独立して、風に揺れているようだ。


 どうやら服や肌の質感も、ある程度はそれっぽくなっているらしい。


「俺にも変身してみてくれ!」


 エレヴァンがいうと、十五号は言う通りに姿を変えた。


 そこにいたのは、どこからどう見てもエレヴァンだ。


「すげえ……」

「本当……でも、若干お父さんよりいい顔してるかも」


 フーレの声に、エレヴァンはなんだとと食って掛かる。


 そんな中、マッパが十五号へと向かおうとする。

 しかし、十五号は何かを察したのか、すぐにもとの無機質な姿へと戻っていった。


 マッパはそんな十五号に飛び掛かり、何かを訴える。


 そんなに自分に化けてもらいたいのだろうか……


「しかし、たいした金属ですな」


 バリスはしかたなくマッパの姿になる十五号を見て、そう呟く。


 本当にたいしたものだ。

 ただ形を変えるだけでなく、質感や色まで似せられるのだから。


 まあ、マッパの肌はなんだかいつも以上につやつやのように思えるけど……お尻とか。


「ああ……これがもっとあれば、人間を多く見せられる。さっそく、今から手に入れにいってくるよ」


 俺がいうと、皆いってらっしゃいと声をかけてくれた。


 そうして地下へ降りる準備をしていると、リエナがやってくる。


「ヒール様、申し訳ございません」


 そう頭を下げるリエナは、深刻な顔をしていた。


 謝りたいのは、皇帝のことだろう。


「ヒール様を補佐する立場にありながら……浅はかでした」

「いやリエナ、もう済んだことだ。それに肩書なんて、どうでもいい」


 どうでもよくはない。

 領主と皇帝では、サンファレス王の対応も変わっていたはずだ。


 でも、俺と皆の関係はなにも変わらない。どの道皆を守ると決めた以上、もう仕方ないことだ。


「そんなことより……レイラたちは魔物に友好的とはいえ、やっぱり皆と習慣の違いもあったりする。リエナたちには苦労をかけるかもしれないが……」

「苦労なんてそんな。レイラさんともお話ししましたが、彼女たちは今までの生活を捨ててやってきた方々です。私たちのやり方に合わせる、とも仰ってました」


 でも、とリエナは続ける。


「私たちもレイラさんたちに寄りそっていければと思います。それがこの島のいいところだと思うので!」

「そうだな……」


 ……もちろんそんなに簡単に寄りそっていけるのなら、今まで大陸でずっといがみ合ってはいないだろう。


 でも、この島ならきっとそれができるはず……豊かであれば、皆争う事もない。


 だから、俺は洞窟にいかないと。


「それじゃあ行ってくるよ、リエナ」

「はい、いってらっしゃい! 今日は、牛乳を使ったグラタンをつくっておきますね!」

「おお、そりゃ楽しみだ! よぉし、やる気が出てきたぞ」


 俺はピッケルを手に、口笛を吹きながら洞窟の中へと入っていくのであった。


 地下都市へ行くのは、俺の他にタランとフーレ、シエル。そして十五号とその頭の上に引っ付いた軍師アリエスだ。


 マッパを始めとする鉄道をつくっていた者たちは、今日はついてきていない。


 とりあえず、地下都市の様子を俺たちだけで偵察しにいくのだ。

 もっとも、マッパはいつでもやってくる可能性があるが……


「よし、いこうか」


 俺がいうと皆、おうと手を上げた。


 アリエスが十五号に乗って先頭を進んでいく。


「この道をずっと下っていくだけです。すぐに、開けた場所にでるかと!」


 アリエスの言葉通り、数分もしない内にそこは見えてきた。


 俺たちは道からでると、思わず顔をあげる。


「ここが……地下都市か」


 そこには壮大な石造りの建物がいくつも建った、巨大な街があるのであった。

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