リックとシャン。
「おおお!魚村よ!私は帰って来た!」
採集をしながらののんびり移動。ようやっと、目的地である”魚村”に到着した。
今回の旅の目的である、セツナっち紹介ミッションも終わる。後は勝手に来るだろう。
「おじさまは、ちょっと前に来たんでしょうよ…」
突っ込むところはそこじゃないのだが…まぁ良いだろう。流石にしらんわな。
「…何よ…ひょっとして銀髪の渋いおじさまの事?」
「…。」
…知ってるのかいな。
「こほん。じゃ、いくか!」
「おおお!魚村よ!私はとうとう来たぞぉ!」「ハルも来たぞぉ!」
ふふふ…。
「どうしたんだい?旦那、おおきな声出して?」
門衛さんに丸聞こえだったらしい…少々…ハズい。
「いや、何でも…は、ははは。大好きな魚村に着いた感情が爆発したようです。」
「そう言ってくれると、こっちも嬉しいよ。」
「うむ!感動!」「魚食い放題!」
「そ、そう?お嬢ちゃんたちは初めてだね…村長に知らせとけ! 「はい!」 ようこそ魚村へ!」
「流石ですねぇ。顔パスですか?私まで。」
とレスト殿。周りを見回しながら。今日も良い潮風だ干物も気持ち良さげに泳いでいる。帰るころには皆買うけどな!何回転も!
「まぁ、悪いことしてないし?お金もドンと落としていくしね。っと、商会に先に寄ろうか。手紙があるからね。レスト殿も商会に口座作るか?」
「冒険者ギルドで使える私の身分証ありますが?」
ふ~ん。”紋章の魔術師”の身分証か…かっこいいな!が…
「うちの勢力に冒険者ギルド無いぞ。あ、一応クランはあるけど…」
「へ?それで冒険者ギルド無いのです?」
「ごめんね~。おじさま、大の冒険者ギルド嫌いなの。勿論、私も大嫌い。バカばかりだし。うちの村に押しかけて来たけど、皆、叩き斬ってやったわ。」
「…そ、そうですか…じゃ、作ってもらおうかな…。」
「ああ。そうしてくれ。うちの連中は皆、ヴァートリー商会の口座だ。そう簡単につぶれないだろうし、ギルドより支店もあるから便利だぞ。割引してくれる時もあるし。ギルドみたいに”金貨切れ”ってのもない」
「なるほど。一理ありますねぇ。じゃ、早速。」
…。
用事を済ませ、支店を出ると村長がわざわざ待っていてくれた。
「やぁやぁ。ミッツ殿、よういらっしゃった。カイエン様もお元気そうで。皆様、歓迎しますぞ!」
「お元気そうで何よりです。村長。フランツさんは漁ですか?」
「ええ。子が生まれましてなぁ!張り切って漁に出ておりますよ。」
「へ?奥方、お腹、おおきくなかったよね…この前…」
「なんでもあまり腹の大きくならない家系…血でしょうかな。本人もほんのすんでまで気が付かなかったとか?」
「そいつはめでたい!男の子です?」
「ええ!村の宝だの!」
「じゃぁ、他所に宿取った方が良いのじゃない?おじさま?」
「なぁに、心配ご無用。元々離れじゃし、村の者もおる。ルカ様達も滞在中だしの」
「そうだったわね…」
「ルカちゃんも一言、言ってくれればいいものを…」
お祝いの品やら用意したのに…
フランツさんの家に到着。中庭ではすでに歓迎のバーベキューの準備が進められている。今日もお世話になります!
「お久しぶりでございます。ミッツ様。無事の御到着、喜ばしいことにございます。」
男前の魔族、ヴァンが跪く。
「久しぶりだねヴァン。お務めご苦労!どう楽しめたかい?」
「ええ。勿論。あちらこちら、美味しいものも。砂漠は二度と御免ですが…。」
「お前さん、砂漠に来なかったじゃん。」
「あの後、後学のためにと。…境界の村…たしかフルカンスでしたか?そこまで。」
「ふ~ん。そいつは御苦労様…うん?」
ヴァンの後ろに隠れるように猫人族の少年と少女。兄妹かな…うん?…!…おい!…なるほど。
…ラグと同じ種族か…。
「君達か…ルカちゃんが言っていた、会わせたい子って。」
怯える目…か。ヴァンにはだいぶ慣れたのだろう…が、人族のおいらに向ける目はな…余程過酷な目にあって来たんだろう…。健気に妹を背に隠して…
「大丈夫…そうだな、何が大丈夫なんだ?と思うかもしれないけど、おいらは君達に危害を加えない。約束する…」
そうそう疑いは取れないわなぁ。人族…この子達にしたら、仇かもしれん。う~ん。ま、誠心誠意付き合って…うん?ずい!とおいらの前に出るラグとハル。
「…大丈夫だ同族よ!信じろ!私の父だ。」「ハルのお父ちゃんだよ!」
「え…?」
「だから大丈夫といっただろう。それにラグ様とハル様が御一緒とは。これも勇者様の御力、お導きでしょうか。」
「ヴァン、おいらは勇者じゃないって…。おいらは、ミッツって言うんだ。で、娘の」
「…ラグだ!」「…ハルだ!」
「り、リックです。」
「…シャン…」
「…うむ!シャン。私を姉と呼ぶといい!…参号よ!」「ハルも!」
参号?…こんなに早く件の杖を授けられる者が決まるとは…。
「…おねぇちゃん?」
「…うむ!」「…うむ!」
…ハルちゃん…ハルちゃんの方がちっこいんじゃないかい?
「…いいでしょ?お父ちゃん…」
そういや、ハルちゃんの時もラグが連れてきたんだよなぁ…
「…構わないけど…リックや、シャンの気持ちも考えるんだぞ。」
「…リック?…忘れてた。お前はどうする?」こら。
「…お兄になるの?」
そうだね…ハルちゃん。流石に弟じゃないか。
「お、お兄と一緒…がいい。」
「…なら二人揃ってくるといい。沢山兄弟がいる。今更一人二人増えたところでどうということはない。お父ちゃんもどうせ名前覚えきれてないし。これもお兄だ!」「…うむ!ライオットお兄!」
「こら。覚えてるよ!………たぶん。」
「おじさま…」
「おじ様…」
「まぁ、ゆっくりと考えるといい。どのみち、おいらの村には連れていく。安心しなさい。」
二人の頭を撫でてあげる。うん。良い子だ。これからは自由に、幸せになってほしいなぁ。
「ハルもぉ!」
…ハルちゃん…お主、何時も逃げるじゃないか…。もしかしてお父ちゃんとられると思ったのかな?大丈夫だよ。ふふふ。




