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宴 

 後程、美食倶楽部の食堂にて宴を開くことを約束。

 さて!風呂行くか!

 ライル殿は此方に来たがっていたが、お付きの方に連行されて行った…。残念!

  

 「…晩御飯…。とっても楽しみ!」「ハルも!ハルも!」

 今日はラグも男湯こっちに来たようだ。

 なんでも、女湯は混雑してるとか。女性客、多いからなぁ。男湯はうちら、ファミリーしかいないもの。

 一人ずつ、わしわしと洗ってやる。うん?今気が付いた…あまりにも普通だったから…此処の風呂にある石鹸、髪用石鹸もうちの町産のじゃないか。ビルックの差配か?輸入してるのか。これは女性客にはたまらんな。

 たったと逃げるハルちゃんを捕獲し湯舟へ。まったく。

  「お父ちゃん。ご飯どんなのだろうね!」「ハル、お腹減った!」

 おお?言葉も流暢モードかい。空腹と期待で。

 「楽しみだねぇ。お兄の料理も出るぞ。」

  「さらに美味しくなってるのかな?」「美味!?」

 「そうだなぁ~。どうだろうねぇ~。ふぅぅ…ぅ」…


 ほかほかに温まったので出ることに。さて、宴だ。

 先に子供達をわしゃわしゃ拭いて、究極魔法!”ドライヤー”にて、尻尾もほわほわにしてやる。

  「なるほど…うむうむ…」

 ラグは”ドライヤー”の魔法を解析でもしてるのかな?

  「…お父ちゃん。眠くなった…でもお腹減った…」

 ハルちゃんは睡魔と空腹の間で格闘中だ。

 「おお。温かいもんな。ほれ。冷たい果汁。スッパいぞぉ。」

  「おお!いただきます!」「飲む!」

 「うん。ライオットも飲んどけ。」

  「…うん。明日出発ですか?」

 「そうよなぁ~ライル様来ちゃったし。…一日延期になるかもなぁ。何かあるのかい?」

  「いえ。ただ、この町の近郊に大きな鹿が出たそうで。時間があれば見てこようかなぁって。狩れるようなら狩ろうかと。」

 うん?カミュにオミヤか?

 「良いんじゃない?行ってみれば?」 

  「…ラグも行く!」「…ハルも!」

  「ラグたちは留守番。大きい鹿って結構狂暴なんだぞ。動きも速いし。魔法使う奴だって」

  「「ぶぅーーー!」」

 「ほらほら。専門家のお兄の言うことだ。父ちゃんと一緒に留守番だな。」

  「…仕方なしか。…留守番。つまらん」「…つまんない…」

 …はぐぅ!

 …狩に行けない事?…そ、そ、それとも…父ちゃんと一緒ってこと?

 何気にガラスのちっこいハートにダメージを受けて部屋に…ふて寝したい気分だ…


 

 {かんぱーい!}

 

 ライル殿の音頭で立食形式の宴が開始された。

 公爵の友人として家族の他に3家族が参加。

 商会のマリアさんも秘書と、お客…だろうか?上品な若い紳士一人連れての3人で参加。

 …よもや愛人さんじゃなかろうな…

 うちは、全員参加。一応正装でね。セツナっちは蒼い着物。ライオットも新しい狩人の服装で。うんうん。凛凛しい。

 ラグたちはお揃いの薄い青色のひらひらドレス。それにいつものお揃いの肩掛け鞄…ま、偽装だからしょうがなしか。”収納”使ってもごまかせるからね。

 レスト殿もさすが高名な魔導士だ。いつものヨレヨレのローブではなく、ピシりとした紋章付きのお高そうなローブを羽織る。

 

 大きなテーブルには…丸焼きはないなぁ。ちと寂しいが…様々な料理が並ぶ。魔物肉?セツナっちが提供したのだろう。大きな肉塊のロースト…ローストバジリスク?かな。

 大エビも様々な料理となっているようだ。このエビと香草と和えたもの…香菜シャンサイ…おいら嫌いなんだが…合うな…新たな出会いだわ…。

 

 いつの間にかにリクエストしたのであろうか?それともビルックが気を利かせたのか、ラグとハルはホワイトソースの魚介シチューを楽しんでいる。

 エビやら、白身の魚、ホタテ?…あの断面、アワビか?なんつうぅ贅沢な!…まぁ、ここはアワビ…安いけどね…。ちょこっと味見させてもらったが…嫌みじゃないホワイトソース…。うむ、また腕上げたな…。

  

 「なんですかぁ。こ、ここの料理はぁ!はあぁ!」

 レスト殿もあちらこちらと大忙しだ。堪能するといい。

 ライオットは…やっぱりお肉?

 皆、楽しんでるようで結構、結構。たんと食べなさい!

 

 「お招きいただきありがとうございます。ミッツ様。」

 「マリアさん。いらっしゃい。…でそちらのお方は?」

 愛人さん?

  「初めてでした?これは失礼を。うちの長男ですわ。」

 あらま。そう言われて見れば…母ちゃん似かな?

  「初めまして。両親がお世話になっております。ミッツ様。私はロベルトと申します。」

 「これはご丁寧に。私はミッツです。」

  「そろそろ私も引退でしょう?次席は誰かと思ったら…本店からロベルトが帰ってきてねぇ。」

 …誇り…なのだろうねぇ。珍しく自慢気のマリアさんだ。おいらはどうだったか…はぁ……。やめとこ。やめとこ。御察しだわ。

 「会頭が認めた…ってことですよねぇ。さぞかし優秀なのでしょうねぇ。今後ともよろしくお願いしますよ。」

  「いえ、いえ。こちらこそ。今やミッツ様は我が商会の中心といっても過言ではありませんから。これからも良き関係をお願い致します。」

 …ご子息かぁ。ははははは。余計な心配だったわ。

  「それで、ミッツ様、あのお方は…もしや?」

 マリアさんの視線の先には…器用に5枚の皿を持ち忙しく料理を堪能しているレスト殿…やるなお主!今は紋章背負ってるからわかりやすいな。

 「レイストリン殿ですか?途中、ラグたちの教師に雇ったんですよ。」

  「やはり…あの紋章…”砂漠の大魔導士”…」

 「へぇ。有名人?」

  「…ふぅ。そうでした…ミッツ様ですから…」

 …何よ…その呆れ顔は…

  「私が代わりに。この大陸で今代3人だけ背負える紋章です。”最強”…”最凶”とも言いますが…特にレイストリン様はフリー。何処の国にも属さないお方でして…」

 なるほど…好き勝手やってる問題児ってやつかぁ。

 「へぇ。そうなん?よくそんなんで紋章貰えたね。ん?ってことは…」

  「そう、そりゃぁ、ミッツ様に比べたらお子ちゃまレベルでしょうけど、一応、大陸3人に入る高位の魔導士様ですよ。何回か除こうとした勢力や、国、同業者も皆返り討ち。すぐ姿も消しちゃうし。それだけ実績を残しちゃうとね。嫌でもね。警戒の意味も込めて。」

 触らぬ神になんとやらってか?

  「母上…」

 「ふ~ん…暗殺って言うのも跳ね返せたのか?無影衆なら何とかなりそうだけど…」

  「彼の魔法が特殊と聞いてますよ?もっとも”砂漠”って言うのも私達凡人には理解が及ばない点ね。なんでそう呼ばれてるかも不明ですし。」

 「!…そういえばそうだな…炎の!氷の!というのならわかるけど…後で聞いてみよう。」

  「ミッツ様…もう。」

  「でも、当代一の魔導士がミッツ様の勢力に…我ら人族の国家から見たら、戦力強化を憂えばいいのか、首輪が付いたのを良しとするのか…」

  「…あ。そ、そうね。」

 …そうなんだ。ふぅ~ん。

 でもうち、魔族の戦士やら獣人族の戦士がわんさか居るからなぁ…

 レストリン殿が加わわったところで大して変わらんだろう。…悪魔もいるしね。

 ま、今更だわなぁ。


 「カイエンどんもお好きにしてもいいよ?」

  「お気になさらず。」

 …ふぅ。貴殿に報いる事はできるのだろうか…おいらは。

  「しかし。本当に、美味。別次元のようですな。このエビの焼き物一つとっても。」

 「言えてる。言えてる。おいらの世界でもあったかも知れないけど、安月給じゃ行けないような店だわなぁ。」

  「安月給…?そうでございますか?」

 「ま、雇われの営業マンだし?そんなもんだって。こっち来て良かったなぁと思わせてくれる事柄の一つだわ。煙草もないし。健康的だわぁ。」

  「たばこ?…ああ、煙草けむりくさの事ですな。一部の貴族に愛用者がいるとか。」

 「へぇ、ちゃんとあるんだ。シャーマン…呪術師位だと思ってたよ。もういらないけどねぇ。っと、どうよ?セツナっち。」

 

 ぽつんと。…てか威圧フィールド張って他人を寄せ付けずに料理に舌鼓を打つ勇者様。

 ありゃ?ルー殿は?

 「あら、おじさま。本当に美味ね…地球でも食べられない料理だわ。素材の味を良く生かした料理…美味しいわ。」

 「それは良かった。でも、なぜに威圧を?」

 「面倒くさいし。馴れ合う気もないしぃ。私は静かに食事がしたいの。」

 「…そうですか…で、ルー殿は?」

 「何でもライルさんにワインを振舞うんだとか?”美食倶楽部”を大きくするとかなんとか?よくわからんわ。あれ。」

 「そうなんだ…ま、楽しんでいるのならいいだろうさ。あ。ルカちゃん、ルカちゃん。おいでませ。ビルックの料理で宴だぞ。」

  「はいはい~♡うっわ!美味しそう!」

 ”蒼”のドレスでご登場。流石TPOもわきまえていらっしゃる。

 「今どこに居るのだい?君たちは?ヴァンと二人旅?」

  「魚村で合流予定よ~会わせたい子が居るの。」

 「…ふ~ん。了解。悪事もほどほどにね。」

  「は~い。」

 自前のゴブレットをだし、料理の方へ。

 「本当におじさまの娘みたいね…」

 「まぁなぁ。付き合いも長いしなぁ。じゃ、ライルさんとこに挨拶に行ってくるわ。そうそう、一日延期になるかも?」

 「仕方ないわね。折角会いに来たのに、私たちがさようなら~てのもね。良いのじゃないかしら。」


 「楽しんでいらっしゃいますか奥方?」

  「あら、ミッツ様。今日も素晴らしい宴を催していただき、感謝を。本当にここの料理は王国一、いえ、大陸一でしょうね。我が国にあるなんて誉ですわ。」

 「料理人たちにとって最高の賛辞でしょう。馬車の旅、お疲れでしょうが楽しんで 「おお!素晴らしい!」 「これは!なんとも!」 「おおお!」 …?」

  「何事かしら。」

  

 騒ぎの元はルー殿。秘蔵の長期熟成…じゃないな、熟成加速ワインを皆に振舞ったらしい。瓶のラヴェルはもちろんドラゴンの意匠…しっかりプロジェクトは動いてるようだ…

  <どうだ?ここほどの料理。ワインも選ぼう?>

  「いやはや…このような高級なワイン…」

  「ええ…とてもとても…」

  <ふふふ。我が会員になったのだ。多少は安く卸せよう?これには秘匿事項があってなぁ。>

 「…ルー殿。あまり大っぴらに…。」

  <おっと。これは”使徒”殿。ここであれば売るには良かろう?>

 「まぁ、そうですね。」

  <であろう。我に任せておくといい>

 「ご随意に。楽しんでくださいませ。ルー殿。」

  <うむ。使徒殿の心配り。感謝する>

 

 奥方の分もグラスをもらい、おいらも味見…うわ…美味い…。

 びろ~どのなんとかかんとかって良く聞くが…意味わからんわ!おいら、アレちょっと苦手なんだわ。

 ソムリエの方の努力は認めるけどね。何せ”味”を言葉で表すんだ。そうそうマネできる物じゃない。

 で、このワインは美味い!これだけだわ。香りもすごい。鼻を抜ける香りも楽しい。…そういやおいらに出さないな…帰ったら徴収じゃ!

 

 「それにしても…美味いな…」

  <うむ。産地毎にいろいろと試していてな。すぐに適したワインも判明しよう。我も楽しみにしておる>

 「蒸留の方はどうです?」

  <なにやら苦戦していたな。が、彼らも時間はあろう?何とかなるだろう。>

 …おいらが生きてるうちに何とかしてほしいところだが…

  <その前段階の”酒”…これまたいろいろできていてな。美味いものも多い。益々やる気も湧くというもの>

 「なるほど…原料毎に違うものな…帰ったら見に行くか…」

  <その内、酒の都になろう?楽しみだな”使徒”殿>

 「アル中ばっかじゃ困りますけどね」

 …ライル殿はかなりワインがお進みのようだ。挨拶は明日で良いだろう。


 さてと。再び子供達の元へ。空腹が満たされればおねむだろう。回収せねば。

 …まだ大丈夫っぽいな。しっかし、良く食うな。今はエビ足の恵方巻食いに挑戦中だ…おうおう。幸せそうな顔して…。

 本当に胃袋に”収納”生えてないかい君達?

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