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第二回家族会議

いらっしゃいませ~

 先生とブラウンさん一家は帰っていった。が、…狭い。

 下には患者がいるから…と孤児たちは家で預かることにしたのだが、食堂一杯だ。戦場だな。

 「ほら、たくさんあるんだから…ゆっくり…うぉ」

 まぁ、初めて見る御馳走だろう。しかたないよね。

 セツナっちは子供たちに埋もれてご満悦のようだ。

 「こんど、お馬さんとこ広くなるから注意なァ~」

 ”かちゃかちゃかちゃ…”フォークと箸の音、皿の当たる音が響く…

 聞いてねえし。

  「父さん鹿も移す?」

 「そのまんまでいいんじゃね?お子ちゃまミルク採りに行ってんだろ?」

 と、トワ君。だなぁ。馬に蹴られでもしたら…うちのは異様に賢いから大丈夫とは思うが。

  「うん。鶏も適当に森に放してるから…」

 「一応、草原増やしたから、移すか…森だと鶏舎に入らんで木の上に行きそうだもんな…鶏舎も作らんといかんのかぁ~めんどいな。」

 「無計画すぎなのよ。まぁ、馬見ればわかるけどね。厩もないじゃない。」

 「自然風だから要らんかと。違うの?」

 「…馬に聞かないと分かんないわよ!そんなの!」

 …逆切れじゃん…おいら、なんかした?セツナっち…

 「おっさんを困らせんなよ、姉貴。あした街で聞いてくるわ。木材も買ってくるな。」

 「早く卵が食いたいところだ。」

 「増やさないの?」

 「まぁ、追々?」…

 

 …。 


 「では、本日のミーティングを始めます」

 ”ぱちぱち”

 おいらと、セツナっちは拍手。

 「コレいるのか?」

 ?顔のトワ君。若造君が。

 「「いる!」の!」

 ふっ、トワ君にはまだわかるまいよ。

 「なんだよ、そのドヤ顔は。」

 「じゃ、おいらから。どうやら、このダンジョンは、町仕様?なのか空間拡張はないらしい」

  ≪…否、大量の生命エネルギーが必要。大型ダンジョンレベル≫

 「違うじゃんおっさん。」

 …早速、コアから訂正が入ってしまった…

 「スミマセン。まぁ、そこは求めてないから…家で人死にって…で、10層ごとに拡張できるらしい。今、馬用に草原を用意してる。15層まで草原作成依頼してます。使用したいことがあったら言ってください。あと、21層でさらに拡張できるということなので、依頼してます。時間がかかるかと。」

 「どれだけ広くなるのよ?おじさま?」

 「25倍だって」

 「ねぇ、コア。地上部、例えば隣地買って拡張とかもできるの?」

  ≪…是…新たな領域指定できます。維持魔力量に比例します。≫

 「…ということは…おじさまがその気になれば…魔力バカスか使えば、この街全体領域指定できる?」

  ≪…是…。今の演算規模ですとアヌヴィアトの城壁より1kmくらいが制御限界点となります。≫

 「おじさま。ここに国つくっちゃう?不可侵ダンジョン国って。」

 「いいなそれ!地下で自給自足目指して。交易は出島。うん。いいね」

 と、勇者様達が盛り上がる。ま、浪漫っちゃ浪漫だが…

 「却下。おいらがポックリいったら終わりよ。寿命そんなに残ってないんだから。そのあと、生贄で維持…なんいったら、おじさん成仏できんぞぉ。」

 「だよなぁ。おっさんいなと維持できないもんなぁ。」

 「魔石集めても有限だしね…うぅむ…なんかいい方法ないかしら?」

 「まぁ、国は、滅びるものとして割り切ってもいいけど…残された人々の影響がデカすぎるよ。」

 「まぁ、非現実的か…」

 「話逸れたわね!」

 …あんたのせいやん。

 「それで?」

 「街、ギュウギュウだったから、広いところで再構築したらどうかな。木を植えたり。広場も作れる。」

 「いいね。まかせた!セツナっち!」

 「…わかったわよ。その代わり狭い方のワンフロアちょうだいね。工場にする。」

 「コア、今の、15階層分の維持、フルで何年出来るの?」

  ≪…構成時に多く必要なだけで、後は何をするかで変わります。下水などはもともとの吸収機能ですので消費は少…。草原や森も自然界から虫や小さい生物が侵入してますので自然分解も期待できます。こまめな清掃、構造物の維持等は多く使用します。また住人が増えた場合。放出される生体エネルギーも利用可能。概算で200年。≫

 「生体エネルギーって…例えば、魔石とかを増やせば年数も増えるのよね?」

  ≪…是…その躯体の保持量に比例≫

 「了解。一番の問題は…おじさまね。まだ、ぽっくり逝かないでね。最低10年は」

 …えっと…

 「…善処します…」

 「ひでぇ…」

 「じゃぁ、次はあたし。今回の旅行で、ゴルディアの御曹司?殺ったから。よろしく。」

 こともなげに、爆弾を放り込む、セツナっち。

 やった?”殺”ってことよね?

 「…な!トワ君ほんと?」

 「ああ…一応は、森で襲撃された形。隠密みたいのもいたけど、まとめてヤった。みたいな?」

 「みたいな?って。隠密?」

 「姉貴が」

 「いたわよ。どこのか興味ないし。どうせなにやっても吐かないわよ。装備、雹君におみやね。」

 なにやってんのよ。もう…うちの子暗殺者にせんでください!

 「…ただ、前日にその坊ちゃんといざこざになったとき、姉貴がやつの腕、もいじゃったから、なんか来るかも?」

 「もぐ!もぐ?なんぞ?それ、うまそうだな…」

 理解が追い付かんのだが、もぎ取る?

 「まんまよ。こきり、ぶち。って。案外簡単にもげるわよ?」

 …そ。もしや…もぎれるのか!ち〇こも…?怖え。

 「あそこもいけるわよ。もぐってより引きずり出すかんじ?」

 たま?いや…竿か!

 「…じゃぁ、次の議題に…」

 「流した?」

 「いいの?おじさま?」

 

 「…次の議題に…」

 「あ、それと、来週早々、もう一回ゴルディア行ってくるわ。鍛冶師ギルドとして。雇用体系の確認、改善そして、撤退も含めて。調査団ね。」

 「…なぜにそんなことを?」

 「だって、舐くされたからよ。あの表情…なんかありそうだし?もし、不当に扱われていたら…ドワーフ救出になるんだもの…いいじゃない。」

 「姉貴、1月後って…」

 「嘘に決まってんじゃん。こんなので油断したエネル?だっけ?笑っちゃったわ。バカはバカね。トワも?ああ。嘆かわしい」

 「まぁ、そっちは”ギルドの件”ってことで任すよ?必要なものあればいってね。」

 「トワか雹君…と言いたいけど…悪魔退治いくの?」

 「そっちはどうよ?もちろんおいらも行くが…」

 「おっさん、俺、雹で行く予定だね。情報収集、解析もあるのでおっさんには是非来てもらいたい。」

 「ああ。いらん生贄増やされても困るしね。早々に動こう。」

 「じゃ、私は一人かぁ。って、高速移動できないじゃない!ドワーフのおじさまたち…馬車に乗せないと…遅いわよね…短いし」

 …ああ。足な…

 「帰りはゆっくり普通に帰ってくるから、おじさま送ってよ…送るだけで良いから、むこうでも数日かかるだろうし…ね?」

 「雹もついてくるだろうから…送った後出発でいいか?」

 「じゃあ、俺は、ヴァルテリアで情報収集してるよ。情勢や、俺らの事も少しはわかるだろ?」

 「変装してな?ふむ。先にシスターたちを迎えるのもありか?家になんとか入れるよな?コア玄関脇、サンルームの手前、増設しておいて。夜のうちに行ける?」

  ≪…是…いまから5時間。内装無しです。2階あり≫

 「それで。食堂くらいの広さ採れる?」 

  ≪…是…≫

 「建物四角になっちゃうな。まぁ後で直せるからいいか…他は?無いなら…っと、トワ君、明日、病院の子診てよ。」

 「先生と治療したんだろ?」

 「勇者パワーで目覚めないかと…」

 「そんな都合よく…わかった。朝食後な。」

 「さんきゅー。じゃ、寝るか!」

 「「おやすみー」」

 

 …。 


 「おはよう!」

  {おはよー}

 朝の鍛錬に数人の孤児が混ざってた。チーター君もその一人。

 「無理すんなよ。いきなり動くと筋傷めるぞ?」

  「ええ、気をつけます。でも動かさないと。今まで自由に動けなかったので、発散したいんです。」

 「…十分注意してな。」

  「はい!」

 いつも通り、ランニングから始まって、内勤組はそのまま乳しぼりに行くようだ。型をなぞる。チーター君も双剣をチョイスしたようだ。スピード特化の猫系には合ってるのだろう。

 雹の腕前もあがってるなぁ。愚直なほど振ってるもんな。

 おいらも槍を…えい!えい!えーい!…ふっ…へっぴり腰は仕様だ。

  

 ふう。今日も”朝食”という戦場を生き延び、しばしお茶を楽しむ。う~んまんだむ。

 「おっさん、いくか。」

 「ああ。」…


 「おはようございます。」

  「あら旦那。朝からどうしたの。」

 「いえ、患者の様子を診にきました。食事や飲み物は足りてます?」

  「ええ、お陰様で。あの子たちはまだ…このままだと…」

 「診て来ますね。」

 

 「どうよ?トワ君?」

 ベットで眠り続ける、狐耳の男の子。その隣は猫人…じゃねぇな…。

 魔法のおかげか、すやすやと…穏やかに眠っている…

 「俺、医者じゃないし。解んねーよ。でも…」

 じっと手を見る…じゃなくて子供の顔を見る。

 「可哀そうだな…冒険者の方はカタ付きそうなの?おっさん?」

 「もう少しかかると思うよ。ギルドの上の方までいくだろうし。貴族はこれからだね。」

 「ふぅ」

 子供の頭を数回撫でて、そっと額に手を置く。トワ君。

 「おっさん。魔力くれ!」

 「おう!」

 「帰っておいで…ニコ君。」

 ”ぴかぁ”

  「う、う~ん」

  「んな!」

 「先生あとお願いします。次は…彼の名前は?」

  「は、ハセル…君」

 「じゃぁ、いこうか」

 そっと頭を撫でるトワ君。

 「ハセル君…遠いなぁ。遠い。帰ってくるかい?最初に言っておくよ…ご両親はもう…そうか。じゃぁ、帰っておいで。…俺の弟になれ。…一緒に行こう。おっさん!」

  「おう!」

 「君は…自由だ。」

  「グルるる…スぅ…スぅ…」

 はぁ?唸った?ハセル君…って…虎か?ライオン?骨太だし?

 「おっさん。養子追加だ!」

 「トワ君のじゃないの?」

 「俺、未成年だぜ」

 「都合のいいことを。何を約束してたんだ?」

 「内緒、先生あとは頼みます。っと肉おいてかないと。ハセル起きたら食わせてやって。ガッツリ食うと思う。」

  「…あ、ああ。旦那これは…」

 「”勇者”様の慈悲ってのかな?奇跡っていってもいいかもね。」

  「勇者様…」

 そう呟いて立ち尽くす、先生。

 「お願いします。」…


 「やったなぁ!トワ君!流石だ!」

 おじさんは確信してたよ!うん!

 「ああ、しかしムカつくな!クソ貴族…ブッコロス!」

 「いきなりはダメよ?一応交渉するから。」

 「その後は…」

 「…たぶん…任せるよ。」

 恐らく決裂。人を殺しても何とも思わない屑だ。ヤるにしてもそこまで行くプロセスが大事だ。感情で殺したら…って、おいらが言えんわなぁ。

 「さぁーて、今日は何しよう?街歩きはするのは決定だけど…エルザさんとこ行くの?」

 「あ、紅茶がどうのこうのいってたな…行ってみるか…面倒なのはさっさと終わらせるに限る。」

 「そうだな。本当に問題ありすぎ…なんでだ?」

 「さぁ?」

 「まぁ、9割はおっさんのせいだと思うが…」

 「うん…おいらの常識が間違ってるのか…世間の常識が間違えているのか…」

 「そりゃ、世間だろ?俺らは所詮よそ者だもの。おっさんやろうぜ!」

 「ああ。」…。

本日もお付き合いありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。

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